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【インサイトナウ編集長対談】子どもたちのためにDX・AIの学習機会を作っていこう ~ 「未来をひらくDX人財育成プログラム2024」~/INSIGHT NOW! 編集部

INSIGHT NOW! / 2024年7月1日 16時54分

【インサイトナウ編集長対談】子どもたちのためにDX・AIの学習機会を作っていこう             ~ 「未来をひらくDX人財育成プログラム2024」~/INSIGHT NOW! 編集部

INSIGHT NOW! 編集部 / インサイトナウ株式会社

お相手:富士 翔大郎様
一般社団法人イノベーション融合学会 (https://www.ifsj.or.jp/)理事


猪口 一般社団法人イノベーション融合学会(以降IFSJ)の西山さんとの鼎談で話題になったDX検定について、引き続き富士さんにお話を伺いたいと思います。今年の夏にスタートされる、「未来をひらくDX人財育成プログラム2024」とはどのようなイベントなのでしょうか。

富士 本プログラムについてお話する前にDX検定について少しお話ししたいと思います。私がDX検定に関わり始めたきっかけは、IFSJのメインテーマである「イノベーション」と私の本業である人財育成で一番テーマとしている点がイノベーションであったところが一致したこと、そしてその一環としてDXに取り組み始めていたことが理由だったと思います。

現在、どの企業でもDXの教育に熱心に取り組んでいます、しかし、初期段階でのリテラシー教育は研修受講で終わってしまい、どの程度レベルアップできたのかがはっきりしないことが課題です。また学習後に理解度テストを受けても、受講生のその後の学びのナビゲータ的な効果や、学習意欲の向上にはつながっていないのが現状です。

一方、DX検定は企業の商品ではなく学会主催の公的な資格という面もあり、個人でチャレンジする人も少なくありませんし、得点によって認定が受けられるため、真剣に取り組む人が多いのです。もともとDX検定はIFSJでは、DXブームのきっかけともいえる経産省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(2018.9.7)」が発表される前から、学会内でその必要性が議論されていました。私自身もコンサルタントとして、日本のIT業界の危機感から、DXの重要性を感じていたところです。その結果、DX検定の立ち上げに携わることになり、DXがあまり知られていない時期に「DX検定」の名付け親となれたわけです。

私はエンジニアではありませんが、ビジネスの観点からDXを理解する必要性を感じ、同じ考えを持つ仲間たちと共にDXビジネス検定創設の提言にも関わりました。現在、DX検定シリーズでは累計5万人以上、900社以上が受検しており、本格的なDXリテラシー試験として人気となってきました。

しかし、最近のDXやAI関連のニュースでは、グローバルレベルでは各国が目覚ましい進展を見せているのに比べて、日本が世界に後れを取っているとの指摘が多いのも事実です。この差は単なるリテラシーの問題ではなく、ビジネスモデルの変革が不十分であるなどもっと本質的な問題です。このデジタル面での課題に対処するため、国をあげて様々な取り組みが行われていますが、私たちがまずできることは、より幅広く学習者を増やし、そして学ぶ範囲を広げ、若年層に対して早期からDX教育を普及させることと考えています。

参考:DX検定の位置づけ

猪口 そうした状況を危惧して未来に向けて大学生以下の子どもたちにスポットをあてたプログラムを企画されたわけですね。西山代表理事からも、とにかく早くからDX教育を進めるべきだというお話がありました。

富士 私も西山代表理事と同意見です。興味を持っている子どもたちのほうが身に付くのが早いのです。子どもたちはみんな天才とよく言われますが、私も子どものころに、車に夢中で、図鑑で車の車名がほぼ全部覚えて、前を走っている車を後ろから見ただけで車名とスペックを語り出して、祖父母を驚かせていました。皆さんもそんな思い出があるでしょう、何かに夢中になると勝手に自分から学ぶということです。デジタルネイティブの子どもたちがiPadを学ばなくても自然に使いこなすように、DXも自然に知識として身につけるためには、好奇心が強い小学校ぐらいから興味を持たせるのが良いと考えます。ただしあまり制度として実施すると、本人の意思にかかわらず強制的になりかねない不安もありますし、学校に大きな負担がかかることも考えられます。

そこでIFSJでは創立10周年記念事業として、"未来をひらくDX人財育成プログラム2024"をスタートします。これまで長年にわたりビジネスパーソンのDXリテラシー教育に寄与してきたことで、DXリテラシー教育は一定の形を成してきました。今後、日本がグローバルに向けてデジタル先進国を目指すには、我々も親御さんとともに積極的に子どもたちの世界に関わっていく必要があります。デジタルネイティブ世代を対象にし、小学生から大学生まで幅広い子ども・若者に対し、DXに関する興味と深い理解を促進することがこのプログラムの狙いです。

