オフィス労働生産性を向上させるために(4)会議に臨む準備をしっかりせよ/日沖 博道
INSIGHT NOW! / 2019年9月25日 15時1分
日沖 博道 / パスファインダーズ株式会社
弊社が会議を仕切る場合(といっても弊社が関与する仕事の大半がそうなのだが)、会議に臨む参加者には2つのことを強くお願いしている。
1つは、期限までに「宿題」を果たすこと。「宿題」というのはプロジェクトチームまたは参画メンバーに事前に課されたタスクのことで、期限も明確に決められている。大半のプロジェクトでは、元々WBS(Work-Breakdown Structure=作業工程スケジュール表)で示されている上に、毎回のミーティング時の終盤に次のミーティングまでの「宿題」と担当が確認される。この「宿題」をきっちりと果たすことが、参画メンバーに求められる最低限の義務である。
もう一つは、その「宿題」結果を事前に弊社を含むプロジェクトメンバー間で共有すること。大抵は資料ファイルを添付したメールを参加者全員に送るだけで済む。参加者が目を通す時間を確保できるよう、会議が午後一番くらいならその前日までに、最悪でも当日の朝には送ってもらう。たまに「仕上がっていないから」と弱音を吐いて躊躇するメンバーもいるが、それでも途中状態で構わないので送ってもらう。
なぜそれほど事前の共有にこだわるのか。それは弊社コンサルタントを含む他の参加メンバーが事前に目を通すことで理解が進み、意見や質問をあらかじめ持って会議に臨むことができるからである(特に弊社のコンサルタントにはその義務が強くある)。
それだけ会議での発言のレベルが上がり、有用なフィードバックや示唆を得られる可能性が高まる。きちんと前もって送ってもらえば、参加メンバーは全部を通して事前に読んでいるので、(あとのページで説明していることを質問するなどの)余計な箇所で質問を挟む事態が大幅に減る。会議の目的である企画などは着実に前に進み、会議回数も増やさずに済む。
実は弊社クライアントの大半のプロジェクトで、この「事前共有」が最初はなかなかできない。よくて会議直前に言い訳のように送ってくるか、悪い場合は事前にはまったく会議前には音沙汰無しで、会議での発表を促して初めて説明を始める人が続出する(これが普段、社内でやっているやり方のようだ)。
この後者のやり方を小生は「開けてビックリ玉手箱」と呼んで、幣社のプロジェクトではご法度にしている。質問に答えてもらいながら説明して進めることになると、どうしても説明が中心となり、その中身の吟味や「だからどうする」という肝心な話に進むのが遅くなる。まったく生産性が悪いので、二度とそうした直前共有や「開けてビックリ玉手箱」を繰り返さないよう、参加メンバーには改めてきつくお願いすることになる。
中には「中途半端な内容のものを送ると却って皆に迷惑を掛けてしまうと思いました」と言い訳するメンバーもたまにいる。本当に「言い訳」に過ぎないし、そもそも何がより大きな迷惑なのかを勘違いしている。
たとえ完成状態でなくとも、「ここまでは判明しました」とメールで補足してあれば、その事前資料を読んだ人には十分考えるだけの材料を与えられる。もちろん、幣社のコンサルタントはそうした「生煮え」の資料でも読み解いて、適切にフィードバックするだけの力量が求められる。
なぜこうした「開けてビックリ玉手箱」方式が多くの大企業で大手を振ってまかり通っているのだろうか。どうやら上から下まで、そうしたやり方に慣らされてしまっていて、疑問を覚えないようだ。
ではそもそもなぜ、こんな非生産的なやり方をするようになってしまったのだろうか。端的に言って、発表者の自信のなさからくるようだ。それは上司・役員など偉い人に突っ込みを入れられないようにする「逃げ」の心理の現れであり、でも一方では直前まで資料のブラッシュアップを続けていましたと言いたい「アリバイ作り」の心理でもある。
どちらも自分勝手な理屈であって、会社の生産性を上げるためには決して許してはいけない慣例なのだ。【追記】
中小企業経営者のための会員制の研究会、羅針盤倶楽部では「フォーカス戦略」と「新規事業開発」をテーマに講演・ワークショップを定期的に行います。
この羅針盤倶楽部についてご興味のある方は、下記のサイトで「無料の特典」ボタンをクリックしてメールアドレスをご登録ください。無料の特典レポート『新規事業失敗のパターンとメカニズム』と、無料ニュースレターにて関連情報をお届けします。
この記事に関連するニュース
-
会議を「全員やる気を失う時間」にしてしまう、3つのありがちな社内ルール
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月19日 8時10分
-
田崎史郎氏 異例の無効84票に見解「有志の会やれいわ新選組も同じような行動を取ったんじゃ…」
スポニチアネックス / 2024年11月11日 20時47分
-
開幕まで残り5ヵ月 株式会社ホットスケープは大阪・関西万博「栃木県ブース」の企画・運営等の業務を担当
PR TIMES / 2024年11月8日 16時45分
-
「深夜にメンバーに連絡」は要注意サイン…職場で増殖「有能なリーダーを疲弊させる新タイプの仕事」とは
プレジデントオンライン / 2024年11月5日 7時15分
-
業務時間を90%削減した実績も!株式会社Omluc、生成AIプラットフォーム「Dify」の導入支援サービスを開始
PR TIMES / 2024年10月28日 11時15分
ランキング
-
1【独自】所得減税、富裕層の適用制限案 「103万円の壁」引き上げで
共同通信 / 2024年11月23日 18時57分
-
2昨年上回る規模の経済対策、石破色は一体どこに?【播摩卓士の経済コラム】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月23日 14時0分
-
3副業を探す人が知らない「看板広告」意外な儲け方 病院の看板広告をやけにみかける納得の理由
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 19時0分
-
4《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン / 2024年11月23日 16時15分
-
5農協へコネ入社の元プー太郎が高知山奥「道の駅」で年商5億…地元へのふるさと納税額を600万→8億にできた訳
プレジデントオンライン / 2024年11月23日 10時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください