BtoBデジタルマーケティングの重要性を営業部や経営層に浸透していく方法/荻野 永策
INSIGHT NOW! / 2024年3月15日 10時23分
荻野 永策 / 株式会社ALUHA
本記事は弊社WEBサイト「BtoBデジタルマーケティングの重要性を営業部や経営層に浸透していく方法」の記事を要約した内容となっています。
なぜ浸透しないか?よくある2つの理由
そもそも、BtoB企業でデジタルマーケティングがなかなか社内浸透しない理由は、大きく2つの理由に分類できる。
1つ目は、「そもそもデジタルマーケティングの重要性を理解していない」という理由だ。「実際にやったら売れるのか?」「自社の商材はデジタルでは売れないのではないか?」「デジタルマーケティングに取り組む余裕(人・金・時間)などない」などのような指摘を受けなかなか浸透しない。
実際に、BtoBの商材はデジタルと相性の悪いものもあり、こういった指摘は否定はできない。さらに、営業部門には今までやってきた営業手法や営業戦略があるため、それを変えたくないといった意思もあるだろう。この状況下では、デジタルマーケティングに取り組むこと、始めることすら難しくなる。その結果、なかなか重要性は浸透しない。
もう1つは、デジタルマーケティングに取り組み、リード獲得や育成をしても、営業部門が「確度が低いと考えている」という理由だ。BtoBのデジタルマーケティングはリードの量と質のバランスを見ながら展開しなければならない。しかし、量中心に施策展開すると、確度の低いリードも営業送客されてしまう。それが、蓄積されていくと「デジタル活用は受注確度が低い」と認識されて、重要性が低下していくことになる。これは、デジタルマーケティングを始めたことにより、営業部門の負荷が増大したり、マーケティング部門との対立が深まったりする要因になってしまう。
さらに、デジタルマーケティングはマーケティングスキルも必要とするため、人材育成が進むまでは「質も量も成果が出ない」といったこともありえる。そうなると、「リード獲得も育成もできていない」と判断され、イコール、デジタルマーケティングは重要ではない(効果がない)と認識されてしまうこともあるだろう。
この2つの理由は、弊社がさまざまなBtoB企業のマーケティングや営業現場で感じた課題をまとめたものではあるが、大きく分類するとこのような理由に着地すると考えている。御社の場合でもこの2つの理由に集約されないだろうか?
2つの理由を解消するために必要な3つのこと
それでは、この2つの理由を解消するために、なにをすべきだろうか?重要なポイントは3つあると考えている。
成功体験作りで成果を示すこと
1つ目は、デジタルマーケティングが売上に貢献する可能性があるという、「社内の成功体験」を1つでも多く作り「続ける」ことだ。理想的な体験は、デジタルマーケティングの施策経由で「売上」につながったという成功体験であるが、商材によっては難しいため、下記のような成功体験でもよいだろう。
- 自社のWEBサイト経由で商談や案件創出ができた
- メールを配信して商談や案件創出ができた
- デジタルマーケティングでつながりのなかった顧客と接点ができた
- 営業部門が重点的にアプローチしていた見込み客に対してデジタルマーケティング経由で接点創出ができた
営業やマーケティングの業務は、「数値」がものをいうため、数値改善の成功体験を多く蓄積できれば、営業部門や経営層も成功を実感することができる。「体験」は「意識を変える」ための大きなきっかけとなるため、成功体験づくりは重要なポイントになる。
インサイドセールスの立ち上げ
2つ目は、インサイドセールスの立ち上げだ。デジタルマーケティングの成功体験が徐々に増えてくると、リードの確度の確認や確度向上をしなければならなくなる。しかしながら、デジタルマーケティングだけでは確度確認や向上が難しいため、インサイドセールスの存在が重要になる。
インサイドセールスがよりOneToOneなフォロー営業を電話や個別メールなどで対応することで、リードの確度が向上し、売上という成果につながりやすくなる。そのため、インサイドセールスはデジタルマーケティングの重要性を浸透させていく上では重要な存在になるだろう。
人材育成体制の構築
そして3つ目は、人材育成だ。BtoBデジタルマーケティングはBtoBならではのスキルも必要となるため、人材育成するための知識基盤や育成体制が重要になる。効率よく学習できれば、成功体験作りもスムーズに進む可能性があり、重要性浸透の推進力を強化できるだろう。
3つのポイントをご紹介したが、当然のことながら、すぐに実現することは難しいだろう。「成功体験ってどうやって作るのか?」「インサイドセールスの立ち上げも人も金もかかるので無理」「人材育成って社内にそんなことできる人がそもそもいない」など、また別の課題が発生することになってしまうからだ。
しかし、これらを1つ1つ突破していかなければ、デジタルマーケティングの活用はいつまでもできないし、営業DXやマーケティングDXも進めることはできない。
まずは「成功体験作り」から始めよう
今までご紹介したように、デジタルマーケティングの重要性を浸透させていくことは非常に難しい。組織の規模が大きくなればなるほど難しくなる。それでも、今からでもできることはある。それが「成功体験作り」だ。インサイドセールスの立ち上げや人材育成体制の構築は、成功体験ありきで検討できる内容であるため、まずは、「成功体験作り」から進めると良い。
「成功体験作り」はどうやるのか?
