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今、巷ではやりのDXとかIoT。 これって何なのか、ここではっきり整理してみませんか?(後編)/三宅 信一郎

INSIGHT NOW! / 2022年1月12日 4時54分

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三宅 信一郎 / 株式会社BFCコンサルティング

昨今テレビや新聞などのメディアや、実生活でもよく耳にする、DXやIoTなどの用語ですが、他にもいろいろアルファベットの文字がありすぎて皆さん、何が何だか混乱していませんか?


私も一緒で、それぞれの用語の持つ意味と、それらの関連性などを一度整理してみたいと思っておりました。

本投稿は,以下の2部構成となっております。


前編:「DXやIoT等々。 今一度それぞれの意味を理解し、関係性などを
整理する」
後編:「DXやIoTを理解した上で、これからの人々の働き方改革にどう
対応すればいいのかを考える」

それでは、今回は、前編に引き続いて後編をご一緒に見てまいりましょう。

後編:「DXやIoTを理解した上で、これからの人々の働き方改革にどう
対応すればいいのかを考える」

前編では、「DXやIoT等々。 今一度それぞれの意味を理解し、関係性などを
整理する」ということで作成致しました。

読者の皆様も、IoTやDX、それらを包含する概念であるIndustry4.0、それらすべてを支える人工知能(AI)などの技術群の意味と、それらの相互の関係性を、ざっくりご理解いただけたかと思います。

今回の後編は、以下となります。

後編:「DXやIoTを理解した上で、これからの人々の働き方改革にどう
対応すればいいのかを考える」


1.DX、IoT及びRFIDの関係性

再度以下に関連性を示す図を掲載しておきます。

図1.Industry4.0/Society5.0/DX/IoTとそれらを支えるTechnology群の
関係性 (出展:(株)BFCコンサルティング)


2. IoTがもたらす価値と、まずはやるべきことを考える。

前編で述べました様に、DXやIoTが世の中の推進役となっていく中、数々の新しいテクノロジーが生まれています。

その一つである、RFIDという技術は、DXやIoTを実現する極めて重要な テクノロジーであると言えます。


RFIDは、「Radio Frequency Identification」の略で、Radioは「無線」、Frequencyは「周波数」、Identificationは「認識」の意味。 「電波若しくは電磁波などの無線技術を使った、非接触による個体認識技術の総称」 と定義できます。


RFIDへの期待は、以下の三つとなります。

●モノの動きを
・より簡単に
・よりきめ細かく
・より リアルタイム(タイムリー)に把握ができる

●モノの動きと、それを表す情報が一致(情物一致)

●RFID情報を、遠隔地で認識することができる


つまり、RFIDとは、簡単に言うと、モノや人などに個体を1つひとつ個別に(ユニーク)に認識するためのコードや、その個体の固有のデータや情報などが書き込まれたICチップとアンテナが埋め込まれたRFIDタグを、モノや 人に張り付けて、離れたところからリーダーライターで電波を送ったり受け取ったりして、RFIDタグのICチップに書き込まれた情報を読み取ったり、書き込んだりする技術の総称であります。


現在、ユニクロなどの大手アパレルメーカーが、ごぞってこのRFID技術を 採用し、全ての商品のブランドタグにRIFDタグを装着して、製造現場から 店頭までのサプライチェーン全体を管理し、効率化を実行しています。

上の写真は、ユニクロで購入する商品に必ず付いている通称ブランドタグ というおなじみの紙でできたタグです。

このタグに、実はRFIDタグ(ICタグ)が装着されているのです。 もし捨てずにお持ちの方は、明るい電灯か何かの方向にこのタグをかざしてみてください。

このRFIDタグは、実は半導体のICと、情報をやり取りする電波を受信する アンテナが実装された、超精密ハイテク部品なんです。


下のような独特の模様をもったRFIDタグがうっすらと透けて見えるはず です。

真ん中がIC部分で、周りの薄黒く見える部分がアンテナなんですね。


これが、ユニクロのIoTを支え、業務の効率性を各段に向上させている秘密兵器なのです。 一般のお客様は、恐らく全くその存在に気付くことなく このタグを捨てていらっしゃることかと思います。

この流れは何もユニクロなどの国内アパレルメーカーだけの動きだけではありません。 元々は欧米のアパレルメーカーがいち早く導入してきた経緯があります。


下の写真はかの有名なブランドグッチGUCCIのタグです。

表面は何の変哲もないタグですが、裏をよく見てみますと、「RFIDマーク」のその下にRFIDタグのアンテナ部分がうっすらと確認できます。 そこに
RFIDタグが装着されているのです。 GUCCIの場合は、サプライチェーン 効率化だけでなく、盗難防止の効果も狙っていると思います。


このRFIDタグがこのアパレル商品に装着されているだけで、何が起きているのかお判りでしょうか?

RFIDタグの情報を、専用の機械(近年ではスマホでも可能となりつつある)で読み取ると、その商品がユニークに、どこで作られて、どんな工程や物流経路を経て今現在ここにあるのかなどの固有の商品情報を把握することが可能となります。

もちろん、用途に応じて情報開示は限定することも可能であります。


いずれにしましても、このブランドタグ一つをとっても、身近にアナログとデジタルの融合がなされている、そういう世界が存在しているということなんですね。

このように、リアルなモノを、RFIDなどの技術を使って、その動きや個体 そのものの個別認識をデジタル的に管理することができる世の中になって いるのです。


こうした世の中のグローバルな大きな変革を迎えて、まずやらねばならないことは何か?

