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コスト損失をさせない採用方法①~キャリアのスタートと情熱の芽生え/永嶋 泰子

INSIGHT NOW! / 2024年3月25日 6時50分

コスト損失をさせない採用方法①~キャリアのスタートと情熱の芽生え/永嶋 泰子

永嶋 泰子 /

キャリアのスタートと情熱の芽生え

2004年に大学卒業後、私のキャリアは新卒で高齢者デイサービス運営会社に就職したことからはじまりました。

当時、多くの新入社員が1年以内で50%以上辞めていく現状に直面し、「なぜ、もっと人を留められないのだろう?長期で働くことによって、採用コストも育成コストも削減できるはず。なにより利用者にとって顔なじみの職員が増えることは安心感につながり質の高い介護が提供できるはず」と疑問を持ったのでした。

その出来事をきっかけに、人事という職種に関心を持ち労働組合に転職しました。

人事業務に携わるなかで、中小企業では、採用の難易度が高いことを感じざるを得ませんでした。

私が主に新卒採用に携わった、約15年前は買い手市場でしたが、質の高い人材を確保することは簡単ではなかったのです。

さらには、人材を確保しても「企業風土が合わない」「やりたいことができない」という理由でやめていく人たちがおり、心を痛めました。

そこで、初心にかえり「採用だけが問題なのだろうか?人事業務で他にやり残したことはないか?」と考えた末に大手広告代理店へ転職をしたのでした。そこでは、人材育成と中途採用に関わる機会を得ました。

大企業の充実した研修制度や、会社全体での情報共有、ナレッジ共有の文化は、個々の成長だけでなく、組織としての統一感をもたらしていました。


採用と人材育成はワンセット

ここで学んだのは、採用と人材育成を一体化すること、さらにいうならば、経営と採用と人材育成は三位一体であるということです。

採用にかかるコストは膨大です。

有料ウェブサイトへの登録、採用が成功すれば人材紹介会社への手数料支払い、土日に開催することも多く、人件費を含め大きなコストを払っているのが現実です。

株式会社リクルートが運営する就職みらい研究所によると新卒採用にかかる平均的なコストは2019年度で93万6,000円になっています。

また、中途採用に関しては103万3,000円となっています。

▼参考記事
https://www.r-agent.com/business/knowhow/article/5...

採用後も、一人前にするためにOJTや研修が必要となります。

それだけの費用・時間をかけたとしても、退職されれば採用活動は振出しに戻り、疲労感だけが募ります。

とはいえ、離職率が低い業と高い企業があるのも事実です。

コストを損失しないための採用というのは、実現可能なのでしょうか?


採用から育成への理解

結論からお伝えすると、離職率が低くなれば採用コストを抑えることができます。

採用成功の真価は、採用した人材が会社に利益をもたらし、活躍するまでをサポートすることです。

つまり、採用業務は人員が充足すれば完了とみなすのではなく、「会社に利益をもたらす活躍ができる人材を採用し、育成して完了する」という認識に改めるということです。

実際にそれを痛切に感じたのが妊活のため広告代理店を退職したあとの出来事でした。私は、専業主婦になったのですが、前職で人材育成に関わっていたこともあり、「学び」を通じて人は成長できることを実感していました。

そのため、講座やイベントの企画、100人以上の女性のキャリア相談に乗るなど、人の成長に関わる活動を積極的に行いました。

また、30~40代の妊娠・出産育児によってキャリアを中断した女性の相談に乗ることも多かったのですが、彼女たちのほとんどが現状に満足していませんでした。

「もっと社会に貢献したい」「家庭以外にも、評価される場を持ちたい」という向上心に溢れる思いを持っていたのです。

ですが、その方法がわからず、子育てという時間に追われるタスクを背負っていることで自身のキャリアを見つめ直す機会を持てていませんでした。

そこで、キャリア相談を開催したところ、育休復帰直後で幼児をかかえながらも資格を取得にチャレンジしたり、新しいキャリアに向かって転職するなど、主体的にキャリアを構築する方が増えました。

つまりキャリアの棚卸という作業をおこなっただけで、自分の人生を主体的にとらえることができるようになったのです。


人材不足に対応するために

人手不足が叫ばれる現在、限られたリソースを活用するためには採用した社員を育成することは必要不可欠です。

全4回の連載を通じて、人材育成への深い洞察と実践的な知識を共有し、読者一人ひとりが自らの職場やコミュニティで人材育成の重要性を再認識し、積極的に取り組むことを目指しています。

次回以降は、具体的な戦略やアイデアを共有していきますのでどうぞお楽しみに。

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