意識を変えることの難しさ/野町 直弘
INSIGHT NOW! / 2019年5月9日 15時0分
野町 直弘 / 株式会社クニエ
私は通算20年以上コンサルタントをしています。コンサルタントの仕事は顧客企業の今までのやり方を変えることです。
会社を変えるためにはその組織に在籍する社員の意識を変えないことには本質的に変えることはできません。しかし、今までの経験を振り返っても人の「意識を変える」ことはとても難しいことです。はっきり言うなら、人の「意識を変える」ことは無理でしょう。
しかし人の「意識が変わる」ことはあります。そのきっかけを作ることはできるかも知れません。
それでは「意識が変わる」きっかけとは何でしょうか。
「意識」や「考え方」が変わるようなきっかけは、何かの経験しかないでしょう。つまり経験させることでしか人は本質的に変わりません。
具体的にはどのような経験でしょうか。一つは周りの人と触れ合うことによる経験です。つまり「人のふり見て」。例えば何か仕事をしているときに、ある人のやり方を見ていて自分と違うやり方をしているが成功している、となるとその人のやり方を取り入れてみよう、となります。
次は繰り返しの刷り込みです。例えば「それどこかで聞いた記憶がある」とか「見たことがある」などの経験を多くの方がしているでしょう。そのような刷り込みが続くと「あれっ、もしかして自分もそうした方がよいのかも」と考えるきっかけになります。
また意識が変わるきっかけになるものは「原因」と「結果」を経験することです。今までのやり方を変えてこうやったら(原因)このような望ましい成果(結果)につながったということがあると、これは意識が変わるきっかけになりやすいです。
このような「意識が変わる」きっかけとなる経験を誰もがしたことがあるでしょう。実際に私も同様の経験を若い時にしたことがあります。その経験については、以前記事でも取り上げています。
https://www.insightnow.jp/article/7219
「トップバイヤーのための4つの素養」-『徹底力』『情報力』『コミュニケーション力』『頼られ力』-
以下同記事からの抜粋です。
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最後の「頼られ力」ですが、これは耳慣れない言葉ですね。
30代前半で私は会社の中で新事業企画の仕事をしていました。
それまでは原価企画や購買の仕事をしていました。購買と
いう仕事は所謂企業活動をしていく上でなくてはならない
仕事でした。ですから自分が思うと思わざると仕事が生まれ
てくる業務でした。それに対して企画部門というのは自分が
何かをやらないと何も生まれないという仕事です。当初は
そのGAPにかなり苦労したことを思い出します。その企画
部門の仕事をやっていた当時、同じ職場に2つ下の後輩が
いたのですが、彼には社内外の情報がどんどん集まるし、
社内のお偉い方がよく話をしにくる、企画の能力も高いが
それを実現する能力が非常に高い優秀な人間でした。私は
「何で彼には情報が集まるのだろう、何で彼のところには
いつも誰かが相談に来ているのだろう」それが不思議で
しょうがありませんでした。しかし彼の仕事のやり方を
見ていてハッとしました。彼は誰かに何かを頼まれた時に
徹底的に時間をかけて期待以上のことを必ずやって返して
いるのです。どんなに自分の仕事が忙しくても。。
例えば誰かが一言、「こういうこと知っているか?」と
聞かれると、自分が知らないことでも、かなり時間をかけて
A3一枚のレポートにまとめて、聞かれた方にプレゼンする。
このように、依頼した方の期待以上の対応を必ずしていた
のです。そこには仕事上の壁など全くもうけていません
でした。
これが彼の所謂「頼られ力」です。私は社会人になって
一番最初に覚えたのは「自分の仕事の範囲を如何に減らし
リスクを低くしていくか」でした。
それが間違っていたことを私はその後輩から教えられたの
です。以降私はいかに周りから「頼られ力」を高めていくか、
心がけています。なぜなら「頼られ力」を高めること、
イコール最終的には自分のためになること、と考えている
からです。これからのバイヤーは自ら進んで自分の殻を破り
「頼られ力」を身につけていくべきです。「頼られ力」が
あるバイヤーには自然と情報があつまり、実行力や徹底力
が自然とついていくからです。
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これが私の「意識が変わる」きっかけでした。このきっかけとなった経験は「人のふり見て」であり「原因」と「結果」を経験したことがきっかけとなったのでしょう。
コンサルタントして、最近心がけているのは「人を変える」のではなく「人が変わる」お手伝いをすること、です。そのためは先ほどのような経験を踏ませることが大切です。
もちろん「どうしても変わろうとしない」人もいます。また「原因」が「結果」につながらないこともあります。
しかし日々「意識が変わる」きっかけとなる経験をさせることや、その経験をする舞台を作ることを心がけているのです。
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