河村市長的ハラスメントおじさん面接官に当たったら/増沢 隆太
INSIGHT NOW! / 2021年9月14日 11時11分
増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ
・企業のハラスメント対応は定着したのか?
9/2毎日新聞経済面に載った「経済記者一戦レポート『後絶たぬ就活セクハラ』」では、現時点でも上場大企業などで就活学生へのセクハラが発生している実態を伝えています。令和3年にもなって、いまだにセクハラやパワハラが、しかも上場企業のような大企業でも発生しているのです。
私がハラスメント対策セミナーを担当するようになったのは5年ほど前くらいからです。コロナが発生する前には一気にハラスメントセミナーや講演の依頼が殺到状態になり、大企業や官公庁の、特にハラスメントと指導の境界に悩む管理職向け講座を多数行いました。
大企業・官公庁ではこれだけ対策が進められているのに、毎日新聞記事のような実態が続くのはなぜでしょう?大企業中心に企業側は対策を確実にしているのに、です。
・河村市長的おじさんの気遣いが全部ダメな理由
大批判を浴びた河村市長ですが、メダルかじりという言語道断な行動は言うまでもなく、その後の謝罪会見もグッダグダで、全然お詫びの気持ちもなく、何よりご本人に一切悪いことをしたという反省の認識がないことがこれだけあからさまに丸見えとなる会見は無いほどでした。
つまり河村市長的おじさんは、ハラスメントを全く理解していないのです。恐らく河村氏に限らず、また男性女性問わず、言葉としてのハラスメントの意味は理解できていても、ハラスメントが何であるかという中身を全く理解できていないと断言します。
河村氏の謝罪会見でそれは明らかになっています。小学生など来客をなごませようと思って「好きな子はいるか」と聞くとのこと。気遣いが理由であっても、恋人・結婚という最もデリケートなプライバシー部分に土足で踏み込むという意味が理解できていないのです。人間は恋人がいて普通。結婚できて一人前という価値観を、このダイバーシティが言われる中、全く理解できていません。
つまりこういった人たちがSDGsといっても、恐らくその文字上の意味以外の、本来のコンセプトは全く理解できていないと考えられます。だからこれだけ袋だたきにあっても、恐らくこの先もハラスメントやらかしおじさん・おばさんは確実に出てくることでしょう。
・就活面接でハラスメント面接官と出会ったら
キャリア相談で何千何万もの学生と面談をしています。たしかに今どきの子供たちはハラスメントやらかし世代と全く異なり、ちょっとしたことで傷つきやすく、それこそ何の悪意も無い発言で勝手に心を折っていく子も少なくありません。(大学・大学院生の話です)
ではそんな今どきの子供たちには何も言えないのでしょうか?違います。
ハラスメントにならない発言なら良いのです。もちろん意図せず傷つけてしまう発言はあり得るかも知れません。しかしそうした心の機微にまで至らないハラスメントの境界線さえ守れば、そこから先は自分自身をやらかしから守れるのです。
逆に面接でハラスメント質問などぶつけられた側は、それで社風が理解できます。幹部が堂々とハラスメントを働く社風なのです。「たまたまこの人だけがヤバい人なのかも」ということはありません。会社組織は上位者がその空気感を作ります。ハラスメントを働くような人物が偉いポジションにいられる社風なのだと理解すべきでしょう。
その上で、自分の選択はそれで良いならGO、そういった企業風土は合わないならさっさと次に行けば良いのです。選考を受ける気がなければハラスメントに付き合う必要もありません。そのようなハラスメント質問に答える気がないことを伝えるか、面接を切り上げてしまえば良いでしょう。今の企業はコンプライアンスに反することは恐れますから、最大の反撃は打ち切りです。その会社とは縁がないと、きっぱりあきらめて、さっさと次を探しましょう。
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