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どうなる「接客」?  コロナ禍で進む「デジタル接客」/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2020年5月13日 14時50分

どうなる「接客」?  コロナ禍で進む「デジタル接客」/猪口 真

猪口 真 / 株式会社パトス

接客にもデジタル化の波が押し寄せているという。

コロナ禍によって、人と人との接触が厳しく制限され、営業を受ける方のマインドも人との接触を避ける方向になっていけば、おのずと、フェイストゥフェイスが当たり前だった営業スタイルは、変化せざるを得ないのだろう。

「新しい生活様式?」というよくわからない言葉になぞれば「新しい営業様式」か。

人と人が接触しない(少ない)営業や接客は、当然デジタル技術が活用されるため、いわゆる「デジタル接客」と呼ばれることもあるが、今後接客はどうなっていくのだろう。

今回、コロナ禍で大きな被害を受けているB2Cの小売りにおいては、特に人と人が接しない接客は、できることならすぐにでも取り入れたい手法だろう。

現実にも、いくつかの手法を取り入れたり提供されたりしているサービスが生まれている。

まずは、もっとも単純な仕組みだと言えるのが、接客を人ではなくロボット(いわゆるデジタル)でやってしまおうというものだろう。

単純に、人をロボットに置き換えるもので、以前から、娯楽施設の受付やホテル、飲食店などに受付ロボットはいた。当初は、サービスの一環というか、販促イベント的な位置づけで設置されているケースが多かったが、これらのロボットの機能は日に日に進化しており、AIがかなりの部分までカバーできるようになっている。

AIが進歩し、一方的にロボットから発信するだけではなく、質問を理解し、情報が蓄積されることで機械学習が進み、顧客の声に対して、的確な商品やサービスを提案したり、発信したりすることが可能になっている。

当然、こうしたロボットは多言語対応が可能なため、その点では、人間の持つ機能をはるかに上回っていることになる。オリンピック含めた、世界的なイベントでは、大活躍することだろう。

さらに、小売店では、レジ機能はかなりの部分で無人化が進んでいる。ユニクロでは大半の店舗がすでに自動レジだ。今後、電子マネーや電子レシートがさらに普及していけば、レジの無人化はさらに進むだろう。

次に、お客様には店舗に来てもらうのだが、接客はあくまで「モニター」越しに行うという接客スタイルだ。

たとえば、小売店などで、デジタルサイネージ用のモニターを設置し、モニター越しに遠隔オペレーションによって接客を行う。接客クオリティもコントロールでき、人的リソースの削減が可能だろう。

サイネージは、自由に変更できるので、用途によって使い分けることもできる。こまかい商品についての提案は、10インチ程度の端末で十分だろうし、実演販売や顧客参加型のイベントなどは、等身大のモニターを活用することで、より臨場感が高まるだろう。実演のスタッフは本部一人で済む。

会員化などへの誘導を含め、タッチパネルを利用した双方向のコミュニケーションや、マイクとカメラによるリアルタイムの会話も不可能ではない。

そして、店舗に来ない顧客にどうアプローチするかという問題もある。

今後は、店舗への来店人数が大幅に増えることは想像しにくい。店舗に人が集まらないということも、考えておく必要があるだろう。これまで店舗で接客活動を行っていたスタッフが、お店に来ないお客様に、スマホを通じて接客するわけだ。

最近ニュースでも話題になった、北海道・鹿部町の「道の駅しかべ間歇泉公園」。道の駅スタッフが動画でマンツーマン接客を行なう「どこでもニコニコスタッフからお買い物 from 道の駅しかべ間歇泉公園」というオンラインによる接客サービスを開始した。

お店の臨時休園中に、来店の予約を受け付け、時間になるとwherebyを使用して、店内のスタッフがお店の中の商品を紹介する。決済は、PayPayを使用しているらしく、案内用と決済用の2つの端末を使う必要があるのは少し不便だが、じきに連動したサービスは出てくるだろう。購入した商品は、道の駅に取りにいくか、配送を選ぶという。

店舗に顧客が行かないということは、商品の受け取りも、宅配ということになる。商品を配送するのであれば、すでに持っているEコマースを利用するのが一番だろう。つまり、リアル店舗の販売員であっても、Eコマースへの誘導を図るビジネススタイルを選択する機会も増えるだろう。

これまで、販売店舗とEコマースの両方を運営していた会社は、仕組みとして、Eコマースでの販売とリアル店舗での販売は競合とされていたところが多かった。A店、B店、Eコマース店、という具合だ。

しかし、今後これだけ、リアルからEコマースへの流れが加速されれば、会社によっては、Eコマースを中心として、むしろ販促やイベント的な位置づけとしての店舗というマネジメントにシフトするところも増えていくだろう。実際に、利益率が格段に高いため、収益的にもプラスのはずだ。

こうなると、もう完全に販売戦略の見直しと言える。これまで、ショッピングの楽しさを味わうために店舗に出かけていたが、オンラインでも楽しい接客が味わえるとなれば、早急な店舗マネジメントの改革が求められるだろう。

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