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忙しさを解消するだけのタイム・マネジメントから決別する。やるべきことを決めるタイム・マネジメントとは/フランクリン・ プランナー

INSIGHT NOW! / 2023年12月8日 12時58分

忙しさを解消するだけのタイム・マネジメントから決別する。やるべきことを決めるタイム・マネジメントとは/フランクリン・ プランナー

フランクリン・ プランナー / フランクリン・プランナー

タイム・マネジメントやタスク・マネジメントと呼ばれるものの目的は、ほとんどの場合、忙しくて仕事が片付かない人のためのスキルや手法と言えます。

あふれるような仕事を目の前にして、どうすれば最小の労力で最大のアウトプットを出すことができ、かつ、自分にとっても組織にとっても有益な結果をもたらすことができるのか、この問題に対する答えが「タイム・マネジメントである」という考え方です。

しかし、労働時間が減少する現代においては、もはや「忙しさの解消」を考えるタイム・マネジメントは現実的ではなくなってきています。

減る労働時間、求められるアウトプットの増加

仕事をする時間は、ある程度仕事の量に比例します。かつては、仕事量の多い人は必然的に労働時間も長くなり、残業や休日にも仕事をすることがやむを得なくなっていました。ですから、その長時間の労働時間をいかに減らすかが問題だったわけです。

そこで、企業の収益性の視点から残業費用の削減、従業員のライフワークバランスや心身の充実という観点からは労働時間を削減する方針がとられはじめてきました。特に昨今は、労働管理や働き方改革などと呼ばれ、働く時間はどんどん減少しています。実際に、日本のビジネス・パーソンの労働時間は、減少の一途です。

ただし、企業が求める生産量が減ることはありません。むしろ、アウトプットの量は増やしていかなければなりません。これまでよりもより短い時間で、より多くのアウトプットを、しかも高付加価値で収益をもたらすアウトプットが必要とされているわけです。

これは、ナレッジワーカーにしても、ものづくりの現場にいる人にとっても同じことが言えます。やり方や仕組みを改善しながら、より多くのことをし遂げなければならないのです。

IT化でも生産量(付加価値)は増えない?

世はDX、IT化の流れが止まりません。ITやDXによって、20年前と現在の生産性の違いは明らか、なはずでした。昭和世代であれば、手書きの企画書など、普通に存在していましたし、表計算を行うときは電卓をはじいていたものです。アナログ作業で時間もかかっていました。つまり、そのころから比べれば、アウトプットに必要な時間は、何十分の一になっているはずなのですが、生産性が何十倍になったという話はあまり聞きません。実際、GDPはほとんど変わっていません。

これはどういうことなのでしょうか。

システム化されたワークフローやITデバイスを使ったアウトプットははるかに早くなったにもかかわらず生産性が上がっていないということは、ここに生産性の本質はないということかもしれません。

確かに、同じアウトプットを出す作業量は減り、時間も短縮できています。特に同じ作業を繰り返すようなルーティンの作業は、年々減少し、労働時間も削減できているでしょう。

本来であれば、そこで削減できた時間をこれまでにはできなかった高付加価値を生み出す仕事を行う必要があるのでしょうが、そうはならなかったようです。残念ながら、そうした高付加価値を生む仕事は、効率化のみに役立つIT化やDX化では難しかったようです。

大半のIT化、DX化は大きな効率化をもたらしますが、新たな価値を生み出すようなアイデアやクリエイティビティは少なく、デジタル化がもたらすクリエイティビティは、ほとんど行う人の問題によります。(アドビの製品さえ使えば、誰もが素晴らしいデザインができるわけではありません)

効率化の時代は終わった?

IT化やDX化によってもたらされた効率化は、ある程度のところまではきたのではないかと思えます。自分自身の労働時間を振り返ってみても、「この仕事があるからどうしても時間をとられる」という業務は数少なくなっています。

現在は、むしろ「斬新な企画を生み出す時間」「これまでになかった切り口やアイデアを生み出す時間」のなかで、バリューを生み出すプロセス、時間の使い方が求められています。

これからのタイム・マネジメントの本質は、まさにここにあると言えるでしょう。効率化されたルーティンワークによって、仕事をだらだらと引き延ばすだけでは、私たちの生み出す付加価値を増やすことは不可能です。付加価値を生み出すためには次のようなプロセスを繰り返すしかないのかもしれません。

  1. 自分にとって、何が付加価値と言えるかを定義する(解決すべき問題・課題、周囲から自分に求められていること、本当に自分がやりたかったことなど)
  2. 付加価値を生み出すプロセスを考える(人に会う、ジャンルの異なる仕事の知識を得る、資金を用意する、企画書をつくるなど)
  3. 付加価値を生み出す時間を確保する(1週間の労働時間のうち、最低2割程度を確保する)
  4. 実際に実行する
  5. ②に立ち返る

このプロセスを繰り返すことで、これまでになかった気づきを得ることができれば、自分の仕事への向き合い方は大きく変わってくるでしょう。

仕事が仕組み化されることで労働時間が減ることは、ある意味、労働力が減り、ほかのことに時間を使えるわけですから素晴らしいことです。しかし、減少した労働力をいいことに、会社の定める労働規定時間を過ごすことだけを考え、そこで止まってしまうのは、とてももったいないことです。

タイム・マネジメントは、もはや忙しさを解消するためだけのものではありません。「タイム・マネジメント=付加価値」だということを忘れずに、毎年、毎月、毎日の計画を立てていくべきではないでしょうか。

引用元:フランクリン・プランナー https://www.franklinplanner.jp/mag/

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