プログラムの目的の一番は、何といっても子どもたちにDX検定を受けてもらうことです。今大人が受けている検定(高校生以上を想定して創設)をできればそのまま受検してほしい、昨今の博士ちゃんブームにもあるような、大人を驚かすような、そして大人と十分勝負できる子どもたちは、やはり自ら興味を持ったことを楽しく学ぶ自立型人財とも言えるからです。

そんな自立型の人財に育って欲しいと思っていますので、子ども用のDX検定を用意するのでは子どもに対して失礼とも思います。子どもを子ども扱いせず、子どもたちが大人向けのテストで親よりも良い点を取るようになることが魅力です。また、DX検定を受検勉強のように淡々とやるだけでなく、楽しみながら学んでほしいと思い、「DX博士ちゃんチャレンジ2024」(2024年11月17日予定)、「DX甲子園2024」(2024年11月17日予定)、「DXイノベーションアカデミー2024(学びと体験の空間)」(2024年7~10月予定)といったイベントとセットで開催して、子どもたちのDX学習を盛り上げていきたいと思っています。

猪口 それぞれ紹介していただけますか。

富士 「DX博士ちゃんチャレンジ2024」は最も象徴的なイベントで、子どもたちにDXの基礎知識を身につけてもらい、デジタル技術・ビジネスへの関心を高めることを目的としています。受検申込を行った子どもたちのうち小学生を自動的に対象とします。11月17日にDX検定を受けていただき、12月15日に上位5名で決勝戦を行い、最高得点を獲得した参加者は「DX博士ちゃん2024」として特別に認定する予定です。今後継続して開催し、毎年、子どもたちに日本一のDX博士ちゃんを目指してもらいたいというのが狙いです。「DX博士ちゃん認定」は小学生限定ですが、受験した子どもたちを学校レベルに分けて、中学生部門、高校生部門、専門学校部門、大学生(高専、短大含む)部門ごとに1位の方は表彰を考えています。「DX博士ちゃん」認定に限っては決勝戦を予定しているのは、ネット上だけでなくリアルでの受け答えができる人を選出、認定したいという思いが込められています

またDX検定を受検する子どもたちには、チーム戦形式の「DX甲子園2024」も用意しました。これからの日本において重要なチームワークとデジタル技術の理解を深める機会を提供します。先ほどの個人戦と同様、小学校、中学校、高校、専門学校、大学(高専、短大含む)の学校レベルごとに、3人1チームになってDX検定で得点を競い合い、それぞれに日本一を決めます。早期教育も重要ですが、社会への影響面で即効性を考えると一番受けてもらいたいボリュームゾーンは大学生、専門学校、高校生です、社会に出る直前に学ぶことで就職にも有利になるでしょうし、キャリアプランの検討にも参考になるでしょう。

そのほか、検討中なのが「DXファミリー賞(仮称)」です、今回お子様と一緒に申し込むと親御さんや祖父母の方々も割引価格になるファミリー申込を考えています。一緒に学習することでチャレンジする姿を見せてあげて欲しいと思いますし、せっかくトップを狙うファミリー賞にエントリー制で参加できるようにしたいと思います、やはり親子で楽しく学んでいただきたいのです。

DX検定自体は知識の習得がメインでまずは覚えることが重要ですが、11月の検定受検前の期間に、各種セミナーや体験学習の場を用意します。非デジタルも含めてDX周辺の学習で知的好奇心を刺激することや子どもたちが実体験することも重要と考えているからです、また子どもたちにとって影響力の高いのは一番身近な親や祖父母であることから、その方々の学びも重要と考えます、このような様々な学びと体験の機会の集合体が「DXイノベーションアカデミー2024(学びと体験の空間)」です。例えば、そのひとつがドローン体験会です。知識としてドローンについて勉強しても、実際にドローンを見ないのでは物足りないでしょう、ドローンを実際に使ってみると発想の幅が広がります。農業や工事現場以外にいろいろなことに使えるような人たちを育てるためには、体験させなければいけません。このほかAIを使った自動車作りやロボット作りや、デジタルデトックスなど様々な学びの場を予定しています。