現実世界のいたるところに存在している紙やFAXを中心としたアナログデータをどのようにデジタルデータ化するかということが、今後のIoT社会を 迎えるに当たって、まず最初に取り組むべき極めて大事なポイントとなってくると思います。

そうでなければIOTやDXは機能しないからです。

まずはIoTの基本的な考え方として、以下の図1を参照ください。

図1.IoTの基本的な考え方(出展:(株)BFCコンサルティング)

IoTは、①製造や物流現場の人や機械設備、モノ、スマホなどから上がってくるデータを、②主に制御を目的として現場のコンピュータで処理し、 ③さらにクラウドに伝送して、④AIなどを駆使して分析し、⑤その結果得られた情報を再び現場にフィードバックします。

そして、さらなる課題・問題点の解決に繋げるというサイクルを継続する ことで高付加価値を生む仕組みです。

IoTの世界においては、業務が、現実世界(フィジカル)と仮想世界(サイバー)を行ったり来たりすることになります。

その結果、今まで人間だけで解決できなかった課題に対する解決方法が導きだされたり、思いもよらなかったビジネスモデルや業務プロセスを創造したりすることが可能となると言われています。


3.IoT/DX時代の人の働き方の改革・変化

このようなテクノロジーの進化の中で、人の働き方や仕事の内容がこれからは劇的に変化していくことになります。

例えば、ある1日のビジネス関係者の方の既存の仕事の内訳は、以下となっています (図2参照)。

図2. 人の働き方の変化 (出展:BFCコンサルティング)


図2の文言を解説します。

1)コントロール業務(異常):不良品対応・納期遅延対応などの異常時 対応業務などを示す。
2)オペレーション業務(正常):物流なら受入れ、入荷入庫作業、保管、在庫管理、ピッキング、出庫出荷などの通常時対応業務などを示す。
3)創造業務:付加価値を生む業務。例えば、現場環境カイゼン、現場 改革、プロセスイノベーション、製品イノベーション、新規事業創造、企画など企業価値向上など。


今後は、前編で解説しました第4次産業革命によるデジタル化によって、 異常発生の際の1)コントロール業務や通常の2)オペレーション業務への対応は、AIや ロボット、RFIDなど、機械学習技術や、自動認識技術、IoT、高度に制御されたアクチュエータなどが対処してくれ、人が直接的に関わる比率が大幅に減る事が予想されます。

その場合、人は余った時間を今まで以上に上記の3)の創造業務に振り分けて、企業価値の向上に努める必要性が出てきます。

そうでないと、そこで働く人にとっての企業内での存在価値が無くなって しまいかねません。


この変化に人が対応することが、前編に示した経済産業省の「第4次産業革命の変革シナリオ」(前編 図2参照)にある、「新たなサービス・製品創出による社会課題の解決」や「革新的なサービス・製品の創出」への貢献に繋がっていくのだと考えられます。

具体的な創造業務の例としては、所謂、経営企画・商品企画・マーケティング、研究開発、現場生産性改革、M&A、新規事業開発などに携わる部門があげられます。

様々な産業分野で新たなビジネス・市場が拡大していくため、新規事業開発を担当するマーケティング担当者や研究開発者、その具現化を図るIT技術者、データ分析に長けて今まで考えつかなかった解決策を見つけ出すデータサイエンティスト等が活躍する時代となるでしょう。


一方、今後不要となってくる業務は、製造・物流分野においては、AI、IoT、ロボット、ドローン、RFID、画像認識など各種センサー等を駆使した省人化・無人化工場(スマート工場)や物流センター(スマート物流センター)が常設されることにより、製造や物流の現場に係る仕事、例えば、製造ラインの作業員や物流センターなどの棚卸要員などの仕事は減少すると思われます。

また、IoTを駆使したサプライチェーンの自動化・効率化により、調達に 係る仕事、例えば入出荷検品作業者や、調達管理部門、出荷・発送係員などの仕事は減少するでしょう。


4.ドラッカーの予測

ここで思い出すのが、「世の中は知識労働者と知識社会の時代になる」 と 言った、かの有名なP.F.ドラッカーです。

ドラッカーは1994年にハーバード大学の講義において、既に「知識社会」や「知識労働者」というものの出現を予測していました。

第4次産業革命がもたらす社会は、まさにドラッカーが20年以上前に予言した「知識社会」と言えるのではないでしょうか?


知識社会における「知識労働者」の仕事の基礎は「知識」であります。

従来の工場労働者は生産手段を所有せず、それらに投資し所有するのは資本家でした。

ところが、「知識社会」になると、本当の投資の対象は、機械や倉庫などの生産手段やツールではなくなり、知識労働者の「知識」となります。

これからの組織や個人にとっての鍵は、「知識」に如何に投資をし、その 価値を磨いて活用し、企業などの組織や社会に貢献できるかです。

今までと違い、知識労働者が資本家を必要とする以上に、資本家が知識労働者を必要と時代となるのです。


「知識」を磨いて蓄え、今まさに到来している第4次産業革命の時代をポジティブに捉えて、人間が本来持ちうるその能力「知識」を活かしてやるべき仕事に邁進していきたいですね。

「参考文献:ドラッカーの講義(1991-2003)アチーブメント出版刊」。



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