ドラマ『凪のお暇』の名言「空気」は読まずに「吸って吐く」/内藤 由貴子
INSIGHT NOW! / 2019年8月31日 23時47分
内藤 由貴子 /
この夏、話題を呼んでいるドラマ『凪のお暇』は、心理セラピストの私から見ても、とても興味深いドラマです。
興味深い点は主に3つあります。
1、コミュニケーション
2、恋愛のこころの距離
3、「空気」を読んで自分が無くなること
主にこの3点でしょうか。
とりわけ「空気」はこのドラマのキーワードです。
◆ コミュニケーションと「空気」
主人公の凪は、空気を読み過ぎて人に合わせすぎ、心折れて、職場を辞め彼氏から去り、立川の安アパートで人生をリセットします。
そんな「お暇」中に知り合って友人になる龍子は、東大卒の高学歴にも関わらず「高学歴は空気が読めない」とそしられて職場を点々とし失業中。
凪の元カレ、慎二は職場の空気を読んで「凪みたいな子は全然興味ない」と周りに言います。
凪を失ってから、陰では号泣するほど好きなのに、凪本人には「お前みたいなやつ」を繰り返します。
2、の恋愛のこころの距離に少し触れますと、とても好きな相手の心の距離が近くなると、
相手に自分の中に入り込まれるようになって、追い出したくなります。
そういう愛の誤解は、かなりあります。
ドラマの中でも「あんた、小学生?好きな子をいじめるアレでしょ」と言われていましたが、同じことです。
他にもゴンちゃんとの関係など、語りたいネタはありますが、これだけにしておきます。
さて、凪が、空気を読まざるを得なかった一つの理由は、コミュニケーションが苦手だったから。
何をはなしていいかわからないので、いつも相手が投げてくれる言葉を待ち、
相手の空気を読んで投げ返すことで、自分は聞き上手だと思い込んでいたようです。
それをガツンと言ったのは、元カレの慎二。
凪は「自分に興味持ってくれる人しか興味ないだろ。」と言われ、自分から人に働きかけてないことに気づきました。
凪は、職場の女子仲間で愚痴をこぼす人がいて、みんなが「わかる…」と言えば自分も「わかる」ととりあえず言っておく。
そんなことを繰り返しているうちに、けっきょくそんな空気が吸えなくなり、過呼吸も起こし、自分をリセットせざるを得なくなったわけです
INSIGHT NOWの過去の投稿でも、何度か「コミュニケーション」は相手を理解することだとテーマに挙げました。
凪はそれができていませんでした。そのことによって自分を成長させる機会も逃しがち。
結果として、自分を追い込むことになったのかもしれません。
◆ 「自分度」を上げること
一方、慎二は行方知れずだった兄がユーチューバーになっているのを知り、探して本人に会うと、
『相変わらず仮面をかぶって生きているんだろ。どうせ「空気」読みまくってんだろ、家でも職場でも、女の前でも…』
と指摘され、空気を読むことで何を失ってきたのか、
ようやく気づき、仕事のイベント中に倒れてしまいます。
慎二の父は官僚で、母は世間体をとても気にする人。慎二は両親が望む「空気」を読んで育ったようです。
兄は、いち早くそんな空気に支配されずに自分らしく生きることを選んだ人で。
修二は、自分の外面と内面のギャップにようやく気づいたようです。
さて、凪が取り戻しつつあるもの、それは「自分自身」です。
私がやっているフラワーフォトセラピーで、「自分度」がどれくらいあるかを測る方法があり、
かつてある女子大生さんについてお母さんの依頼で対応したことがあります。
本人と直接会わずにお母さんを通してメールだけのやりとりでしたが、
スベリ止めで入った大学ではあるけれど、自分なりに外国語に取り組もうとゼミに入ったら、よくできる彼女は、あるボス格の学生によって、ほぼ全員にハブられる状態になってしまいました。
しかし、彼女の「自分度」が上がるにつれ、周りの低い次元の感情に合わせる必要はないと思い、毅然と勉強をしていたら、先生も味方になり「空気」を超越できたようです。
◆ 組織の息苦しい「空気」が生き辛さを生む
この「空気」の正体は、同調圧力です。
昨年末に出版された『「超」入門 空気の研究』鈴木博毅 著(ダイヤモンド社)は、
1977年、山本七平・著の『空気の研究』を今のビジネスパーソンが活用しやすいよう論理化されて書かれています。
鈴木氏の著書には「日本が再び破滅するなら、空気のためだ」という山本七平氏の言葉が書かれています。
『凪のお暇』は、徐々に自分を取り戻していくプロセスのお話ですが、そんな日本の縮図なのかもしれません。
まず内側にある空気をおなかの底からゆっくり吐く。鼻からゆっくり吸って新鮮な空気を体の奥まで満たしていく。そしてまた吐き吸う。これだけでも、緊張がゆるみ、自分を取り戻せていきます。
あなたの職場の空気は、軽やかに吸って吐けますか?
※ 写真は同調圧力のような空気から自由になれるイメージでアップしました。花のコーラルの色には、自分を大切にして自立する意味があります
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
高学歴なのに生きづらい“弱者男性”はなぜ生み出されるのか。トイアンナ×牛窪恵
日刊SPA! / 2024年4月21日 8時52分
-
「ただ勉強ができるだけ」東大から大手企業に就職、MBAも取得した38歳が、自分を“弱者男性”だと思うワケ
日刊SPA! / 2024年4月19日 8時54分
-
キャリアガールがモテない理由7選| モテるための第一歩とは?
KOIGAKU / 2024年4月13日 17時33分
-
子供に1000万円課金しても大学偏差値が3上がるだけ…賢い親は気づいている中学受験以外の課金先2つ
プレジデントオンライン / 2024年4月13日 15時15分
-
そもそも「仕事ができる人」は学歴をひけらかさない…「高学歴なのに仕事ができない人」の残念な共通点
プレジデントオンライン / 2024年4月6日 9時15分
ランキング
-
1黒田東彦・日銀前総裁「円安は一時的」…NYの講演で見解、マイナス金利解除・利上げは「当然のこと」
読売新聞 / 2024年5月3日 17時45分
-
2円上昇、一時151円台 3週間ぶり円高水準、介入警戒も
共同通信 / 2024年5月3日 22時28分
-
3いなば食品、大炎上も「ほぼ沈黙」の戦略的な是非 「沈黙は金」黙って耐える…のはもう通用しない
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 19時30分
-
4インフレ・金利上昇、マンション購入は急ぐべき? 長期では、マンション所有は3つのリスクの塊
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 11時10分
-
5東京で「舟通勤」は定着するか? ノー渋滞で快適も、課題は山積み
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月3日 8時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください