セールスコンテンツの重要性が高まる。コンテンツマーケティングも変わるか!?/猪口 真
INSIGHT NOW! / 2021年11月16日 17時45分
![セールスコンテンツの重要性が高まる。コンテンツマーケティングも変わるか!?/猪口 真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/insightnow/insightnow_11349_0-small.jpg)
猪口 真 / 株式会社パトス
コロナ禍で、営業プロセスの中身はどう変ったのだろうか?
コロナで最もビジネススタイルが変ったのは、営業ではないかとよく言われるが、これまで営業がなくてはならなかったB2Bにおいても、「もはや営業はいらない」だの、「オンラインで十分だから来なくていい」だの、「新人なのにベテランと変らないほど売っている」などと言う声があちこちから聞こえてきた。
反面、「結局これまで売れていた人が売れる」的な話も多い、コロナ禍だろうがなんだろうが、個人として信頼がある人が売れる。何も変わらないという話もよく聞く。
セールス部門のコンテンツとマーケティング部門のコンテンツは同じか
私の周囲を見渡しても、営業が直接コンタクトを取りづらくなり、明らかに訪問回数が減っていることは間違いなく、その分、企業はマーケティング部門を中心としてコンテンツマーケティングと称して、セールスになりかわり情報発信を行い、顧客企業との関係構築にいそしんでいる。
一応、営業が訪問し関係構築を図る代わりに、組織として情報提供を行い、関係を維持していこう(あるいは、新規顧客の取り込みを図ろう)という試みなのだが、現在多くの企業で行われているコンテンツマーケティングにおける「コンテンツ」が本当に営業現場に役立つものになっているかと考えると、少々複雑だ。
マーケティング部門がほしいのは、PBであり、資料ダウンロードといった関係性を示すKPIであることが多く、ある程度仕方がないのだが、企業によっては、SEO対策がすべてだと言わんばかりに、企業の持つオリジナルのコンテンツとは直接関係ないことをコンテンツと称し、発信しているところも多い。
それはそれで効果はあるのだろうが、この場合のコンテンツは、基本的にマーケティング部門がつくったものであり、セールスの現場で営業が顧客へ伝えるコンテンツとはかけ離れていることも多く、セールス部隊にとって、どのようにセールス活動を後押ししてくれるのかという観点で考えると一長一短だろう。
そもそも、マーケティング部門はセールスの現場でどのような話や提案がされているのかわからない企業が多く、どれだけマーケティングサイドで、コンテンツ(と思われるもの)を発信したところで、セールス部門からの発信コンテンツとの整合性がまったく取れなければ、顧客としても「???」だろう。
そうなると、前述した、コロナ禍、アフターコロナにおいて、どういう人が売れるのかと言ったときにポイントとなるのは、セールスとしてのコンテンツをどれだけ持っているのか、自分の顧客にマッチした、営業としてのコンテンツを持っているのかどうか、ということがポイントになるのではないか。
要するにマーケティング部門からあてがわれたものではない、営業と顧客の間のコンテンツが決めてとなっているのではないかと思える。
セールスコンテンツはあるか
最近、セールスコンテンツという言葉も聞くようになったが、単なる商品・サービス情報ではない、かといって、マーケティング部門が用意したかっこいいトレンド情報でもなく、高尚なホワイトペーパーでもない。顧客に響き、顧客に信頼される営業となるべきコンテンツ、具体的な商談につながるコンテンツのことだ。このセールスコンテンツをいかにつくり顧客に提供し続けることができるかどうかが営業としての差ではないかと思う。
では、セールスコンテンツはどうつくればいいのか。
いわゆるセールスがつく提案書というのは、間違いなくセールスコンテンツだ。
しかし、多くの提案書は、あまりに「資料」としての出来栄えにこだわるあまり、肝心の中身については、結果的によくわからないものになってしまっているケースも多い。
また、講演会スタイルでのプレゼンテーション用のスライドと混合していることもあり、スピーチが伴わなければよくわからない内容となっているものもある。
特に、オンラインミーティングでのセール活動では、どうしても資料がメインになるので、資料作りにさらに力が入ってしまうのだろう。
昔、「企画書は1枚にしてくれ」と言われたものだ。また、「30秒で分かるように説明してくれ」とも言われた。顧客の思い、ニーズを端的にまとめ、自分の頭で考え、自分の知見をちりばめて端的に描くことができれば、顧客の窓口として信頼され、組織対組織の関係に持ち込むことにつながるはず。
コンテンツマーケティングが言われ始めたころのコンセプトは、「編集者になろう」だった。営業とは、本来ゼネラリストであり、編集者になりうるのは、まさに営業だ。
アナリストやコンサルタント的な要素も必要かもしれないが、そこは組織に任せればいい。
そういう意味では、コンテンツマーケティングの本来の姿が、まさにセールスコンテンツになると思う。SEOもけっこうだが、顧客をつなぎとめる本来のコンテンツの開発に、営業はいますぐ取り組む必要があるだろう。
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