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人材は投資。経営者が知るべき現代の採用事情(1)/永嶋 泰子

INSIGHT NOW! / 2024年5月27日 6時55分

人材は投資。経営者が知るべき現代の採用事情(1)/永嶋 泰子

永嶋 泰子 /

コスト損失を防ぐ採用方法とは

コスト損失を防ぐ採用方法とは、入社した人が長く会社に勤める方法に他なりません。

なぜなら、採用にもコストがかかるからです。

宣伝費、面接の労力・人件費。そして、入社して教えてやっと慣れたと思った頃に退職されると、ゼロからのスタートになります。これは非常にもったいないことです。


高い離職率が与える影響

そもそも、私がコスト損失を防ぎたいと思ったのは、20年前、新卒で入社した会社の離職率が高かったことがきっかけです。

夏の賞与を受け取ったあとに退職する入社1年目の割合が、半分だった時期もあったと聞いたのです。2年目、3年目になると新卒の割合はさらに減っていきます。

となるとベテラン職員は少ない状態になります。

その企業はサービス業でしたので、ベテラン職員が少ない状況にお客様は少なからず不安になられている様子でした。


人手不足と経営者の認識のズレ

足りない人手は中途採用で補うことができました。それは、団塊の世代がおり、大量に人が余っていた時期だったからでした。

しかし、今は人手不足です。

新卒の穴埋めを中途で行うことも難しくなっている中で、自分自身の転職活動を通じて、社会的な意識は20年前のまま。

人手不足を実感していない企業が多いと感じるのです。

特に、中小企業はそのトラップにハマっています。

それは、経営者層が人が余っていた時代を経験しているからにほかなりません。日々の資金繰りや解決しなければならない目の前の問題が山積みで、過去を基準に物事を見ていることが多いのではないでしょうか。

しかし、現在では人材は非常に貴重なものになっているのが実情なのです。


若い世代の採用の難しさ

特に20代から30代の若い世代は、少子化の影響もあり中小企業には厳しい状態になっています。せっかく採用活動をしても、あなたの会社の魅力が伝わらなければ彼らが採用試験を受けることはありません。

仮に採用がうまくいったとしても、入社前に描いていた理想と入社後のギャップが大きければ、すぐに退職してしまうでしょう。

実際に、社風に合わないと1日で退職した若者も見てきました。

採用には大きなコストがかかっています。宣伝費、面接の労力・人件費。そして、入社して教えてやっと慣れたと思った頃に退職されると、ゼロからのスタートになるのは、現場の士気がくじけてしまい、会社全体にも影響を及ぼすことになります。貴重な人材を確保するために

では、貴重な人材を採用し退職を防ぐための具体的な方法はあるのでしょうか?


ビジョンの重要性

ズバリ!あなたの会社の価値観に共感してもらうことです。これは「ビジョン」とも言われます。あなたの会社にビジョンはありますか?ビジョンとは、人生の地図のようなものです。あなたの会社が行先を見失わないように、常に指針となるものです。

そのビジョンを明確に描き、そのビジョンに共感した人を採用し、育成していくのです。

SNSを活用した採用

たとえば、今の時代は求人広告を出す際に人材エージェントを通さずにできます。

ホームページや無料SNSのおかげです。

私が通う美容室では、採用はすべてインスタグラムで行っていると聞きました。SNSはうまく運用すれば、求人広告にお金をかけなくても全国から人が集まってきます。


効果的な情報発信

このSNSでの発信を情報発信といいます。ですが、単に情報を流しているだけでは人は集まりません。私自身、会社を退職した後にSNSでセミナーを開くためにブログから20人を集めたことがあります。

しかし単に発信するだけでは、アクセス数も0~10がいいところです。これは誰にも見られていないのと同じ数字です。

では、どのようにすればアクセス数を上げ、あなたの会社を魅力的に伝えることができるのでしょうか?

その時に必要なのが、ビジョンなのです。

ビジョンを持つことで、「こんな未来が描けるんだ!」と人はワクワクし、共感していきます。

最初はもちろん結果はすぐには出ません。また、発信をコンスタントにこなす必要があります。しかし、コツコツと積み重ねること着実に結果はついてきます。

さらに、ビジョンを通じて出逢った人は、すでに価値観が近く、共感してくれているため、初めて会ったはずなのに親しみを持ってくれていることが多くあります。


ビジョンの力

私もSNSを通じて多くの方と出逢いましたが、「まるで初めて会ったような気がしないですね」というのが挨拶のようになりました。

リアルでお逢いしたのが初めてでも、その日のうちに深い話ができ将来的には一緒に活動することも可能なのです。

この方法は採用活動にも有効です。

私自身も数回転職していますが、人材エージェントに掲載される採用条件は画一的です。あなたの会社が「どのようなビジョンを持ち、どのような人が働き、どのような“想い”で日々お客様に接しているのか」ということまでは追求されていません。そのため、応募者は条件で選ぶしかありません。

人は感情で動く

もちろん、福利厚生や年収が良いことは素晴らしいですが、それだけがあなたの会社を選ぶ唯一の理由にはなりえません。人は感情で動く生き物です。つまり、勤務地や年収、勤務時間などの理屈だけでは、興味を持ってもらえてもあなたの会社にほれ込んで試験を受けることにはなりません。

ほれ込んで試験を受けてもらえることには大きなメリットがあります。採用に関する費用は無料ではありません。人材エージェントへの報酬もあり、書類選考・面接にはあなたの会社の従業員の人件費がかかります。この費用を計算したことがありますか?


採用コストの現実

中途採用のコストは、3~50人規模の中小企業で一人あたりの求人広告費は約21万円、全体の中途採用コストは約86万円です。新卒の場合は、新卒一人あたりの採用コストは2019年で約93.6万円です。

▼参考資料

中途採用コストの平均相場から削減ポイントまで徹底解説! (neo-career.co.jp)

一人当たりの採用コストはどのくらい?新卒・中途の違いや平均相場など徹底解説 | パーソルワークスデザイン (persol-wd.co.jp)


まとめ

つまり、せっかく採用してもすぐに退職してしまえば、採用に投資した金額がマイナスになるということなのです。あなたの会社にほれ込んで受験する人がいれば、たくさんの応募者を集めなくても本当に欲しい人材を得ることができます。

しかもその人はあなたの会社のビジョンに共感しているため、入社後にギャップを感じることも少なくなります。現在、限られた人材を得るために大手企業をはじめ血眼で採用活動を行っているのが現実です。

その中で、人手が余っていた時代の余韻に浸り、片手間の採用をすることは長期的にみると損失しかありません。

採用とは投資なのです。

次回予告

次回は人手が余っていた時代の余韻に浸り、片手間の採用をすることから脱却する方法をいたします。どうぞお楽しみに!

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