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ビジネスマンの給料の減少が止まらない。副業に走るしかないのか?/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2021年10月24日 9時19分

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猪口 真 / 株式会社パトス

先日、国税庁から2020年の給与所得の統計が公表されたが、2年連続のマイナスだという。ビジネスマンの給料の減少が止まらない。

それほど企業の業績がひどいかといえばそうでもない。確かに、このコロナ禍によって、サービス業を中心として大きな打撃をこうむった企業は数知れない。しかし、以前に発表されたように、昨年度の税収はプラスだった。企業の収益は向上したにもかかわらず給与は下がっているのだ。

所得が減少したのは、残業代が減少したからだという意見もよく聞くが、逆に考えれば、企業は、残業代を払わなくても、収益を確保することができたのだ。

コロナ禍においても、大企業を中心に業績を大きく落とすこともなかったのは、これまでの日本のバリューチェーンが素晴らしすぎたのだ。そういう意味では、優秀な企業においては、従業員が仕事(残業)をしてもしなくても、それほど結果は変わらなかったという状況なのだろう。

むしろ、余剰な仕事があぶりだされ、結果に結び付かなかった仕事をしていた人たちが仕事をしなくなっても、組織側としては、業績に何の変化もなかったということか。極端に言えば、仕事をしなくなった分の人件費は削減され、企業の利益は増加した。

所得だけではなく、人数も減少

国税庁による調査結果を見てみると、まず驚くのが、給与所得者数の減少だ。なんと、前年比62 万人(1.0%)も減っている。コロナによる廃業や失業が影響しているのだろうか。

人数が減少しているうえに、給与額も下がっているのだから、その分、企業の利益になっているのは間違いない。実際、給与の総額は219兆2,054億円で、前年比5.4%も減少している。そして、平均給与は433万円で、前年比0.8%減だ。賞与にいたっては、平均65万円と、前年比8.1%も減少している。

業種別に見てみると、やはり、宿泊、飲食サービスの減少が目立つ。なんと36.9%減だ。次に、製造業が-11.3%、サービス業-16.3%となっている。

プラスは複合サービス(何を指しているのかよくわからないが)と建設だ

この調査では、事業所規模別の平均給与も公表されており、従業員数10人未満の企業では、平均年齢53.6歳の平均給与は、従業員数5000人以上の企業(平均年齢43.7歳)の80%、賞与を含めると、68.3%にしかならない。年齢は10歳も上なのに、給与は約3割低い。

コロナ禍で、大企業と中小・小規模の差はますます開いた感もあるが、給与が減るビジネスマンはどう対処すればいいのだろうか。自社に給与アップが期待できないのであれば、副業に精を出すしかないのだろうか。

副業の容認増加は朗報か

ここ数年、「副業の時代」などと言われ、能力のある人はどんどん外で稼いでもかまわないという風潮もあったが、実態はどうなっているのだろう。

パーソル総合研究所の公表資料(対象:経営層・人事で人事管理について把握している1500人)によれば、自社の正社員の副業を容認している企業の割合は55%で、2018年の前回調査に比べて3.8ポイント上昇したという。しかも、副業を全面容認している企業は、前回調査比9.3ポイント増の23.7%を占めるまでになった。同時に、全面禁止企業は、前回調査に比べて3.7ポイント減の45.1%となり、数字だけみれば、少しずつではあるものの、副業の容認は進んでいるということなのだろう。

しかし、問題はその理由だ。理由のトップ(34.3%)は、「従業員の収入補填」だ。自分の会社で給与が払えないから外で稼いでくれということか。

副業を受け入れる企業側も同様だ。その理由としているのは、大手企業で「新規事業の立ち上げ/推進」や「新たな知識・経営資源の獲得」「オープンイノベーションの促進」などらしく、要は自社で育成するよりも手っ取り早く副業したい人からノウハウがほしいということにしか見えない。

こうなると、副業を禁止する企業の理由のトップ「自社の業務に専念してもらいたい」がまっとうなものに見えてくる。

これでは、さらにビジネスマンの貴重な能力が搾取されるばかりではないか。しかも、見た目には、「自由な働き方」などということを標榜しているのだからたちが悪い。

本当に自社内で生かせない能力を他社で生かすことなど可能なのだろうか。どの市場でも生かせる「個の能力」を持つビジネスマンは少数だろう。そういう人たちは、すでに現在の組織から十分な給与をもらっているはず。

厳しい言い方かもしれないが、自分のいまの仕事で稼げない人が、仕事を変えて稼げるとは到底思えない。企業側からしたら、「どうぞどうぞ」となっていくのは、自然な流れだろう。

ビジネスマンにとっては、何年も受難の時代が続くが、組織に頼らない働き方を模索する時代がこれからも続くのだろうか。

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