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ついに、週休3日、4日が導入される大企業が出てきたぞ。どうなる、ホワイトカラー/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2020年10月17日 10時0分

ついに、週休3日、4日が導入される大企業が出てきたぞ。どうなる、ホワイトカラー/猪口 真

猪口 真 / 株式会社パトス

みずほフィナンシャルグループが、希望者に対して週休3日や4日の働き方を12月から導入するという。とうとう、自分の食いぶちは自分でなんとかしてくれとの引導なのだろうか。

この制度は週休3日や4日という制度を自分で選ぶ代わりに、給与も減るというものだ。表向きは、自由な働き方うんぬんということらしいが、実態は、人件費削減のためには、なりふり構っていられないということなのだろうか。

コロナ禍での経済の停滞は、本当に想像もできないほど、大きなダメージを与えたようだ。コロナの影響は、当初は、非正規社員など、どちらかといえば、末端、弱者へのダメージが大きいと言われていたが、ここ数年、ネットバンキングなどによって、従来型の銀行は厳しいと言われてはいたものの、とはいえ大手都銀のグループだ。ちょっとやそっとのエリート軍団ではない。トップ集団だ。その大都銀が、こうした制度を導入するというのだから相当な覚悟に違いない。

一方、コロナ禍で多くの非正規社員の失業が生まれ、あれだけ人材不足と言われてきた状況は改善されたかと思いきや、そうでもないらしい。人手不足はまったく解消していないという話もある。

コロナ禍でも、派遣社員の雇用止めやリストラが話題になったはずなのだが、現実には、人材派遣会社が求人を出しても応募者が無く、派遣先のニーズには応えることができていないらしい。人材派遣会社はコロナ禍においても、慢性的な人手不足なのだそうだ。非正規は切られるのに、派遣スタッフはいないという、なんとも不思議な状況となっている。

また、非正規とは逆のプロ人材の採用の動きも活発化しているという。これは事業拡大に積極的な会社に限られる話だとは思うが、要は「稼げる社員はいくらでもほしい」ということか。

これはもう明らかに、人件費を費用対効果でしか見てない証拠だろう。

人こそ財産と言い、人材を人財と言い換えることで必死にアピールする会社も多かったが、もう完全にどこ吹く風だろう。

副業の時代、個性を生かす時代など、一見カッコいい言葉ではあるものの、体のいいコスト削減でしかないと言われても仕方のないことだ。そもそも、相当数の従業員が週休3日や4日を選んでも、会社の仕事に影響することがないのなら、それは完全に雇用の失敗だろう。仕事もないのに人を雇ってしまったということになる。

我々の発想からすれば、雇われた身であるならば、自分の食い扶持分ぐらい自分で仕事を探し、生み出し利益を出そうと考えるのが当たり前だと思うのだが、それも違うらしい。

それにしても、みずほ銀行のこの決定は凄い。

超大手企業が率先すれば、これはかなりの企業に導入が広がるのは間違いないだろう。あくまで「希望者」ならいいが、促されたり、暗示されたりといったことが頻出すれば、それは形を変えたリストラということになる。

しかし、この制度を好意的に評価する人は少なくない。これで学びの時間が増えて新たなキャリアになる、自由な生活を選択するマルチタスクな生き方ができる、副業も自由にできる、といった評価だ。いわゆる働き方改革のひとつの制度として働き手に自由と可能性をもたらすというわけだ。

ただし本当にそうだろうか。

40代、50代のこれまで同じような仕事しかしてこなかった人たちが、果たして新たなスキルや能力を身につけることが本当にできるのだろうか。誰でもわかっていることだが、競争社会で勝ち抜くようなスキルをそう簡単に手に入れることなどほぼ無理で、その道のプロというのは、そんなものではないだろう。

さらに言えば、経営側にしてみれば、願ったりかなったりの制度ともいえる。これまでは、正面切っての減給はなかなかできなかったが、休みを増やすのだから、何も文句は言われない(だろう)。そもそも休めないような忙しい従業員は稼いでくれるのだし、もともと稼げず仕事がないのだから、週に3日休まれても何の問題もない。

みずほフィナンシャルグループとしても苦肉の策だとは思うが、それほど、世の中のホワイトカラーの仕事が激減し、必要がなくなってきたということだ。

これまでホワイトカラーといえば、知識と経験によって新たなビジネスを生み出したり、クリエイティビティを発揮して大きなヒットを生んだりしてきた。

極端な言い方をすれば、そうした可能性をとうとう企業は手放すということとなる。

しかしながら、これは当然の流れでもある。ICTの発展は、ホワイトカラーの仕事を簡単にし、誰でもできる仕事に変わっていった。つい30年ほど前までは、何時間もかけて集計用紙に手書きで書き込み、その数字の推移から職人芸のように課題を浮き彫りにし、ビジネスを展開していたのだ。いまそんなことをする人はいない、というか、自動的に出てくる。そうした仕事の多くは、ホワイトカラーから若手社員に移り、パート社員に移り、そして、AIにとって代わられようとしている。

そこにコロナ禍によって、人と人との接触が激減した。事務作業も必要なく、人が集まる会議や会合もない。いよいよ仕事がなくなってしまった。

想像以上にテレワークが続き、仕事の内容が本質的に見直され始めている。このような制度改革が一気に進むのだろうか。

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