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ビジネスセンスの磨き方 ⑤ビジュアルで表現する/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2019年4月29日 18時36分


        ビジネスセンスの磨き方   ⑤ビジュアルで表現する/猪口 真

猪口 真 / 株式会社パトス

かっこいい(センスある)仕事スタイルのひとつに、ビジュアルでアウトプットするというスタイルがある。

Amazonのジェフ・ベゾス氏が紙ナプキンの裏に書いたと言われるアマゾンのビジネスサイクル図はあまりに有名だが、頭の中にある、あるいは思考の最中にあるようなことをビジュアルに、スマートに表現できたら、さぞかしかっこいいだろうと思う。

まさに、「センスある!」と思われる所作だ。

ビジュアル化の効果

なぜビジュアルに表現することがセンスあると思われるのか。

それは、ビジュアルで表現することで、その場にいる全員がひとつの具体的な情報を共有できるということだ。言葉だけや抽象的な文字(特にカタカナ言葉)だけではなく、図解して示すことで誤解なく情報を共有する確率は上がる。それだけでもその後の仕事がスムーズにいく可能性が高まる。

次に、ビジュアルに表現するとは、全員の意見を書き並べる単純な書記係ではなく、皆の意見を聞きながら、新しいコンセプトなりイメージを創り出すことでもある。少なくとも、コトの大小や優先順位、グルーピングといった作業が必要であり、全員に新たな視点をもたらす。ミーティングによって、新しいモノが生まれる感覚は、全員が充実感を感じるはずだ。

もうひとつ、ビジュアルに表現することで、さらにその先に進むことも容易となる。たとえば、ある現象を、縦軸横軸のマトリックスに落とし込んだとしよう。

そうすると、「ここの象限に入ることは何がある?」あるいは「軸の取り方をこう変えてみたらどう?」といった思考の広がりが出てくる。そうなったら、新しいアイデアは止まらないだろうし、こんな楽しいミーティングはないと思えるはずだ。

とはいえ、すぐにできることではないかもしれない。慣れが必要だ。ビジュアル初心者は、どのように始めればいいのだろうか。

ビジュアルでの表現は、ロジカルシンキングの延長

ビジュアル慣れるには、実はロジカルシンキングがある程度必要となる。

ビジュアルで表現するというと、ぱっと閃いて描く、右脳を使った感覚的なアウトプットが出る、などイメージ重視の印象が強い。

しかし、我々はアーティストでも天才でもない。

あくまで思考プロセスをビジュアルに表現するということであり、あえて言えば、論理思考の末の表現ということだ。

効率的にビジュアルで表現するには、得意パターンのフレームを持つといいだろう。

フレームとは、様々なアイデアや意見を集約したり、整理したり、新しいアイデアを生みだすために使う、思考のためのフレームを言う。

ロジックツリー、フィッシュボーン、マトリックス、ピラミッド、サイクル、ベン図など様々あるが、コンサルタントが多用するマトリックスは、最初にマスターしたいフレームだ。

たとえば、新しい商品を企画するミーティングの場合、「上級者向けに〇〇を出したい」「初心者のために〇〇を出したい」「トレンドを取り入れた先端のものを出したい」「いかにもうちらしいものを出したい」などといった意見が出たときなどは、マトリックスの出番だ。

一例を紹介すると、縦軸に自社商品へのロイヤリティの強さ、横軸にトレンディの度合い、などを設定し、そこに、出てきたアイデアをプロットしてみる。すると、重なりや不十分な部分が明確になる。マトリックスが思考のひとつの基軸になり、ほかにもアイデアが出やすくなるだろう。

ロジックツリーも活躍する場面は多い。MECE(モレなく、ダブりなく)に考えるクセをつけることは、ビジネススキルの習得にもつながる。

たとえば、イベントやキャンペーンの振り返りのミーティングなどの場合、良かった要因、悪かった要因などを出すことになる。その際、「集客」「コンテンツ」「オペレーション」など、要素の分類にも便利だし、いわゆる「単価」「顧客数」といった伝統的なブレークダウンも効果的だ。

どこで表現するか

実際にビジュアルで表現する場とはどこだろうか。

代表的なのは、ミーティングなどで使うホワイトボードだろう。最近は、オフィスの壁全体がホワイトボードになっているところも多く見かける。ここで颯爽とビジュアルにまとめたりできれば、いかにもミーティングをリードしている雰囲気を出すこともでき、「できる!」イメージは完璧だ。

少人数のミーティングでは、テーブルにA3程度の紙を置き、そこに書き込むのも効果的だ。ミーティングが終わればコピーを共有することで、情報共有は問題ない。

アメリカの例では、カフェやレストランで、ナプキンにアイデアを書くということがよく言われるが、実際、日本でよく見るナプキンには正直書きにくい。

ロディアなどの小さなメモ帳を常に携帯し、胸ポケットからさっと出して書く方がスマートだと思う。

少し上級にはなるが、プレゼンテーションの時は、多くの場合、パワーポイントにしたためたドキュメントをスライドショーで紹介すると思うが、まれにディスカッションが熱をおび、いろいろな意見が出てくることがある。そのときに、その場でパワーポイントに整理し、「こういうことでしょうか?」と追加提案できれば、プレゼンテーションの場としては完璧だ。契約はほぼ間違いないだろう。

ぜひ、自分にあったスタイルから始めてほしい。

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