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ドンキホーテ出店コストは誰が負担すべきか/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2019年9月27日 10時42分


        ドンキホーテ出店コストは誰が負担すべきか/増沢 隆太

増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

1.誰も教えてくれないドンキ進撃の秘密
ビジネス誌・サイト中心にドンキ礼賛記事はあふれかえっています。これだけの業績とポジションを確保した企業を否定することはもちろんできないし、ドンキが成功していることは間違いありません。しかしドンキ礼賛記事は未だに、何十年も前の圧縮陳列やらエキサイティングな売り場造りのような、しょーもないチョーチンばかり。

私はドンキ成功の秘密がわからないので、いろいろな記事で勉強しているのですが、納得がいく説明だったのは唯一、BCN+RニュースのドンキホーテHD・大原社長兼CEOのインタビューです。

出店失敗だと即時判断した場合も、自社物件なのでただちに不動産事業に転換すれば損しないという説明には納得しました。ワクワク感とかではなく、失敗リスクへのもっとも説得力ある説明で、小売業では必ず避けることができない出店ミスへの大きなヘッジがあること。それがあれば、成功出店だけを続けることができることなど、非常にわかりやすいと感じました。

これだけが成功の秘訣なのかはわかりませんが、PRをそのまま秘訣と言われても全く納得できない中、成功の一つだと感じ入った次第です。

2.ドンキが嫌われる訳
バラエティ番組や街頭インタビューなどで「ドンキ大好き!」といっている人たちは結構共通点があるイメージです。

「若くて、パリピっぽい人が多い」「ファミリーでもアルファード/ベルファイア乗ってそう」「日頃価格情勢など知らなそう」※あくまで勝手なイメージです。

18時ぐらいに行ってみても、イオンや西友と明らかに客層は違うようです。もちろん勝手イメージに合わない人も当然いますが、やはり一般主婦が圧倒的に多い総合スーパーより年齢が若く、男性比率も高いと思います。都市型でも大型のドンキホーテ新宿店でも、仙台晩翠通り店でもほぼ近い客層だと思います。

この客層が嫌われる原因なのだろうと感じます。

店そのものは長時間営業で、低価格で、近所にあって困る存在ではないはず。しかし実はスーパーの特売よりは安くなく、通常価格も特に安くはないが定価よりは安い程度のプライシングでも「ドンキ激安!」とスーパーチラシなど読むことがなかろうパリピさんたちは言っているのでしょう。

ドンキが嫌なのではなく、ドンキに集まる客層が、地元の人が嫌がる原因だといえます。夜中に騒いだり、たむろしたり、排気音の大きい車やゴミなど、来店客がもたらす害は一般スーパーでは考えられません。

3.運営コストは負担しないの?
福島原発事故後、私は原発が低コストという主張はウソだと信じるように変わりました。一回の事故で普通の企業が負担し得るレベルではない損害が発生するリスクを、「低コスト」と呼べるはずがありません。原発コストには事故時の補償を含ませずに計算できないと思います。

大店法という縛りも消え、やりたい放題、出したい放題できる環境は整ったかも知れません。しかし店舗周囲の風情や治安についてのコストはすべて公的機関に丸投げで大儲けというのが、どうにも納得いかないのです。

店が迷惑行動をしているのではなく、客が勝手にやっているのだから警察や役所が対応すれば良いというのは、やはり上場企業倫理として間違っているのではないでしょうか。少なくとも隣にドンキが出店されたら便利以上に迷惑客が夜中も集まることは容易に想像できるので、困ります。

儲ける自由を主張されるなら、店舗周囲に24時間ガードマンを配置し、ゴミ放置や自転車、バイク、車の放置を監視するなど、問題の根幹への対応コストは負担すべきだと思います。租税回避でばく大な利益を独占する多国籍企業も同じ、ズルして大儲け、だけどきれい事で済ますというのは、どうにも納得いきません。

ぜひ地元住民の不安を取り去るような適性コストを負担して、大儲けしていただきたいと思います。

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