サービス特有のムリ・ムダ・ムラを発見する/松井 拓己
INSIGHT NOW! / 2023年4月3日 3時0分
松井 拓己 / 松井サービスコンサルティング
モノづくりにおけるムリ・ムダ・ムラは、目的と手段のバランスで定義されることが多いと思います。目的に対して手段が不足していれば「ムリ」、手段が過剰なら「ムダ」が生じ、ムリとムダが混在している状態が「ムラ」という具合です。たとえば製造ラインやバックヤードの業務においては、これらを解消して効率化を進めています。しかしサービスは「お客様と一緒につくるもの」であるため、顧客接点でのサービス業務は、工場の中でモノを作るのとは明らかに違います。サービスに特化したムリ・ムダ・ムラとは何なのでしょうか。
ムダ:努力が顧客の事前期待に合致していない状況
大前提として、“サービスの定義”を理解しておきましょう。サービス提供者としては良かれと思ってしたことであっても、顧客の事前期待に合致していなければ「余計なお世話」や「無意味行為」「迷惑行為」となってしまいます。顧客の「事前期待」に合致することだけが“サービス”なのです。
しかし実際には「何を開発したらよいか?」「何を提案するか?」「どんな対応をするのか?」といった打ち手ばかりに注目して、あれもこれもと闇雲に実行に移してしまいがちです。これでは、事前期待の的に当たらない、顧客にとって意味のないアクションが増えてしまうでしょう。「事前期待の的」を明確にすることで、“ムダ”つまり事前期待に合致しない努力を極力削減し、事前期待に合致する努力に集中することが重要なのです。
ムリ:本来応えるべきでない事前期待にまで応えようとしている状況
顧客の事前期待は実に様々です。顧客に喜んでもらおうとするあまり、顧客の様々な事前期待になんでもかんでも応えようとしてしまってはいないでしょうか。ともすると、価格競争から脱却しようとしている事業において、「安くしてほしい」という事前期待に応えようと安売りキャンペーンを頻繁に打ってしまうというケースも少なくありません。“ムリ“をして何でもかんでも事前期待に応えようとすると、現場や事業が疲弊してしまいます。積極的に応えるべき事前期待の的を見定めることは、積極的には応えない事前期待を決めることでもあります。
ムラ:事前期待に応える程度が組織的にばらついている状況
さて、実際に事前期待の的を見定めたとしても、それに応える程度が、人材や時期によってバラついてしまうのが、悩ましいところです。その原因は、1つは「事前期待へのアンテナの感度」のバラつきです。顧客から同じ話を聞いても、そこで真の事前期待に着目できる人材と、表面的な事前期待にしか気づけない人材がいる。こうなると、サービスの価値や品質に“ムラ”が生じてしまいます。2つ目の原因は、「事前期待に応える打ち手」のバラつきです。具体的にどのような手段で、どのようなプロセスを経て、事前期待に応えるのが良いのか。これも人材によって“ムラ”が生じやすい要因です。また、繁閑差が大きな業界では、繁忙期に期待に応えるまでの時間がかかってしまったり、対応の工数に制限があるなど、物理的な要因も起因します。だからこそ、「事前期待の的」に応える付加価値型のサービスを設計して、組織で運用・実践することが大切です。
このように、事前期待の的をサービス設計として定義することで、サービスのムリ・ムダ・ムラを解消して業務の効率化を進められます。同時に、空いた工数で、事前期待の的に応えるための努力に集中すれば、組織的なサービスの価値向上も推進することができます。サービスの効率化と価値向上を同時達成する生産性の高い事業への進化が可能になるのです。
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