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コロナ下で就活生がすぐ見分けられる企業体質/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2021年1月18日 7時20分

コロナ下で就活生がすぐ見分けられる企業体質/増沢 隆太

増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

・「社風はどうですか」という無意味な質問
面接練習や企業セミナーでよく学生がする質問に「御社の社風はどうですか?」があります。どんな答を期待しての質問でしょうか。

考えてみて欲しいのですが、これが「大学の学風はどうですか?」と聞かれて説明できますか?文系と理系じゃだいぶ違うし、学部と院も違うし、キャンパスがあちこち離れた大学もあるし、何より自分は大学を代表するような学生ではないし、あくまで自分の周囲はこんな感じ・・・・全学生がキャンパスライフを楽しくエンジョイしたり、教授や男女学生+留学生も入り交じって楽しく語らうようなことができてるんでしょうか。

学風なんてものは受験案内のパンフやWebの宣伝コピーだったり、良くて「早稲田はバンカラ、慶応はお坊ちゃま」って、偏差値だけでなく受験生の家計・所得も考えれば、そんな違いあるとは思えないような雑で、使い古されたイメージにすぎないのではないでしょうか。会社だって同じです。

社風を聞くことがダメなのではありません。「社風は何か?」という質問に隠れている、自分にとって正しい企業選択かという、思考停止の丸投げ質問になりかねないことがダメなのです。会社員ならわかるでしょうが、「社風」なんてあやふやなものは、直属の上司や部・課、部長、課長が替われば180度かわってしまうようなものだと思いませんか。社風を聞いたからといって落とされることはないと思いますが、得るものも何もない質問だと思います。

・どうやって会社を選ぶべき?
では会社を判断する材料は他にあるでしょうか?東北大学大学院生命科学研究科では、企業分析セミナーを通じて会社の選び方も解説しています。その会社の事業内容と、自分が生み出す生産性が合致する、少なくとも同じベクトルであることを確認すべきなのです。「ゲームが好きだからゲーム会社を選ぶ」のではダメなのです。なぜならゲーム会社の仕事はゲームをすることではないからです。ゲーム会社の仕事は「売れるゲームを供給すること」。売れるゲームを企画する、プログラムする、調達する、デザインする、販売する、広告する・・・・のは、社内での就く業務によって求められる生産性は異なります。

そこを理解することが企業研究であり企業分析です。社風など聞いたところで、自分に課される生産性はわかりません。会社の仕組みを理解することは根本であり、一番重要な判断材料となります。

会社といっても古い歴史のある企業から大企業、中小企業・ベンチャー、外資、古い業界新しい業界など、ビジネス環境もバラバラです。偏差値のような絶対尺度でしか判断できないようでは、およそ仕事に就いてから成果を上げることはできないでしょう。会社説明会は、リアルであれオンラインであれ、要は会社の宣伝です。宣伝の場で不都合場情報を堂々と出すことは普通ありません。しかし不都合かどうかはともかく、少なくともその説明者の職場の環境や、求められる業務姿勢を想像できる質問があります。

・コロナの影響もわかる質問
それはオンライン/在宅業務比率です。
サービス業、小売業、外食、観光、旅客産業など、オフィスワーク以外がメインとなる職務は当てはまらないでしょうが、いわゆるオフィスワーク主体の企業であれば、政府は在宅勤務を奨励しています。オフィスワーク部門の在宅業務比率、週○日とか係長以下は半分ずつ交代勤務といった状況を聞いてはどうでしょう。

在宅業務の比率が高いということは、コロナの経営への影響も低いことになります。「業績はどうですか?」と聞くよりよほど当てになるのではないでしょうか。何より職場での職務分掌が明確化されていることで、在宅勤務が実現できています。

その逆に、オフィスワークでもほとんど在宅勤務を実施していないとか、全員朝イチの朝礼・会議があるので一旦は出社が原則という会社もあるでしょう。あくまで政府は在宅勤務の奨励であり今の時点で強制はされていません。自由意志の結果の判断がそうなっているといえます。繰り返しますが、在宅では不可能、著しく効率の悪い業務ではなくあくまでオフィスワーク担当者の在宅業務比率であることを忘れないで下さい。

・根性論と合理性
菅首相が年末にステーキ会食をした件は大批判を浴びましたが、政治家は会食が仕事なので止められない、政治家はメシを食わないと本音で話し合いができないと同年代の政治評論家は弁護します。経営トップがこうした考え方の企業は、恐らく全員出社や対面会議を重んじることでしょう。出社することに意義があり、オンライン会議では意思決定ができないとか、仕事が進められないといった話を聞きます。

ちなみに私自身は根性論が嫌いな訳ではなく、社会・ビジネスの場ではある程度理不尽さがある以上、完全に理論通りに仕事が進められる訳ではないと考えています。しかし「オンラインでは話し合いができない」などと言うような部下であればその能力評価は厳しいものにするでしょう。「出張で対面しないと誠意が伝わらない」ような顧客は、恐らく他でも理不尽で非科学的な要求をしてくる恐れがあり、そんな顧客に依存しなければならないビジネス環境なら、それこそ将来性がないと判断するでしょう。(実際私の顧客各社は対面社員研修や講演を、すべてオンライン研修に代えてくれました)

こうしたギャップはいわゆる「古い体質」かどうかを判断するのに適していると思います。明らかに不合理でも昔からの慣習を代えることができない会食政治家のように仕事をしたい人は、これを目安に自分の望む職場選びができます。そうした理不尽さを少しでも排し、合理的に職務を進めたいのであれば、それを実行している企業姿勢の会社を選ぶべきです。その目安として、オフィスワークの在宅勤務比率は大いに参考とすべきでしょう。

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