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​KGIとKPIと新型コロナウイルス/野町 直弘

INSIGHT NOW! / 2020年3月11日 10時0分

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野町 直弘 / 調達購買コンサルタント

KGI、KPIの重要性は言うまでもありません。

KGIは言うまでもなく、Key Goal Indicatorの略であり、(ビジネスの)最終目標を定量的に評価できる指標です。
重要目標達成指標とも呼ばれます。一方でKPIはKey Performance Indicatorの略で、KGIを達成するための各プロセスが適切に実施されているかどうか定量的に評価するための指標で、重要業績評価指標とも呼ばれています。

調達購買業務においてもKGI、KPIが明確でないため、業務がうまく進まない、意識が変わらない、ということを聞くことがあるでしょう。

例えばあるビジネスでのKGIは収益の最大化であり、そのための調達購買部門のKPIはコスト削減だけでなく、粗利の最大化(高く売れるものを仕入れる、数多く売れるものを仕入れる)ということもKPIとして上げられます。このように幅広くKGIにつながるKPIを設定すること、また、これら多くのKPIを達成のための施策(対策)を実行することが重要です。

今世の中を騒がせている、新型コロナについても同様のことが言えます。

新型コロナウイルスの国内外での感染拡大が止まりません。
ヤフーのとりまとめによると3/6日現在で日本国内で360人の感染者、6人の死亡者となっており、感染者数は前日比で43人増えています。2月25日に政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表しました。そこには国内侵入対策から国内感染拡大防止を重視する時期に既に入っており、最終的には重症化防止を目的にしていく、とうたっています。

【現時点での対策の目的】(基本方針より抜粋)
・感染拡大防止策で、まずは流行の早期終息を目指しつつ、患者の増加のスピードを可能な限り抑制し、流行の規模を抑える。
・重症者の発生を最小限に食い止めるべく万全を尽くす。
・社会・経済へのインパクトを最小限にとどめる。

上記が基本方針からの抜粋です。ここで疑問がでてきます。
最終目的が何でKGIは何なのでしょうか。

政府ははっきりとは明言していませんが、最近の論調によるとどうやら最終目的は「重症者(や死亡者)の発生を最小限に食い止めるべく万全を尽くす」ことのように感じます。そうするとそのためには「感染の拡大を防ぎ、流行の規模を抑える」またそうは言え「社会・経済へのインパクトを最小限にとどめる」を両立させることをプロセス目標として考えているように理解できるでしょう。

そうすると現在の対策の良し悪しや、不十分な対策案を検討することができます。

まず政府は、2月25日の基本方針で①テレワーク、時差出勤の推進②イベント等の開催の必要性検討③疑似症患者に対するPCR検査④個々の患者および患者クラスターの把握および抑え込み⑤学校等の臨時休業等の適切な実施⑥医療機関における病床や人工呼吸器等の確保⑦医療関係者等に対して、適切な治療法の情報提供を行うとともに、治療法・治療薬やワクチン、迅速診断用の簡易検査キットの開発等に取り組む⑧患者の更なる増加や新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえた、適切な入院医療の提供体制、などが上げられています。その後2月27日に政府は学校の休校を要請し、また水際対策の追加として、3月9日から中国・韓国からの入国制限を対策として追加しました。

端的に考えてみると国内での感染拡大を防ぐためには、感染者が次の感染をさせないこと、です。つまり全ての感染者が2週間感染させないことが求められます。しかし、現状全ての感染者を明確にすることは難しいです。また新型コロナは感染しても自覚症状がない軽症者が80%以上を占めるというやっかいなもの。そうすると患者および患者クラスターの絞り込み、最低限感染を防ぐための学校の休業、クラスターの元になりそうなイベントの中止、などができる最善策となるでしょう。
こう考えると今うっている国の施策はあながち間違っているとは言えません。

一方で上記対策の⑥~⑦のような重症者対策をより優先すべき、であり、あまり報道はされていませんが、「重症者の発生を抑える」という目的を達成するためには、本来最も重視されるべき対策かと考えられます。

そう考えると死亡者数が6名(3/6日時点)ということは、人口比で考えると、政府の対策はうまくいっているとも言えるでしょう。一方でWHOの調査によると新型コロナの致死率は3.8%と発表されています。しかし、これは医療崩壊が見られた中国武漢市の5.8%も含んでのことで、中国の他の地域では0.7%とのことです。

これで逆算してみると、日本国内には現在900人弱の感染者がいると計算できるので、今後しばらく感染者は増えていくことでしょう。

現段階でのKGI、KPIとしては、おそらく1500人~2000人規模の感染者をピークとして10人程度の死亡者数(致死率0.5%)に抑えられれば、どうにか重症化を抑制できたと言えるのではないでしょうか。

これが今達成すべき国内のKGI、KPIと考えられます。

今一番怖いのは高齢者から高齢者への感染です。今回の対策で高齢者から高齢者への感染については、感染の実績に基づいて事後にモグラたたきをしているだけのように感じます。
家庭内感染の予防や、高齢者に対する行動規制や自粛を求めることなど、まだまだやらなければならないことが多いでしょう。感染しているにも関わらずジムやスナックに行くことなど、あってはならないことです。またクラスターが発生したからと言って、全ての施設を閉鎖の対象とすることも近視眼的です。

これだけクラスター感染が発生しているのであれば、その共通点をあらゆる点から科学的に分析し、クラスターが発生する要因を仮説レベルでも特定し、それに対する対策を講じることが「社会・経済へのインパクトを最小限にとどめる。」ことにつながるのではないでしょうか。

いずれにしても適正なKGI、KPIを設定した上で最短にこの状況が収まることを願っています。


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