タイム・マネジメントとは、自分を導くリーダーシップのこと/フランクリン・ プランナー
INSIGHT NOW! / 2022年7月20日 18時52分
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フランクリン・ プランナー / フランクリン・プランナー
タイム・マネジメントという言葉には、「マネジメント」と入っているため、何かを管理するというイメージがありますが、タイム・マネジメントの本質は、自分自身をどこに導くのか、自分はどのような姿を目指すのかという、リーダーシップと言っても過言ではありません。
『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士が、「マネジメントは手段に集中しており、どうすれば目標を達成できるかという質問に答えようとするものである。一方、リーダーシップは望む結果を定義しており、何を達成したいかという質問に答えようとするものである」と語っているように、タイム・マネジメントにおいても、まずは、自分の目指すべきところを明確にする必要があるわけです。
また、さらにコヴィー博士は、「多くの組織は、マネジメントのしすぎ、リーダーシップのなさ過ぎである」と語っていますが、これは、組織を自分自身に置き換えてみても同様ではないでしょうか。
従来、言われていたタイム・マネジメントは、ほとんどがマネジメントの要素ばかりだったかもしれません。仕事の目標は、基本的に上から与えられたものであり、それをどうすれば達成できるかという手段を考えればよかったからです。さらに、組織におけるキャリアは年功序列で決まり、仕事は「いかにそつなくこなすか」に焦点があたっていました。
ところが、終身雇用や年功序列は、ほとんどの組織でなくなり、仕事の出来不出来でポジションや報酬が決まる時代になりました。上位組織から与えられる目標はあるものの、それは達成して当たり前であり、どれだけ付加価値を組織にもたらすことができるのかがポイントになりました。いわゆる、イノベーションや画期的なアイデア、これまでになかったような取引、新規事業など、組織が与える目標以外の要素が重要になってきました。
スティーブン・R・コヴィー博士は『7つの習慣』のなかで、「すでに従来型のタイム・マネジメントの考え方は、現代では通用しなくなっており、自分の本来の役割を果たし、人間関係を重視しながら、Win-Winのビジョンを実現するためには、「第四世代のタイム・マネジメント」が必要だ」と提言しています。
次の図は、『7つの習慣』で有名な「時間管理のマトリックス」ですが、「第四世代のタイム・マネジメント」は、「第Ⅱ領域」であるというのは、ご存じの通りです。
時間管理のマトリックス(「7つの習慣」より作成)
緊急で重要な領域である「第Ⅰ領域」は、「危機」や「問題」「指示・指令」の領域です。 緊急度が高く、重要度も高いため、多忙なビジネス・パーソンは、ほとんどこの領域の仕事に費やすでしょう。自分では重要ではないと思っても、依頼者からすれば緊急で重要度が高いことのほうが多いでしょう。この領域の仕事は問題を解決しますから達成感も大きく、癖になりやすいのも特徴です。ところが、この領域の仕事は心身とも大きなエネルギーを要するため、ストレスも半端なく、やがては疲弊してしまいます。
ですから、タイム・マネジメントの極みはこの領域の問題を解決することだと思う人も少なくありません。しかし、この領域の活動は計画のしようがありません。いかんせん、突然飛び込んできてしまいますから、計画の立てようがないわけです。ですから、この領域に対応するビジネス・スキルは、時間管理能力と言うよりも、瞬間的な判断能力や問題解決能力が求められます。
つまり、極論すれば、緊急事項に対応することとタイム・マネジメントは、そもそも相容れないスキルだと言えるかもしれません。
そこで、緊急ではないものの重要な領域である「第Ⅱ領域」の活動が重視されるわけです。ここの活動は、緊急性がないということですから、自分やチームの将来にとって重要なことです。ビジョンをつくること、そのための計画をつくること、能力開発や人間関係を構築すること、などです。まさにリーダーシップに関する活動だと言えます。
タイム・マネジメントが、自分やチームを導くリーダーシップであると言えるのは、こういう活動を計画することこそが、タイム・マネジメントの真髄であるからです。
この領域の活動に時間をかけることができれば、将来像が明確になり、ビジョンの実現に向けたマイルストーンも見えやすくなります。また、能力開発や準備・計画に関するタスクも多いため、成長や緊急事態を防ぐことにもつながるでしょう。
良いことづくめにも見える「第Ⅱ領域」の活動ですが、現実は簡単ではありません。こうした活動に関しては、誰も「急げ!」と言いませんから、実行するにあたって、十分な準備と決意が必要となります。
さらに、周囲では緊急事態ばかり起きている中で、「私は自分の第Ⅱ領域活動がありますからできません」とは言いづらいものです。実際には、「第Ⅰ領域」の活動をこなしながら、「第Ⅱ領域」の活動を着実にこなすビジネス・スキルが求められます。
まずは、活動全体の10%を「第Ⅱ領域」の活動に充てられるように、1週間単位での計画を立てることから始めてみましょう。
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