隔離(コロナ)の時代に、いかにIntimacy(親密さ)を保つのか/石塚 しのぶ
INSIGHT NOW! / 2020年7月2日 4時11分
石塚 しのぶ / ダイナ・サーチ、インク
コロナの時代に課題として浮上していることがいくつかある。たとえば、人と人が物理的な距離を保たなければいけない「隔離の時代」に、いかにつながりを保つのか。そして企業はいかにそれを支援できるかだ。
最近、世界最大の小売店舗業者ウォルマートは、アメリカで、ローカルに根差したソーシャル・ネットワーキング・サービスを展開する「ネクストドア(NextDoor:評価額20億ドル)」と提携して、買い物に行けない高齢者やその他感染リスクが高い人たちのニーズを満たす地域の助け合いプログラム(Neighbors Helping Neighbors)を立ち上げた。ネクストドアのサイトやアプリを通して、買い物支援が必要な人と、支援を提供できる人をマッチングするというものだ。
このプログラムを利用するためには、まず、ネクストドアへのメンバーでなくてはならない。メンバー登録を済ませて、ネクストドアの「グループ」機能を利用し、最寄のウォルマート店舗に紐づけされたグループを探す。そして、そのグループを通じて、「買い物が必要な人」と、「買い物支援を提供できる人」がお互いを探すことができるというわけだ。いつ買い物に行って、何を買って、買ったものをどこでどうやって引き渡すか、どうやって支払うか・・・といった詳細はメッセージ・ボードで通信したり、ダイレクト・メッセージをやり取りしたりして詰めることができる。
ウォルマートにしてみれば、自らの店舗での買い物を促進することで売上獲得につながる・・・ということもあるだろうが、その他に、より長期的で、より意義深いメリットを念頭に置いているようにも思える。コロナは私たちの日常の平穏を脅かす緊急事態だ。企業が今、「どのように振る舞うか」が平時にも増して問われている。生活者は企業の動きを注意深く見ている。この大変な時期に、私たち生活者の、ひいては世の中の「役に立つようなことをしてくれたか」、私たちを「安心させてくれたか」、私たちの「心を揺さぶるようなことをしてくれたかどうか」・・・。それにより、企業のブランド価値が大きく影響される。この非常時に、「どんな気持ちにさせてくれたか」を生活者は覚えているものだ。今後、「どこでお金を遣うか」も、その記憶に左右されていくことだろう。
ロックダウン(外出禁止令)やソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)の弊害で、人と人との触れ合いが少なくなり、人間関係の希薄化が懸念されている中で、ネクストドアのような「ローカルなつながり」に焦点をあてたソーシャル・ネットワーキング・サービスの価値が高く評価されているのも非常に興味深い。物理的なつながりが絶たれる中で、テクノロジーの力でいかに「intimacy(親密さ)」を維持していくのかが、企業にとって今後の重要な課題になっていくだろう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「心の距離」をスマホに表示 婚活イベント、滋賀で12月に開催
毎日新聞 / 2024年11月20日 17時27分
-
ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2024年11月18日 20時55分
-
≪単なる航空券の引き換えから独自の経済圏づくりへ≫日常生活に溶け込むJALの「マイルライフ構想」
財界オンライン / 2024年11月5日 18時0分
-
夫の"AIとのチャットセックス"は裏切りなのか…社会学者・山田昌弘「愛が多様化する時代の"準"浮気最前線」
プレジデントオンライン / 2024年11月3日 8時15分
-
是枝裕和監督、審査員を務めたカンヌグランプリ作を「とても愛した」 インドのパヤル・カパーリヤー監督と対談
映画.com / 2024年10月29日 20時45分
ランキング
-
1昨年上回る規模の経済対策、石破色は一体どこに?【播摩卓士の経済コラム】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月23日 14時0分
-
2農協へコネ入社の元プー太郎が高知山奥「道の駅」で年商5億…地元へのふるさと納税額を600万→8億にできた訳
プレジデントオンライン / 2024年11月23日 10時15分
-
3スシロー「パペットスンスン」コラボに言及「追加販売を検討」 発売当日に一部完売したグッズも
ORICON NEWS / 2024年11月22日 17時45分
-
4《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン / 2024年11月23日 16時15分
-
5ドーミーイン系4つ星ホテル「3300円朝食」に驚愕 コスパ最高、味も絶品!極上のモーニングがここに
東洋経済オンライン / 2024年11月23日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください