ビジネスセンスを磨くにはどうすればいいか? ①ビジネスセンスのある人、ない人/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2019年2月17日 19時43分
猪口 真 / 株式会社パトス
特別な才能や図抜けた頭脳を持つビジネスマンは別としても、サラリーマンであれ、起業家であれ、うまく問題を解決し、調整をはかり、結果を出す人と、同じようなインプットと行動をとっているように見えても、まったく結果を出さない、それどころか問題をさらに大きくしてしまう人がいる。
人材開発部門はビジネススキルを与えようと、様々な研修やOJTを実施する。また個人においても少しでもビジネススキルを高めようと、様々な情報を入手し、知識として身につけている。
そのインプットの量という意味では、結果を出す人と出さない人を比べても、さほど差はないように見える。この差は、結果が出ていない人の一つひとつの判断や行動がまったく間違えているとも思いにくいし、ロジカルに考えても出てこない。結果を出す出さないは、ほんとに紙一重の差なのだろう。
紙一重の差とはいえ、結果は全然違ってくる。いつも思うことだが、この差はどこにあるのだろうか。
結果の差はセンスの差?
これはビジネスを行ううえでの「センス」が違うとしか言いようがないのではないか。ソリューションの質や価格にさほど差がないとすれば、残るのはセンスとしか言いようがない。
もしそうなら、ビジネスセンスを磨きたいと心から思う。
ビジネスマンの誉め言葉に、「あいつはセンスがある」というのがある。もちろんデザインや設計などのクリエイティブな仕事にはなくてはならないスキルであり、センス自体が仕事のクオリティと言ってもいい。技術者や職人も同様で、センスがスキルレベルとなるが、この「センスがある」と言われて悪い気はしないし、ナレッジワーカーにとってはこれほどの称賛はないだろう。
それとは真逆に、「あいつはほんとにセンスがない」というダメ出しの評価言葉がある。できることなら一生いただきたくない言葉だ。というより、ナレッジワーカーにとって、これほど屈辱を味わう言葉もないだろう。
センスというと、持って生まれたものとか、単に小器用であるとか、調子よく合わせるといったイメージを持っている人もいるかもしれないが、ビジネスを成功させるためには、必須のスキルなのではないか。
以前、知能の指数「IQ」に対して、ダニエル・ゴールマンが提唱した「こころの知能指数:EQ」がもてはやされたことがあったが、ビジネスで本当に必要なのは、センスの指数「SQ」だと思う。AIやIoTの社会になればなるほど、数値化しにくい、センスが問われると真面目に思う。
では、一般のナレッジウォーカーにとって、ビジネスセンスとはなんだろうか。どのような人がビジネスセンスがあると言われるのだろうか。ビジネスセンスといっても、なかなかひと言では言えないが、「センスがある」というのは、多くの場合は、結果に対して「これはセンスある仕事だ」という評価だろう。
たとえば、以下にあるような事柄だ。
これらの結果を目の当たりにすれば、「相変わらずセンスあるね」などという評価を受ける。この場合は、目指すことは比較的簡単だろう。要はセンスがうかがえる結果を出せばいいのだから、プロセスはどうでもよく、センスがあると言われるような結果を出せばいいわけだ。
しかし、センスがあると言われるために頑張るというのも、かなりおかしい。センスがあるから結果を出せるわけであって、順番が違う。
センスとはプロセスにある?
結果に対して、プロセス(スタイルといったほうがいいかもしれない)というのがある。人事評価的にも、結果を評価する派とプロセス重視派に分かれることは多いが、センスがあるというのは、どうやらプロセスのほうに入るのではないか。
仕事のやり方がスマート、嫌みがなく仕事が楽しげに終わる、仕事の最中お客さんが楽しそう、といった、いわゆるスマートな仕事っぷりというやつだ。
次のような感じだろうか。
確かにこうした、プロセスを実践していくことができれば、結果も出すことができる気がする。ビジネスセンスがあるとは、とにもかくにも、仕事をスムーズに行い、顧客を満足させて、スマートに利益を上げるということなのだろう。
昨今のビジネスは、日々何が起こるか分からない仕事ばかりだ。想定できることしか起きない仕事など、まずない。そうすると、どれだけ臨機応変な対応ができるかどうかにかかっている。これまでの経験が生きない、役に立たないということになれば、あとはセンスを磨くしかないではないか。
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