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今、巷ではやりのDXとかIoT。 これって何なのか、ここではっきり整理してみませんか?(前編)/三宅 信一郎

INSIGHT NOW! / 2021年12月17日 9時55分

今、巷ではやりのDXとかIoT。 これって何なのか、ここではっきり整理してみませんか?(前編)/三宅 信一郎

三宅 信一郎 / 株式会社BFCコンサルティング

昨今テレビや新聞などのメディアや、実生活でもよく耳にする、DXやIoTなどの用語ですが、他にもいろいろアルファベットの文字がありすぎて皆さん、何が何だか混乱していませんか?

私も一緒で、それぞれの用語の持つ意味と、それらの関連性などを一度整理してみたいと思っておりました。

本投稿は,以下の2部構成となっております。


前編:「DXやIoT等々。 今一度それぞれの意味を理解し、関係性などを
    整理する」
後編:「DXやIoTを理解した上で、これからの人々の働き方改革にどう
    対応すればいいのかを考える」

それでは、まず今回は、前編をご一緒に見てまいりましょう。

前編 「DXやIoT等々。 今一度それぞれの意味を理解し、関係性などを
整理する」


1.DX、IoT及び他関連用語との関係性を理解し、整理する。

昨今、DXやIoT、Industry4.0、Society5.0などのキーワードをよく耳にすることがあるかと思うが、まずはそれぞれの言葉の意味を考える前に、それらは相互にどう関連しているのであろうかということを考えてみましょう(図1参照)。

図1.Industry4.0/Society5.0/DX/IoTとそれらを支えるTechnology群の
関係性 (出展:(株)BFCコンサルティング)

この図をみてお分かりいただけるように、Industry4.0とSociety5.0の考え方が、DXやIoTを包含しており、左下一番小さな枠にRFIDやAIなどを始めとする各種テクノロジー群が位置しています。

各種テクノロジー群の中のワードの簡単な説明を下記しますのでご参考にしてください。 言い換えると、各種デジタルテクノロジーが、IoTやDX,さらにはIndustry4.0、Society5.0を支えているといえましょう。

●「RFID」:「Radio Frequency Identification」の略で、Radioは「無線」、Frequencyは「周波数」、Identificationは「認識」の意味です。

「電波若しくは電磁波などの無線技術を使った、非接触による個体認識技術の総称」 と定義できます。

余談ですが、筆者は、このRFID分野が専門で、この技術を活用して、製造業や物流、小売り企業の業務改革を長年推進してきました。

●「VR」:「Virtual Reality」の略で、「人工現実感」や「仮想現実」などと訳されています。 現物・実物ではないが、機能としての本質は同じであるような環境を、使い手の五感を含む感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術およびその体系のことを言います。

●「AR」:「Augmented Reality」の略で、一般的に「拡張現実」と訳されます。 実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を“仮想的に拡張する”というものです。スマートグラスなどの名称で商品化されて実用化されているものもあります。

特に近年はスマホ向けサービスとして実装されていることもあり、日常生活の利便性を向上させ、新しいエンタテイメントを創出させる新技術として注目を集めています。

●「RPA」:「Robotic Process Automation」の略で、「人間の代わりに業務をこなしてくれる自動化ソフトウェアツール」のことを言います。 決まった手順の定型業務や繰り返しおこなうルーティンワークなどの自動化を得意としており、主にパソコン上でおこなう事務作業の領域での導入が企業や組織で進んでいます。

ロボットを使った業務改革・働き方改革の担い手として注目を浴びています。

●「AI」:「Artificial Intelligence」の略で、「人工知能」と訳されます。 AIとは、人間の知的ふるまいの一部や知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせたり再現させる技術をいいます。

コンピュータが、自己の経験から学び、新たな入力に順応することで、人間が行うように柔軟にタスクを実行します。

●「DL」:「Deep Learning」の略で、「機械学習」と訳されます。 「ML(Machine Learning)」とも言われており、AIを支える技術の1つです。 コンピュータが大量のデータ(ビッグデータ:後述)を学習することで、データのルールやパターンを抽出します。

また学習過程で得られた結果をもとに、分類や予測などのタスクを実行するアルゴリズムなどを自動的に構築することができます。

●「BD」:「Big Data」の略で、「ビッグデータ」と呼ばれております。

色々な定義がありますが、総務省の定義は、ビッグデータを「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」とし、ビッグデータビジネスについて、「ビッグデータを用いて社会・経済の問題解決や、業務の付加価値向上を行う、あるいは支援する事業」と目的的に定義しています。


2.IoTとDXとは何か?

IoTは、既に皆さんご存知の通り、「Internet of Things」の略語であって、日本語に訳すと、「モノのインターネット」と一般的には訳されています。

狭義の意味では、今後はパソコンやスマーフォンだけでなく、家庭内の冷蔵庫などの家電製品から、工場や物流センターの設備や人、そこから市場に出る製品や荷物に至るまで、すべての「モノ」がインターネットにつながり、通信を行う機能を持つということです。

一方、DXは、「Digital Transformation」(デジタル・トランスフォーメーション)の略語で、一言でいうと、「デジタルへの変革」です。 なぜ「D」の後に、「T」ではなく「X」という単語がついているのか不思議に思われている読者もおられると思います。

理由は、「Transformation」の「Trans」は、英語で「Close」(交差する、横切る、超える)という意味を持っており、十字に交差するという意味から、「交差」を一文字で表す「X」が用いられているからであります。

つまりデジタル化によって、今までのアナログを主体とした業務が単に効率化されるだけでなく、今までの組織の在り方や、ビジネスモデルそのものまでも、既存のものを超えて新しい姿に変わっていくことを意味しています。

従って、DXは、IoTを概念的には含むより上位なワードとなることがお分かりかと思います。


3.Industry4.0とSociety5.0とは何か?

