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フリーランスはインボイス制度にどう立ち向かう?/INSIGHT NOW! 編集部

INSIGHT NOW! / 2022年6月29日 10時1分

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INSIGHT NOW! 編集部 / インサイトナウ株式会社

インボイス制度がスタートする

インボイス制度が2023年にスタートする。いまだによくわからない、どうなるのだろうかと不安に感じているフリーランスは多い。

インボイス制度とは、現在、10%と8%の消費税があるなかで消費税額・適用税率を取引の相手方に伝えるために取引内容、消費税率、消費税額などが正確に記載された請求書(インボイス:適格請求書)を発行し、保存するという制度である。

これだけだと、単に経理業務が複雑になりそうだと思うだけだろう。これまで課税売上が1000万円以下で、消費税の免税事業者だった人は、消費税納税の経験もなく、ピンときていない人もいるかもしれない。たしかに、課税事業者でなければ、これからも「インボイス(適格請求書)」を発行できないし、適格請求書を保存して、消費税を納税することも不要だ。この点だけ見れば、経理実務上以外は特に変化がないといえる。

ところが、問題となるのが、「正確に記載された請求書(適格請求書つまりインボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」のみであり、発行事業者になるには登録申請が必要となる。さらに、「適格請求書発行事業者」になれば、消費税の納税義務が生じる。

要するに、これまで免税事業者として消費税を払ってなかったフリーランサーは、そのままであれば、消費税付きの請求書を発行できなくなるといえる。

どういうことかというと、2023年10月1日以降は、請求先の事業者は、「適格請求書発行事業者」からの課税仕入であれば、その際の仕入税額は控除対象になるが、「適格請求書発行事業者」ではない仕入れ先からの課税仕入であれば、その際の仕入税額は控除対象にならない。つまり、発注した事業者が支払った消費税相当分は、自社の資金から負担することになってしまうのだ。

*正確な情報は、国税局のホームページを参照、もしくは税理士に相談してほしい

10%の売上減少か?

そうなると、発注する事業者側としては、仕入れ額の10%の負担は敬遠する方向となるのは間違いないだろう。それによって突然取引を打ち切られることは少ないだろうが、少なくとも、この消費税相当分に関しては、コストダウンの要請があるはずだ。

とはいえ、それなら課税事業者になることにすればいいかというと、簡単ではない。

まず、クラウドサービスなどを活用した、経理システムが必要となる。高機能なものは必要ないとしても、手書きやエクセルでは経理業務に手間がかかって仕方がない。申告時の書類作成は業務に支障が出るのは明らかだ。

またこれが最も大きいが、消費税の納税義務が発生する。仕入れ額との相殺にはなるが、ほとんど仕入れのない、クリエイティブ関係やコンサルタント、士業などの人は、売上のほとんどが利益となるため、負担消費税は売上の10%にひたすら近い。

フリーランスの人でも、すでに課税事業者として消費税を納税している人は登録を行えば、これまでどおりにビジネスを継続できる。

問題は、免税事業者だ。免税事業者は、自身のビジネスにとって、そのままがいいのか、課税事業者になるのがいいのかを決めなければならないのだが、企業向けに継続してビジネスを行いたい場合は、課税事業者になることを決断しなければならないだろう。

消費税の扱いで顧客企業との間で問題化することは避けたいし、そもそも「課税事業者」であることの証明は、ブランディングにも、ビジネス上の信頼にも必要なことだ。

仕事のプロセスを明示する

しかし、消費税の負担のみが増えるとなると、ビジネス上では大きな問題だ。仕事のプロセスを含めた付加価値を見直し、10%以上の売上アップを図らなければならない。

企業対企業のビジネスと違い、フリーランスへの発注の場合、正式な見積りと発注書というプロセスを省いた取引も少なくない。多少の業務の負担が増えても、「予算の問題で…」「今回はなんとか…」など、あいまいなうちに請求額が決まってしまうことも少なくない。

「適格請求書発行事業者」となる以上は、自分の仕事のプロセス(工程+作業量)に応じた見積り書の作成がまず必要だ。「一式」の見積書は簡単かもしれないが出してはいけない。仕事のプロセスを明確にし、そのプロセスに応じた金額を明示する必要がある。そして、プロセス上、変更が起きた場合は、堂々と修正見積を提出する。あくまで、仕事の内容と金額を一致させる努力をしてみよう。

発注側の責任も生じるだろう。これまでは、「免税事業者だから」という甘えもあったかもしれないが、これからは、「一事業者」として尊重し、サポートすることも必要だろう。

今回のインボイス制度、フリーランスの人にとって、大きな影響を与えることは間違いなく、仕事のプロセス、特に見積り作成と契約に関するプロセスは、勇気を持って再交渉していくべきだろう。

補足

■売上が5千万以下の事業者であれば、経理事務の軽減のために、簡易課税制度を選択することも可能だ。

売上げの消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められた「みなし仕入率」を掛けて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げの消費税額から控除する制度だ。

納税地の所轄税務署長への「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要で、詳しくは以下を参照してほしい。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm

■インボイス制度開始から一定期間は、適格請求書発行事業者以外の者からの 課税仕入れであっても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられている。

・令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%

・令和8年10月1日から令和11年9月30日までは仕入税額相当額の50%

なお、この経過措置の適用を受けるためには、必要事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が必要。

(国税庁ホームページより)

■これらの情報を含め、国税庁では、「インボイス制度」についての特設サイトを設け、詳しい解説を行っているので、正確な情報はこちらを参考にして、スムーズなビジネスの継続をしてほしい。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm

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