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【インサイトナウ編集長対談】オートミールを一つのツールとして幅広く楽しんでいただき、新しい交流を生み出したい。/INSIGHT NOW! 編集部

INSIGHT NOW! / 2024年5月23日 12時0分

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INSIGHT NOW! 編集部 / インサイトナウ株式会社

お相手:腰原実紗様
日本オートミール協会会長 (https://www.oatme.info/

オートミールの美味しさを知っていただきたい

猪口 日本オートミール協会さんでは主にどのような活動をされているのでしょうか。

腰原 現在の活動は2種類ありまして、1つ目が子どもたちに食育の場を提供しています。これは、オートミールを使った簡単なレシピを、子ども達と一緒にアイデアを創出しながら作るワークショップです。2つ目は大人向けで、ネットではあまり出てこないようなレシピ、例えばお酒と一緒につまめるようなアペタイザーのワークショップを不定期ですが開催しています。

猪口 そもそもなぜビジネスとしてではなく協会にしようと思われたのでしょうか。

腰原 私自身は幼少期を海外で過ごし、オートミールは自分にとって日常的なものでした。日本に帰国後、最近ではオートミールが少しずつ普及してきましたが、日常にもっとオートミールを取り入れてもらいたいと思って協会を創設しました。オートミールの美味しさを知っていただきたいという思いが一番大きいですね。

猪口 今、女性を中心にオートミールが好きな方が増えていますが、オートミールはどのような歴史がある食材なのでしょうか。

腰原 オートミールの原産地は中央アジアと言われています。古代ギリシャやローマでは家畜の飼料にされ、紀元前1000年頃には中央ヨーロッパで食べられるようになりました。ポーランドでは古くからおかゆにして食べていたようです。17世紀にはアメリカに伝わり、アメリカ人にも親しまれています。

現在よく食べられている主な地域はスコットランドやアイルランドで、オートミールのミルク粥である「ポリッジ」が朝食として食べられています。イタリアでは、アペタイザーとして、お米の代わりにオートミールで作ったオートアランチーニ(チーズを入れたコロッケ)や、パン粉の代わりにオートミールを使ったシュリンプフリッターなどがあります。

日本に伝わったのは明治時代で、北海道で主に馬のえさとしてオーツ麦が栽培されていました。1933年に「日本食品製造合資会社」という北海道の食品会社が日本で初めてオートミールを製造し、販売しました。

猪口 日本でもオートミールは栽培されていたけれども、人よりも馬が食べていたわけですね。そこから栄養的にどうも良さそうだということで少しずつ人にも普及してきたと。

腰原 そうですね。最近急に食べる人が増えてきて驚いています。

猪口 何かきっかけがあったのでしょうか。

腰原 やはりコロナ禍で家にいる時間が増えたことがあると思います。主なきっかけとしてはダイエット目的で摂取する方が増えて、そこからアレンジレシピも増えて普及したのではないでしょうか。お米の代わりにオートミールを食べたり、お米だけではなくて、少しアレンジを加えてお好み焼き風に仕上げたり、日常的にうまく取り入れられる料理が増えました。

猪口 オートミールにはどのような種類がありますか。

腰原現在日本では、オートミールはスチールカットオーツ、ロールドオーツ、インスタントオーツ、クイックオーツの4種類に分類されています。実はこの4種類の元になっているオートグローツという種類があるのですが、日本ではあまり販売されていません。調理に非常に手間がかかる種類で、お米でいうと炊く前の生米の状態のため、食べる際は加熱したうえでゆっくり時間をかけて調理する必要があります。オートグローツを加工し、食べやすさをアップさせ調理時間を短縮した、いわば派生商品が4種類のオートミールです。また、オートグローツの外皮を粉末にしたものがオーツブランで、米に例えると米ぬかのようなもので、ほかのオートミールよりも食物繊維やミネラルが多いのが特徴です。こちらも調理にはあまり使いませんが、オーツブラン入りのクッキー等が市販されています。

猪口 オートミールの魅力と腰原さんおすすめの食べ方を教えてください。

腰原 日本では近年オートミールの美容効果、腸活、ダイエット効果が話題を生んでいますが、オートミールにはほかにもたくさんの魅力があります。なんと言っても本当に調理が簡単ですから、まだ試してない方もまずは基本的な食べ方からぜひ試していただきたいですね。調理法もたくさんあって、イタリアン、和風、中華、お菓子とさまざまなアレンジができますので、ぜひ日常に取り入れながら好きな味を発見してみてください。

オートミールをお水やお湯でふやかしてご飯のようにするのが流行りましたが、小麦粉のように使ってお好み焼き風にするアレンジもあります。私の一番のおすすめはリゾット風にする食べ方で、丸ごとトマトリゾットは少し手間はかかりますがおすすめのアレンジです。


