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コロナ禍で企業の情報発信が大きく変わった。編集力が明らかに足りないぞ/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2020年6月28日 8時43分

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猪口 真 / 株式会社パトス

コロナ禍によって制限されていたビジネスパーソンの動きも、イベントなどを除けばほぼ解除され、かたち的には自由に動けるようになり、営業的な活動も可能になってきた。

とはいえ、コロナ前は、会議室の確保すら難しく、あれだけ流行っていたセミナーや講演会などは、いまだ開催すらできず、Webでの情報発信を模索中だ。

営業マンの面談機会も大幅に減少し、対面でのプレゼンテーション機会が激減している。

編集が足りない!?

その結果、映像コンテンツやドキュメントによるコンテンツの表現、発信が増大しているわけだが、周囲の企業を見る限り、明らかな編集機能の不足という状況が起こっている。

編集機能といえば、かつて10年ほど前に「コンテンツマーケティング」がバズりはじめたとき、コンセプトとなっていたのが、「編集者になろう」だった。

広報やマーケティング部門がエディターとなり、企業内外にある情報をコンテンツに昇華させることで、ダイレクトなセールスではない、コンテンツを提供することで、マーケティング、セールスにつなげる。コンテンツマーケティングはSEOの強化策としても今でも増加中だ。

そして今、映像配信にしろ、セールスに活用するドキュメントにしろ、編集ものコンテンツが大量に生み出されているわけだが、明らかに「編集」というプロセスが機能していないケースが激増している。企業内での編集機能が足りていないのだ。

編集力がものをいう

リモートワーク、テレワークが推奨され、オンラインでの仕組みやシステムばかりがもてはやされているが、それらはあくまで手段であって、仕事の内容の話ではない。

結局、環境が変わり、リモートワークになろうとも、結果を出している人に共通しているのは、コンテンツの編集力に長けている人だと言える。

編集力とは具体的に何を指すのだろうか。

まず、編集するためには、もとになる情報量、コンテンツの量が必要になる。最終的に10のコンテンツを発信するとしても、もともと10の情報量しかなかったものと、100の情報量から、使えるものとして吟味し、厳選した10の発信コンテンツでは、クオリティに差が出るのは明らかだろう。

編集力に長けた人は、普段からの情報収集に余念がない。逆説的だが、ブログでもSNSでも、定期的に個人的な情報発信を行うのも、情報収集にはいい方法だ。きちんとした情報発信を行うには、情報収集が不可欠だからだ。

次に必要なことは、相手のニーズに合わせて、情報を選択していくこと。情報が多すぎる提案やコンテンツは、逆に伝わりにくくなるものだ。せっかく集めた情報は、捨てることが惜しくなるものだが、勇気をもって捨てることも必要となる。

当然のことながら、情報を選択するには、相手のニーズを的確につかむ必要がある。そうでないと、選択する基準がないことになる。Web配信の場合、ここが難しくなる。実際のイベントのように相手の顔が見えないため、ユーザー像がつかみにくい。適切なMAツールやCRMツールの活用も必要だ。

編集力とは、言い換えれば、相手の望むことに応えることでもある。

そして最後に、伝えるための工夫、演出だ。通常、編集力といえば、この部分のことを指すことが多いが、情報収集と情報の選別があっての編集ということを忘れてはならない。

伝えるための工夫、演出とひとことで言っても、2つのプロセスがある。ひとつは、論理的な組み立て力、構成力というべきスキルだ。

ストーリーづくりともいえるこのスキルは、映像、講演、ドキュメント、いずれの媒体においても欠かせない要素。この能力を磨くには、やはり、様々なメディアの作品に触れて、引き出しを増やすのが重要だ。

また、レベルは上がるが、見せ方、スタイルにもこだわりたい。映像であれば、講演スタイルだけではなく、対談、インタビュー、パネル、ドキュメンタリータイプ、あるいは、アニメーションなど、様々な方法を検討すべきだし、ドキュメントにしても同様だ。

もうひとつは、実際の表現力の部分。情報を伝える際には、基本的に、実写、グラフ、文字、音声で構成されるわけだが、適切な方法を選択することはもちろん、自分なりの得意技を磨いておくことも必要だ。文章が得意な人は、文章力を磨くべきだし、話すのが得意というなら、話し方を磨けば、Web配信での機会は増える。デザインや絵心も同様だ。

編集力は、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき能力だ。誰でも検索さえすれば、情報に触れることができる。何を選び、何を捨て、どう表現するか、このスキルの差によって、相手のエンゲージメントが変わるのは間違いない。

これからのWithコロナ時代、マーケティング担当者は、ますます編集力が問われていくのだろう。

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