では、成功体験はどうやるべきだろうか?おすすめのやり方としては、「休眠リードや休眠顧客」から「商談や案件のきっかけを作り出す」ことから始めると良い。理由は主に2つある。
1つ目は、休眠リードや休眠顧客は、営業部門が「ほったらかし」にしている可能性があるからだ。デジタルマーケティングでいろんな施策を展開しても営業部門の活動と衝突することが少ない。
2つ目は、連絡先がわかっているからだ。休眠リードや休眠顧客は名刺データがあるはずで、そこには電話番号やメールなどの連絡先が記載されている。それを活用できれば(個人情報保護方針によるが)すぐにいろんなアプローチ方法を検討でき、短期間での成果創出につながる可能性がある。
この2つの理由により、「休眠リードや休眠顧客」から「商談や案件のきっかけを作り出す」ことから始めると良い。
「成功体験作り」のための2つのプロセス
それでは、本コラムの最後に、「休眠リードや休眠顧客」から「商談や案件のきっかけを作り出す」ための2つのプロセスをご紹介する。当然、すべてのBtoB企業に必ず当てはまるというプロセスではないが、比較的進めやすいプロセスなので、ヒントにしていただけたらと思う。
ホワイトペーパーを作りメルマガで案内して資料請求を得る
1つ目のプロセスは、「ホワイトペーパーを作りメルマガで案内して資料請求を得る」だ。休眠リードや休眠顧客の名刺データをメルマガ配信システムに登録し、メール配信できるようにする。その上で、ホワイトペーパーを作成し、メール配信して資料請求を獲得するのである。
この施策のメリットは、資料を作るだけでできるので比較的すぐにできることだ。場合によっては、社内にある過去の提案書などをホワイトペーパーにできることもあるので、手間の削減ができる可能性がある。
デメリットは、資料請求だけなので商談・案件につながる可能性が比較的低いことだ。ただ、休眠顧客や休眠リードからの資料請求となるため、「アポイントを取るきっかけ」くらいにはなる可能性がある。
うまくできたら、継続的にホワイトペーパーを作成すれば、成功体験作りの横展開や継続性も確保できるので、ぜひ取り組んでいただけたらと思う。
アンケートメールを送付し課題調査して案件を作る
2つ目のプロセスは、「アンケートメールを送付し課題調査して案件を作る」だ。ホワイトペーパーの時と同様に、休眠リードや休眠顧客の名刺データをメルマガ配信システムに登録し、メール配信できるようにする。
その上で、「休眠リードや休眠顧客の課題や悩み」を聞き出すアンケートをWEBフォームで作成し、アンケート回答をメールでお願いするのである。
メリットは、課題を調査できるのでその課題に合わせてOneToOneの対応が可能になり、商談につながる可能性があることだ。休眠リードや休眠顧客の課題や悩みを把握できるので、ソリューション提案に繋げやすくなる。さらに解決できた事例が社内にあれば、商談化になる可能性も非常に高くなる。加えて、ホワイトペーパーとは違い、資料を作る必要もない。
デメリットは、いわずもがな、回答されなければ効果なしだ。また、アンケートのお願いに対して、お礼の品(ギフト券など)をつける場合は費用もかかる。
弊社のコンサルティング支援の事例でいえば、BtoBの場合、お礼の品(ギフト券など)をつけなくとも、アンケート回答を得られるケースが非常に多い。そして具体的な悩みや課題を記載していただけることも多く、内容によっては商談になったケースもあるため、ぜひチャレンジしていただけたらと思う。
まとめ・重要なこと
以上、BtoBのデジタルマーケティングの重要性を浸透させる方法についてご紹介した。今すぐ浸透するというような方法や、どんな会社でも必ずうまくいくという方法は実際のところ存在しない。しかし、浸透がうまくいっている会社は、ご紹介した下記3つのポイントを徐々に進めている。
- 成功体験作りで成果を示すこと
- インサイドセールスの立ち上げ
- 人材育成体制の構築
そして、中でも重要なのは成功体験作りだ。これが最初のきっかけになるので、御社でもぜひ成功体験作りを進めてほしい。
外部リンク
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