猪口 4種類のオートミールで腰原さんのおすすめはありますか。

腰原 一番のおすすめはクイックオーツです。クイックオーツはえん麦を乾燥させて砕いたもので、水分を吸収しやすく、初心者でも料理しやすいのが魅力です。

猪口 4種類のオートミールの栄養価は同じでも、中でもクイックオーツは簡単にアレンジができるのですね。

腰原 そうですね。どれも味はほとんど変わりませんが、大きさや形状が少しずつ異なるので、調理法や作れるものが違ってきます。

栄養価の点から見ると、オートミールは炭水化物の割合が高くどうしてもカロリーが高くなってしまいます。一方でグルテンフリーなので、小麦粉にアレルギーがある方にとって今後大事な食品になると思います。私の周りにも、海外からのお客様にも、小麦粉アレルギーでどうしてもパンが食べられない方がいます。日本は小麦を使っている製品が多いので、そのような方々向けの発信をしていきたいです。

また、今後は病院給食や配食サービスでの利用が増えていくと予想しています。オートミールは軟らかくして提供できますし、消化の面でお腹にも良いので、これからどんどん普及していくと思います。

猪口 オートミールの価格はどうなのでしょうか。

腰原 価格は安いものから高いものまで、メーカーや量によってさまざまです。

猪口 オートミールを買う時の選び方を教えてください。4種類のオートミールそれぞれに適した料理があるのでしょうか。

腰原 一番は食べやすさを基準に選ぶと良いと思いますが、例えばダイエットといった目的や作るものによっても変わってきます。4種類の中でもっとも食べられているのがクイックオーツです。粒が少し大きめのロールドオーツは、マシュマロやチョコレートと合わせてクッキーにするのがおすすめです。おつまみのような塩味のものよりスイーツとしてよく使われています。スチールカットオーツは15分以上茹でないと食べられないので、リゾットのような料理にするのに適しています。少しハードルが高くなるので最初にこれを買うのはあまりお勧めできません。

食べやすいのはやはりクイックオーツとインスタントオーツです。どちらも似ていますが、より食べごたえがあるのがクイックで、もっとも調理が簡単なのがインスタントです。インスタントオーツをシリアル感覚でそのまま食べる人もいますが、味がないので、牛乳や豆乳に浸して電子レンジで温めて、ハチミツやフルーツと合わせるのがおすすめです。これなら一番手軽に食べられると思います。

猪口 いわゆるグラノーラ的な使い方ができるのですね。

腰原 グラノーラは味付けされていてすぐに食べられるのがメリットですが、味付けされている分どうしても添加物が多かったり、甘めに作られていたりといったデメリットもあります。甘めなので塩味が効いた料理へのアレンジがしにくかったり。

猪口 添加物の点でも健康を考えているということですね。

腰原 メーカーによっては化学肥料や農薬を使用していないオートミールを販売しているので、そういった部分に気をつけていただいて体の中から健康になってほしいという思いも、協会を立ち上げた理由の一つです。オートミールそのものの良さをもっと知ってほしいですね。

猪口 日本オートミール協会では今後どのような活動を考えていますか。

腰原 まだ正式には決まっていませんが、メーカーから直接商品を提供していただいて試食会を開いたり、オートミールを使ったアレンジレシピを紹介する場を提供したりしていきたいですね。

オートミールには添加物が入っていないので、人間だけではなくペットフードとしても需要があると考えています。わんちゃん、猫ちゃんに手作りのフードを与える人もいて、今はペットにも健康的な食事が求められています。そういった会も定期的に開催したいと思っています。私も犬を飼っていて、毎日ご飯を手作りしているんです。

猪口 白米のように使うのですか。

腰原 そうですね。ただし量はワンちゃんの体重や体調によってコントロールが必要です。私はオートミールだけでなくお野菜も入れてアレンジしています。

猪口 オートミール初心者としてはやはりレシピが気になります。ホームページを拝見したところ、協会でレシピの考案やコンテスト、試食会も予定されているのですね。

腰原 そうですね。ただ、オートミールだけで交流会をしてもあまり楽しくないので、もっといろいろな人と繋がれる場、「×オートミール」となるような場を提供したいと思っています。オートミールを一つのツールとして幅広く楽しんでいただきたいです。

猪口 今後これをビジネスにしていくようなお考えはありますか。

腰原 今のところは考えていませんが、今後はペットフードの料理教室や子ども向けの教室につなげていけたらいいですね。オートミールだけでなくさまざまな体験も交えながらやっていきたいです。今はオートミールを提供するレストランが少ないですが、これからもっと増えていけば、そこでも何かしらの形で一緒に取り組めることがあると思っています。

猪口 メーカーや飲食店の会員が増えていけば、何かやろうとした時にお金を生むこともできるでしょうし、一般の方向けのイベントも開催できるかもしれませんね。今後イベントの予定はありますか。

腰原 今年中に大人向けの「×オートミール」の交流会のようなものを開催したいと考えています。いろいろな人に集まっていただいて、そこからまた新しい交流が生まれてくれればいいなと。

猪口 腰原さんが日本オートミール協会を立ち上げたのは、海外にいらっしゃったご経験から、日本にそのようなコミュニティの必要性を痛切にお感じになったのでしょうか。

腰原 日本に帰国して、日本は食に対してのチャレンジが薄いように感じました。日本ならではの素材を大切にすることは私も好きな部分なので、その想いも入れながら、食に対しての多様性をもっと持ってほしいと思っています。

猪口 将来的にはオートミールに限らず、多様性をテーマにいろいろなことにチャレンジしていきたいということですね。今後のご活躍を楽しみにしています。


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