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「お客がいるから」は理由にならない。ブラック企業がわかる?災害対応/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2019年9月12日 10時40分

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増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

1.計画運休は失敗なのか?
大規模災害でも、台風のように事前予測ができるものであれば周到な準備ができます。JRなど首都圏運送機関が計画運休を決めるのはきわめて道理にかなうといえます。

しかしその設定、JR山手線は「8時まで運休」という対応は良かったのでしょうか?当日私は8:30に用があり、8時まで運休なら大丈夫かとも考えました。しかし実際に山手線が動き出したのは10時15分。普通なら30分かからない先にですが、山手線で行こうと思わなかったのは成功でした。(結果地下鉄は十分動いていたのですが)

計画運休は失敗では無いと思いますが、対応として「8時」を挙げてしまったことは失敗ではないかと考えます。8時だと、当初の私のように「何とか会社(アポ)に間に合う」と考えかねない時刻です。これを「午前運休」と発表し、どのみち通常出勤は無理だという判断材料を与えておけば、津田沼駅はじめ各所で起こった駅前大行列も少しは減らせたのではないでしょうか。

前代未聞の大きな被害をもたらす台風ですから、十二分に時間を取っておき、結果として午前10時15分再開になったのならば、むしろ良くやったと利用者は感じると思います。JRの特に現場技術者の方が一生懸命努力して下さっていても、8時といっておいて大行列、大混雑となれば怒りが沸いてしまうことは容易に想像できます。

2.会社の指示はあったのか?
一方、罪は運輸機関だけでなく、そもそも通勤すべき会社にも責任はあります。当日電車が止まるので前日ホテルに泊まったという声もあります。するとその宿泊費は誰が持つのでしょう?JRは止まっても、地下鉄私鉄バスを乗り継いで出勤した人もいるとのこと。その余分に負担した交通費はどうするのでしょう?

運輸機関だけでなく、会社側も事前に当日の出勤について判断する準備ができます。先の、「8時まで運休」という情報をどう解釈するか、会社の姿勢を見ることができるでしょう。会社が判断できなかった、間違ったのであれば、一般人が判断できないのは当然です。駅前大行列の責任の一端というか、半分は会社にもあるのではないでしょうか。

こうした交通の混乱はすでに十分経験済みのはず。もう少しJR発表を割り引いて準備するなど、対応は取れたのではないかと思います。最悪な対応は「すべて社員に任せる」ことです。出勤義務を課しているのは会社なのに、その判断を任せられても、社長ならともかく、社員はどうして良いかわかるはずがありません。

3.「お客さんが待ってる」という迷信
そんなこといったってお客さんがいて、アポもあって、待ってるんだという声はもちろんあります。実際待っているお客さんもいるのでしょう。しかし。

待ってもらってはダメなのでしょうか?

自分が遊びに行く予定なのに、お客の都合で我慢するのはその人の自由です。災害は遊びではなく、また自分の意思でコントロールできるものではありません。お客さんに台風で向かえないことを交渉するのは不可能なのでしょうか?

天災を認めないお客ということは、通常の取引においても天災以上の無理難題をふっかけてくるのではありませんか?自分が行かないとライバルに仕事を取られてしまうのだとしても、この先理不尽な理由でライバルに仕事を奪われることはないのでしょうか?

くり返しますが、災害は誰の責任でもありません。昨年の西日本台風大被害のさなかに宅配ピザバイクが転倒したりする事故がありました。災害時に宅配は休めないのでしょうか?

「災害だからお客が求めている」とすれば、お客が悪いといえます。3輪バイクすら走行できないほどの暴風下で、病気など特別な理由もなく自らの食事も準備できない人はお客ではないと思います。

災害でも無理して会わなければならないお客とは、多分本当のお客ではないと考えます。

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