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リモートワークでも問題ない人は、やっぱり普段から仕事ができる人だった/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2020年3月15日 19時15分

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猪口 真 / 株式会社パトス

リモートワークや自宅での勤務を採用する会社が増えてきた。マスコミも、この機会に働き方改革を一気にすすめるべきだといった論調が目立つ。周辺でも、大人数でのミーティングを禁止する企業も増え、ZoomなどのWeb会議システムを利用する機会が増えてきた。

(ただしあれだけコンプライアンスなどの理由で、社外からのアクセスに不便さを主張していた大企業の人たちはホントに大丈夫なのだろうかと思ってしまうが)

日ごろからオフィスにいることの意義を感じていない人は多いだろうし、こうした状況を歓迎する向きは多いと思っていたのが、実際はそうでもないようだ。「オフィスに来なくてもいい」と言われていても、実際に出社する人たちは多いし、相変わらずの電車の込み具合を見ていれば、ほんとにリモートワークを推進しているのかと思ってしまう。

かくいう私も自分のオフィスは大好きだ。デスクの周辺の資料にはすぐ手が届くし、引き出しの中のものも使用頻度は高い。本などの資料は膨大にあるし、デスクが一番仕事がしやすい。相変わらず、以前と変わらない時間にオフィスに行くし、顧客へも訪問する。

Web会議でどうですか?と言われても、私のようにオフィスにいる時間が不定期きわまりないと、時間を合わせづらく、うまく利用できないことのほうが多く、結局は「行くから」と言って、無理矢理ミーティングしてしまうことのほうが多い。(若手の相手にとっては迷惑なのか)

つまり、完全に古い人間になってしまった感もありありなのだが、リモートワークをこなし、生産性を上げるスキルが身についていないことの証だろう。

リモートワークで生産性が上がることが、自分でなかなか実感できないのだ。リモートで仕事をするたびに、かなりのスキルが必要とされることを痛感してしまう。

実際、休日など自宅で仕事をすることも多く、原稿書きや企画書など邪魔も入ることなく進み、夜には「仕事した感」満載になり、これで明日からは少し楽だと充実感にひたるのだが、翌日、実際に楽になったことなどほとんどない。

相当な修正や調整か待っていたり、ずれていたりするのだ。

私の場合、人と合わなかったり、うまく切り替えを入れられなかったりして、長時間同じものに没頭してしまうと、自分のアイデアや企画に酔ってしまい、間違ったまま突き進んでしまうことが多い。

ある意味、私の仕事は、周囲のニーズに合わせながら、修正作業を日々繰り返すことなのかもしれない。それは、仕事は一人ではできないことの証明でもあるのだが、そうした仕事は、頻繁に人と会うことでかなり解決する。(かといって、週末仕事を放っておくのも怖すぎてできないが)

だから、フリーの方々で、自宅を事務所兼用として仕事をしている方々には、心から尊敬する。私自身、そういう方々と仕事をする機会も多いが、質、量ともにスペシャルな人たちばかりだ。

では、どんなスキルが必要なのだろうか。

リモートワークの場合、メールやチャットでのやり取りが中心となり、明らかにコミュニケーションの量が減少するので、端的な表現力と理解力、つまり、的確な文章力と理解の早さが必要だ。

ところが残念なことに、こういうトレーニングを行ったことのある人は限られており、大半の人の文章では、本意が伝わることはない。何を言っているのかわからない人も多いし、数時間やり取りしても、さらに疑問符のついたメールを送ってくる人もいる。

もう完全に、移動してでも会って話をするべきなのだが、こうしたロスは、非常に多いし、ストレス満開になる。

余談だが、メールや言葉では、やたらと過激に、攻撃的になるひとも少なくない。会って話す分にはいい人なのだが、メールだと言えないことも言えてしまうのだろう。そういう人が、リモートワークをしてしまうと、精神的にもよくないのではないか。

それから、根本的なことになってしまうが、普段オフィスにいる人がリモートワークをこなすために本質的に必要なのは、仕事への主体性だろう。もともと指示待ち、受け身体質の人の場合、在宅ほど快適なものはないと思う。企業でお勤めのサラリーマンの方々には、会社に行く事、会議に参加することなどが仕事になっている人が少なからず存在する。

ということは、成果が仕事ではないから、リモートだとすることがない。本人にとってはこんな楽チンな仕事はないのだが、リモートワークによって成果を求められたりすると、これはやっかいなことになる。

オフィスにいれば、なんだかんだと指示を受け、やることは出てくる。しかし、リモートだと指示はほとんどこない。指示がなければ仕事しなくてもいいのだ。

以前、私も「この人はスペシャリスト」だと思ってある人を採用したのだが、「何時から何時までが勤務か」「会社に来たらまず何をするのか」といった質問ばかりが来たときには、驚いたものだ。てっきりその人が持っているスキルを発揮するために、仕事をしたいと思っているのだと判断していたのだが、どうも違ったらしい。

リモートワークに切り替えると、この逆のことが起きる。

的を得た判断力、素早い理解力、仕事への主体性、なんのことはない。

リモートワークでも可能な人は、普段から仕事ができる人だったのだ。

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