先ほどの影響力の話の通り対象者は子どもだけでなく、大人向けのものもあります。私が面白いと思うのは、お年寄りのスマホ教室です。DX検定と直接的には関係ありませんが、孫から教えてもらうような形で結びつけたいと思っています。お年寄りが様々な詐欺等に騙されないようにするためには情報弱者とならないようスマホのリテラシーを上げる必要があります。子どもだけに限らず、DXを中心としたさまざまな学びをEXPOや展覧会のような形で学べる機会を、なるべく無料で提供したいと考えています。受ける側は当然勉強になりますし、発信側も情報提供の場を確保することができます。

参考:プログラムを構成する3つのイベント概要


参考:イベントスケジュール


猪口 改めて、富士さんが考える早期にDX教育を受けることの意義についてお聞かせください。

富士 日本のデジタル競争力はIMDの2023年版世界デジタル競争力ランキングで32位と過去最低を記録しています。この順位は、日本がデジタル化の面で多くの課題に直面していることを示しています。このいわばデジタル後進国と言わざるを得ない状況は、今後少子高齢化やインフラの老朽化など大きな課題は山積みなので、自然と改善されることは難しいでしょう、実際経済的にも政治的にも大きなマイナスの影響を与えると考えられます。私は特に人財不足の問題、デジタルスキルを持つ人財が不足しているということが大きな課題と考えています。例えば、日本のデジタルスキルランキングは64カ国中63位で、非常に低い評価を受けています。下から2番目という非常に低い評価、これは本当に「日本ヤバイ!」と私自身もびっくりした現実です。日本企業が今重要視しはじめたのは、「リスキリング」ですね。もちろん必要で重要なことです。ただこの対象となるのはベテラン社員層なので、やはりもっと先の未来を見据えた戦略を考えるときには早期育成が重要でしょう。

私は将来日本が世界をリードするようなデジタル先進国になるには、デジタルネイティブ、DX・AIネイティブ育成を当たり前のものにしていく必要があると考えます。DXリテラシーのDX検定に留まらず、様々な教育や知的好奇心を刺激する取り組みを続けることによって、数年後には、リテラシーにとどまらず、AIのビジネスアイディアや実際のシステムづくりの博士ちゃんを一人でも多く世の中へ送り出すことです。それが今の日本に必要なことだと思っています。今はDXのほうを向いていない子どもたちにまずは興味を持たせる段階です。キーワードを身につけるとテレビで流れているニュースが自分のものになるので、勉強する気がなくても自然と学ぶ(インフォーマルラーニング)ことになります。車を見て、「自動運転で車は走り続けると駐車場が要らないね、タクシーも要らなくなるね」という社会変革やビジネスモデルが変わるような自由な発想が小学生レベルから起きてほしいわけです。

猪口 AIやChatGTPの話もそうですが、何かを見た時の感覚やセンスといいますか、今までの手書き文化では到底成し得なかったこと、そうした物事の捉え方が身に付くのは本当に素晴らしいですよね。

富士 やはり教えるのではなくて、自分から学ぶ。私はこれが大切だと思っています。そういう意味で、「育成」という言葉は間違っているかもしれません。育成とは人にしてもらうことで、自分を育成するとはいいませんね。そうではなくて、自ら学ぶという姿勢でないと日本を変えるような人財になるのは難しいと思います。つねに他人から教えてもらうのを待っている人たちはそこから先を開拓できません。ですから「未来をひらくDX人財育成プログラム2024」は、「DXの勉強をしなさい」というメッセージではなく、「DXを勉強するとめちゃくちゃ楽しいよ、将来いろいろなことができるよ」というメッセージにしたいと思っています。

DX検定では言葉しか覚えられないと言う人もいますが、もちろんそうだと思いますが、言葉の力はとても大きいので、まずはキーワードから勉強するべきです。私は英語が得意ではなかったのですが、あるとき徹底的に単語力をあげて一気にランクアップしたことがあります。その時のノウハウを活かして、DX検定にもDXのキーワード体得を重視しています。言葉を覚えれば、ますます知識が増えていき、そしてコミュニケーションのレベルも上がっていくでしょう、その結果日本人全体のレベルが上がり、特にエネルギーをかけて教育する必要がなくなる。それこそが狙いです。このイベントが長期的に何年も続くことによって、子どもたちの間で強制されずに、本人たちの興味・知的好奇心の上で、やらされ感なしでDXについてのスキルが上がっていくことが望ましいと考えるからです。

猪口 クラウドの中に何でもあることを先天的に分かっていますよね。おじさんはパソコンの使い方が分からないとどうしたらいいのか周りに聞きますが、彼らはすぐにネットで調べて、自分で解決します。