ここで改めてIoTやDXを取り囲むより上位の概念となっている、Industry4.0とSociety5.0を考えてみましょう。

Industry4.0は「第4次産業革命」と言われています。 2017年3月20日(月)〜24日(金)の5日間に渡って、ドイツ、ハノーバーの見本市会場にて、世界有数の国際情報通信技術見本市である「CeBIT 2017」が開催されました。 この時筆者も参加しておりました。

この開催前日の19日に、当時の世耕経済産業大臣が、ドイツの当時のツィプリス経済エネルギー大臣と会談し、第4次産業革命に関する日独協力の枠組みを定めた「ハノーバー宣言」に署名をし、その際、今後 日独間でIoT/ Industry4.0の協力を推進していくことに合意致しました。

IoT(当時はDXということばはまだ浸透していませんでした)推進の背景にある第4次産業革命とは何か?

歴史を紐解くと、「第1次産業革命(1784年)」では、水、蒸気を動力源とした機械を使った生産が始まりました。 「第2次産業革命(1870年)」では、電気を使い機械を動かし、分業の仕組みを取り入れたことにより大量生産が可能となりました。

T型フォードの時代である。「第3次産業革命(1969年)」ではコンピュータを活用したさらなる生産自動化と効率性が向上し、オートメーションが実現しました。

そして「第4次産業革命」はITをベースとするCPS(Cyber Physical System)を使った生産・流通の時代と言われており、工場内外の生産設備や製品、人間が相互に繋がるスマート工場、スマート物流の時代といわれています。

つまり、高度なIT技術を活用してデジタル(仮想:サイバー)とアナログ(現実:フィジカル)を結びつけるシステムをベースとした産業が主体となって、デジタル化によって生産性を飛躍的に向上させたり、新事業・新製品/サービスを生み出したりする事が可能となる時代が来たということです。

IoTやDXなどがその革命を支えるキーとなる考え方となっています。

一方、Society5.0を見てみましょう。 Society5.0は、Society1.0を「狩猟社会」、Society2.0を「農耕社会」、 Society3.0を「工業社会」、 Society4.0を「情報社会」と位置付けており、Society5.0は、さらにその先の未来社会を示しています。

Industry4.0で実現されつつあるイノベーションを、あらゆる産業や社会生活に取り入れることで、さまざまな社会課題を解決する社会が「Society5.0」です。

この考え方は、内閣府が発表した「第5期科学技術基本計画」において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

その元となる考え方は、平成28年4月に経済産業省の産業構造審議会が発表した「新産業構造ビジョン」〜第4次産業革命をリードする日本の戦略〜であります。

その資料(図2参照)には、「変革シナリオ」として、産業・雇用の転換・流動化が描かれています。

その中には、「AI等技術革新・データを活かした新たな需要の発掘・獲得」や「データ活用を軸とした人材育成システムへの転換」、「新たなサービス・製品創出による社会課題の解決」などが歌われています。


        図2. 第4次産業革命の2つのシナリオ
    (出展:平成28年4月経済産業省「新産業構造ビジョン」)


4.アナログからデジタルへの変換によって何が起こるのか?

IoTやDXなどの考え方やそれらを支える技術の進化によって、ネットワークを介して集めた所謂ビッグデータ(BD)と呼ばれるデジタル情報を、クラウドやオンサイト(オンプレミス)のサーバーに蓄積し、機械学習や人工知能(AI)で分析することができる世の中になりつつあります。

DXとは、先に 「デジタルへの変革」であると申し上げました。

では、何を変革するのか?というと、企業の場合は、ビジネスモデルやビジネスプロセス、またそこから生み出され市場に提供されるサービスや製品などビジネスに関係する全てを対象とした変革です。

この考え方は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされています。

菅前政権の元、今回のコロナ渦で、政府や地方自治体からの給付金の支給などが大幅に遅れたことをご記憶の方も多いかと思います。

行政のアナログ対応がその遅れの最大たる原因として、他にもハンコ実印文化など、諸外国に比べて日本におけるアナログを主体としたあらゆる業務などの弊害に対応し、是正するということで、危機意識をもって新たに2021年9月1日、デジタル庁が始動しました。

要は、デジタル化への変革を行っていくことが、第4次産業革命時代の到来において政府、民間企業、その他組織、個人など遅れることなく対応するということであると認識することが極めて重要なポイントです。

IoTの導入を「デジタル変革:デジタル・トランスフォーメーション」ととらえて、自分の企業や組織を如何にデジタル化へ移行させるのか、できるのかとお考えになると良いのではないかと思います。

次回の後編では、 今まで述べてきたDX/IoTやそれを取り巻く概念などを理解した上で、これからの人々の働き方改革にどう対応すればいいのかを考えたいと思います。

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