忘年会をどう活用するか/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2019年12月22日 14時36分
![忘年会をどう活用するか/猪口 真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/insightnow/insightnow_10734_0-small.jpg)
猪口 真 / 株式会社パトス
12月下旬、忘年会はピークを迎え、あちらこちらで酔っ払いのおじさんたちを目にする機会が増えているが、忘年会はどの程度存続しているのだろうか。
まだまだ多くの伝統的な会社で「忘年会」が行われているのだろうが、かつてほどは耳にすることが少なくなった。
忙しい人なら、自分の部署だけではなく、プロジェクトごとや取引先との忘年会など、12月はほぼ毎日という話もバブル期はよく聞いたものだが、そういう人は今どれぐらいいるのだろう?
このもはや懐かしい響きすらある「忘年会」に関して、昨年の調査ではあるが、田辺三菱製薬から発表されたアンケート調査(20歳~49歳 働く男女500名)の結果から見てみよう。
半数以上が「行きたい」?
調査結果では、「参加したい」が29.6%、「どちらかというと参加したい」が26.2%、これを100%からマイナスすると、合計44.2%の人が「参加したくない」もしくは「どちらかと言うと参加したくない」と回答しており、楽しいはずの忘年会に、実は参加したくないと思っている人がかなりいるということだった。
20歳から49歳までの調査なので、この結果は順当すぎるのだろう。逆に50歳以上の調査結果も見てみたいものだ。
しかし、逆に驚いたのは、20歳から49歳までの調査にもかかわらず、半数以上が、行きたいと思っていることだ。
私など、サラリーマン時代、会社の忘年会ほど参加したくないものはなかった。料理はまずいし、飲みたいお酒もない。上司の価値観を押し付けられるし、第一、自分の時間とお金が犠牲になると思えるのが本当に嫌だった。ところが、今でも意外にも参加したいと思っている人はいるものだ。部長さんは、安心して忘年会を開催してもらいたい。
では、この忘年会、仕事という観点からいえば、自らセッティングしてまで、積極的に参加すべきなのだろうか、必要最小限におさえてやりすごすべきなのだろうか。果たして忘年会はキャリアに影響するのだろうか。
仕事の能力と忘年会を考えた場合、ひとついえるのは、行きたい・行きたくないにかかわらず、仕事ができる人のほうが誘われる件数が多い。その仕事上、関係上、必要だと認められている証だといえる。
またコミュニケーション能力という観点でも優れている(一緒にいて楽しい)ので、そうした会に誘われる側面もあるだろう。要は、「あいつと一緒に飲みたい」と思わせるということだ。
また、忘年会といえども、ひとつのイベントだ。このイベントをどう仕切り、どうさばくかは、ビジネススキルと直結する。優秀な幹事が仕切った忘年会は参加して楽しいし、また参加したいと思う。
仮に、あなたが年に一度忘年会を主催するとして、予算、スケジュールを無視すれば、どんな忘年会を開催したいだろうか、誰を呼び、どのようなメンバーで忘年会をしたいと思うだろうか。
そこで思い浮かべる人は、やはり一緒に仕事がしたい、これからも付き合いを続けたいと思う人だろう。あなたが、その逆の立場であれば、ビジネスにおいては安泰だろう。
この調査の中には、なぜ参加したくないかの理由もあったが、要は「上司が嫌いだから」というものが並んでいた。
行きたくないと考える理由にも、仕事の能力面があらわれていると感じる。「セクハラやパワハラまがいのことがある」といった理由であれば、別の問題だが、大半は自分自身の能力やとらえ方の問題ではなく、上司や会社という「自分のまわり」に起因するものだ。
忘年会は仕事の延長であるわけだから、好きとか嫌いとかではないだろう(業務時間外だから仕事ではないという意見は横においておく)。
行きたくないという気持ちの理由だから、こうした「人のせい」になるのも無理はないが、忘年会を楽しめない、活用できないのは、そればかりではない気がする。
うまく使えば、本音を聞き出すチャンスもあるかもしれないし、普段コミュニケーション取れない人と話す機会だってあるだろう。
どのような場であっても、常に機会をうかがっているような人であれば、積極的に活用していくはず。
上司だろうが役員だろうが、使えるものは使う、のだ。そういう意味でいえば、忘年会に限った話ではなく、仕事の場以外のコミュニケーションの機会をどのように考え、実践していくかということなのだろう。
以前、医学部の教授に、ビジネスで将来成功するかどうかは、酒の席の乗り切り方による、という話を聞いたことがある。
(今は少ないだろうが会社によっては)毎日のように設定される酒席で、まともに飲んでいたのでは身体が持つはずがなく、だいたい50歳代の仕事のピーク時に身体を壊し脱落するという。「飲んだふりをする」「薄くする」など、酒量をコントロールし、自分の身体を第一に考えて乗り切ることができた人だけがトップに向かって進んでいく、と。
とはいえ、一部の「自分自慢好きな」人たちだらけの忘年会には、できることなら参加したくないものだ。忘年会、新年会、納涼会に限らず、コミュニケーションや成長の機会があると考えることができれば参加すべきだし、まったく時間の無駄だと思えば、やめればいい。
参加が義務であるならば、何か目的をつくって参加してみるしかないだろう。
くれぐれも、自分の身体を第一に考えることを忘れずに。
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