富士 そのとおりです。自治体でもそこに気づいてDXハイスクールやGIGAスクールなどの取組で補助金などの支援を行っていますが、やらされ感にならないことがポイントだと思います。われわれも子どもに個人単位で負担にならないように、親子あるいはファミリーで学んでほしいと考えています。大人も一緒に家族みんなでDXについて考えてほしい。子どもの自己啓発に頼るのではなく、寄り添ってほしいなと思います。

猪口 親はとても大事だと思います。自分がデジタル音痴で出世できなかったりすると、子どもたちだけは何とかしたいと思う人も多いかもしれません。

富士 私の知人が子どもたちを連れてアメリカに駐在をしていたのですが、最近帰国しました。彼の話では、アメリカでは早くからコンピュータサイエンスなどの授業があり、IT教育の比重が高くPythonでのプログラミングなどもどんどんやっているそうです。彼の子どもたちは、帰国後、日本の学校へ通った初日に「宿題が紙で出された」とびっくりしていたそうです。海外の真似をしてなんでも早くやればいいということではありませんが、海外との情報交流も積極的にやることでグローバルの動向を子どもたちだけでなく親の世代も含めて理解することが重要でしょう。そして、分かっている大人が手を差し伸べる機会として様々な取り組みを展開することが必要です。私自身今までDXを大人の世界でしか考えてきませんでしたが、もっと子どもたちも巻き込むべきだとようやく視界が広がったところです。例えば英語は受験勉強では理論や読書きの比重が高くなりがちですが、最近は子どもでもどんどん話すことが大事といわれるようになり留学も増えています。そういう意味ではDXも同じで、子どもでもどんどんプログラミングしていいと思うし、小学生で会社経営をしている子もいます。今は勉強しないといけないイメージが強い、もっと楽しみながら学べるようにしたいですね。そうすると、大人になっていきなりキャリアの選択を突きつけられる前に、自分に向いているか向いていないかを考える時間もできます。

猪口 今回の「未来をひらくDX人財育成プログラム2024」はどういった体制で推進していくのでしょうか?

富士 今回の取組は、まずはDX検定を使って子供たちから大学生まで幅広く、社会に出る前に、DX検定を目標にチャレンジしてもらいたいというシンプルなものから始まっています。

しかし、学会という組織は企業のように十分な予算があるわけではありません、ですからDX検定も子供は無料にしたかったのですが、システム経費などコスト負担がゼロにはならないために難しく一般向けの6,600円(税込)を1,500円(税込)にまで下げるのが限界でした、ですからスポンサーの申し出は本当に助かります、ただ協賛募集する活動もまたお金や人手もないのが実態です。

そこですでにDX検定に積極的に参加されてきた企業や団体を中心に相談し、DX人財の育成・地方創生という2つの面で、業界をリードしているAKKODiSコンサルティング株式会社のアカデミー本部様にご協力いただき、IFSJらしい方法を検討していきました。

それは、まず一番重要なのは、「子供たちにDX・AIの学習機会を」の考え方に共感していただけることです。そして次に学会は人手が足りないために、ご寄付をいただいてもそれを管理し業務を委託するような煩雑な手続きとその指示にかかわる人手もないという現実を受け入れることでした。また企業や団体も予算はすでに確定していて協力したくても予算の確保ができないという時期的な問題もあります。

そこでスポンサー資格は寄付金だけでなく、イベント運営や事務局のお手伝いなどの稼働提供や学習コンテンツの提供、受検のお声がけなどのプロモーション協力などまるで災害時に活躍するボランティアのよう体制つくりを進めています。

具体的には寄付金に限らず、貢献方法を検討いただき寄付額に換算してスポンサーレベル決める方法で協賛をお願いしています。(資料参照)

まずは企画から参加いただいたAKKODiSコンサルティング株式会社にはプラチナスポンサーになっていただくことができました。


「未来をひらくDX人財育成プログラム2024」のプラチナスポンサー第一号決定 | IFSJ-日本イノベーション融合学会

まだまだ一緒にこの活動に協業・協賛いただける個人、企業、団体を募集しています、来年以降も続けることができるように多くの皆様に参加いただきたいと考えています。

また寄付金関連の処理についても、学会の人手不足を補う方法として、また一般の方でこの活動にご賛同いただける方々に気軽にご参加いただけるようクラウドファンディングを準備中です、7月中にリリースしたいと思っています。

こういうところも日本イノベーション融合学会の名前の通り、お金や稼働がなくても社会のためにどう貢献していくかイノベーティブな取組みでチャレンジしていきたいと考えています。

資料:「未来をひらくDX人財育成プログラム2024」イベント協賛申請解説

猪口 社会全体で進めるということですね、これは未来への大きなビジョンでもありますね。ぜひとも成功してほしいと思います。本日はありがとうございました。

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