コンテンツマーケティングのネタに困ったときは「ジョブストーリー」を考えよう/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2019年12月15日 13時15分
![コンテンツマーケティングのネタに困ったときは「ジョブストーリー」を考えよう/猪口 真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/insightnow/insightnow_10725_0-small.jpg)
猪口 真 / 株式会社パトス
ダイレクトマーケティングが広まるにつれ、様々な業態においてコンテンツマーケティング的なアプローチをする企業が増えてきた。エンドユーザーが現在のビジネスや生活において、自社の商品やサービスに関連するテーマのなかで、利便性や質の向上につながるコンテンツを発信することで、エンドユーザーとの信頼関係を築こうとするわけだ。
しかし、商品を提供する側からすれば、プロダクトアウトの発想から離れるのは至難の業で、ユーザーのベネフィットから発想することは、なかなか簡単なことではない。
そうすると、すぐに起こるのが「視点の少なさ」で、多くの企業がコンテンツの継続した作成と発信に困ることになる。
当初は意気込みもあり、月に複数のコンテンツを発信するものの、いわゆる「ネタ切れ」状態になってしまい、いつのまにか滞ってしまい、最新の更新が1年前といったことになってしまう。
当然、最初に、コンテンツのカテゴリーやテーマを広く持ち、定期的な更新を意識するのだが、いずれ限界にきてしまうのだろう。
ネタが少なくなってしまうのは、ある程度は仕方のないことだが、コンテンツマーケティングとしての仕掛けを維持していくために、何か良い方法はないのだろうか。
ペルソナの設定がコンテンツマーケティングを難しくする?
最初のカテゴリー分けの際に、よくやってしまうのが、ターゲットユーザーごとに絞った「ペルソナ」アプローチだろう。
実は、コンテンツのネタ切れに陥るのは、このペルソナ設定にあると指摘する人は多い。
たとえば、ユーザー属性のひとつとして、40歳代後半の年収1000万円のビジネスマン、平日の夜は、遅くまで仕事をしていることも多く、時間を見つけ出しては、様々な交流イベントや勉強会に勤しんでいる。休日はジムに通って汗を流しており、心身ともに、成長とスキルアップに常日頃心掛けている、的なペルソナを描くわけだ。
そこで、マーケティング担当者は、こうしたちょいリッチなエネルギッシュなビジネスマンがほしがるコンテンツを探す。そしてビジネススキルアップや自分自身を高めることについては惜しみなくお金を出すと考え、それにつながるようなコンテンツを発信するといった具合だ。
ところが、このビジネスマン、常にスキルアップのことを考えているわけでもないし、むしろ、もっといろんなことを省力化したいと考えているのかもしれない。それよりも、こうした忙しい(収入からみて)人は、抱えられないほどの仕事や生活の用事を必死で片付けている。
ジョブ(用事)を片付ける
コンテンツマーケティングの肝のひとつは、この「用事を片付ける」という観点から考えてみることとにもある。
この「用事」(つまりジョブ)という概念を世に広めたのは、クリステンセン(ジョブ理論:Jobs-To-Be-Done)だが、マーケティングの雄、レビットは、「ドリル」と「穴」の対比で、本質を表していた。ドリルがどれだけ高性能だろうが、省エネルギーだろが、「穴をあける」という用事を片付けることができれば、ドリルのスペックはまったく関係ないことであり、穴が手に入るのなら、別にドリルという機械でなくともかまわない。
この「ジョブ」という概念は、ペルソナから導かれるニーズとは異なり、商品やサービスの購入はなんらかの用事を片付けるためになされることであり、その用事も、ひとつではないし、状況によっては変わるということ、これを理解することが重要だ。
この用事を片付けることをかっこよく呼ぶと「ジョブストーリー」となるだけの話なのだが、この「ジョブ」の観点で考えると、少し違った見え方になる。
例にあげたビジネスマンでいえば、日々の交流イベントに参加するのは、新しい顧客を獲得するためのひとつの方法として行っているのかもしれないし、新しいレストランを探しているのかもしれない。あるいは、上司の代わりに精力的に名刺を配るのが目的だったりするのかもしれないし、あるいは、人脈をつくることで、実は転職活動をしているのかもしれない。つまり、何かの用事を片付けるために、行動しているわけだ。
もちろん、こうした物理的な機能だけではなく、社会的・情緒的な満足感が大きく影響することは間違いないし、この点については、改めて紹介したい。
この「ジョブ」を片付けることを徹底的に考えれば、コンテンツマーケティングの手法としてだけではなく、商品開発や実際のプロモーションにも大きく役立つだろう。
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