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計画は立てても行動に結びつかないときに、目的論的アプローチを試してみる/フランクリン・ プランナー

INSIGHT NOW! / 2023年1月27日 11時50分

計画は立てても行動に結びつかないときに、目的論的アプローチを試してみる/フランクリン・ プランナー

フランクリン・ プランナー / フランクリン・プランナー

「時間があればやりたい」「この仕事が片付いたらやろう」とタスク・リストに記入し、計画を立てる。ここまでは多くの人がやりますが、実際にすぐに行動に移せる人は少ないのが実態でしょう。

「計画は立てた、しかし実行できなかった。」こうした経験をお持ちの方は少なくないでしょう。

現実にはいろんなことが起きます。もともとやらなければならかった仕事が思いのほか時間がかかってしまうこともあれば、電話もあればメールもきます。上司からの呼び出しもあれば、急ぎの要件を思い出すこともあるでしょう。あるいは、「今日やる必要もないから明日以降にしよう」と自らあきらめてしまうこともあるかもしれません。

結局、できなくても「仕方がなかった」と自分を慰めることになり、実行できなくてもあたりまえの状態に陥ってしまいがちです。

原因論的アプローチではうまくいかないことが多い

このように、「行動しない(実行しない)理由」はいくらでもあり、簡単に挫折しがちですが、それでも「実行したい」と思えば、多くの人は実行できなかった原因を考え、取り除こうとします。

「今抱えている仕事を減らさなければ無理だ」「忙しすぎて新しい仕事は受けられない」といった感じです。こうしたアプローチを原因論的アプローチといい、うまくいかない原因を見つけ、取り除くか改善することで解決を図ろうとします。

本当に行動を阻むことがたくさんあり、ひとつずつ解決していかない限り実行できないという場面もあるかもしれません。しかし、「緊急」なことは、いつも「重要」なことよりも優先順位が高くなってしまうものです。そして緊急なことに対しては、多くの場合、抜本的な解決を図る方法よりも応急処置的に対応しがちですから、ひとつ問題を解決すればまた他の問題が起きてしまうこともあるでしょうし、また、組織の問題であれば、自分ひとりでは何ともできないことも多々あるでしょう。結局、有効な打開策が打ち出せないままになると、目標を実現することはできません。

また、別のアプローチとして、「計画が不十分だったのではないか」と考え、さらに綿密な計画を立て、緊急事態に備えようとするケースもあります。しかし、計画が綿密であればあるほど、初期の段階で少しのアクシデントがあるだけで、うまくいかなくなってしまい、早々にギブアップせざるを得なくなることもあります。

目的論的アプローチで前向きに考える

こうした原因論的アプローチと違い、目的論的アプローチと呼ばれるものがあります。有名なアドラー心理学で言われていることですが、「すべての行動は自らが叶えたい目的のためであり、現在の状態をつくっているのは自分だ」という考え方です。

ですから、逆説的な言い方にはなりますが、「何もできなかった」というのは、どこかで「できなくても良い」という目的のために起きたことだということです。実は「やりたいと思ったけれどもなかなか行動できない」ことを心のどこかで、望んでいたということにほかなりません。残念ながら、現在の自分の姿というのは、これまで自分が選択してきた結果なのです。

つまり、目的に反してできなかったということではなく、「やらない」ことを目的にしてきた結果、現在の結果になっているわけです。

ですから、「このためにこれを行うのだ」「私はこうありたい」という強い目的意識を持つことが必要であり、目的が明確になれば、自ずと人は手段を考えて行動するということです。「できなかった」ことに原因を探っている状況のときにも「やりたいこと」はあったかもしれませんが、明確化が不十分だったと言えるでしょう。

「こうなりたい」「これをしたい」という目的が鮮明になれば、仮に別の仕事が邪魔をしてできなかった場合でも、「こういうやり方もできるかもしれない」というように選択肢を広げることにもつながります。

目的論的アプローチとは、ビジョンや価値観を見つめることにほかなりません。人は誰でも「こうなりたい」という願望を持っています。まずはその願望を具体化し、文書化してみることが重要となります。

具体的な目標やアクションプランがすぐに思いつかなくても、「できることなら将来、自分の会社を持ってみたい」「体が動くうちにトライアスロンに挑戦してみたい」「地域に根差した産業を支援してみたい」「芸術をたしなみ、子ども達に教えてみたい」といった、夢や価値観に向かい合い、書き出してみるのも良い方法です。

また、アドラーの言葉に「人の心理は物理学とは違う。問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべきなのだ」というものがあります。(アルフレッド・アドラー『一瞬で自分が変わる100の言葉』ダイヤモンド社)

できない原因をあげてもきりがなく、モチベーションや前向きの姿勢がどんどん失われてしまいます。であるならば「こういうことはできないか」「もしかしたらこうしたら打破できるかもしれない」「緊張するが、○○会で発表してみよう」といった、可能性に向き合うほうが、楽しく前向きに過ごすことができるのではないでしょうか。

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