「お前の話はわからん」といわれる理由 2015/増沢 隆太
INSIGHT NOW! / 2015年12月1日 6時32分
増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ
・ゴール
そもそもコミュニケーションとは、「上手な話し方」のことではありません。相手があって成り立つものがコミュニケーションです。相手とどう接するか、相手をどうしたいのかというゴール設定により、当然伝え方も変わって来ます。「よく人から『お前は何言ってるのかわからない』と言われるんですがどうしたら良いですか?」という質問から、そのゴールは全く見えません。これが問題です。
コミュニケーション能力を高めたいということで恐らくこのような相談をされるのだと思います。しかしそもそも「何のために」コミュニケートするのでしょう。ゴール設定を抜きにコミュニケーションを考えることが間違っています。スポーツのルールもわからず技術を磨いても全く意味はありません。ルールにのっとって、勝敗・強弱・何らかの結果を達成するのがスポーツです。コミュニケーションもまた全く同じこと。
コミュニケーションに自信がないという方に限って、漫然とコミュニケーションをしがちです。意味無く友人や家族といった、結果を求められないオシャベリにおいて何も考えないのは普通です。しかしコミュニケーション能力を高めたい場合、「漫然と」ということはあり得ません。ゴールを考え、それを設定し、意識してコミュニケーションを進めるという構造を持たなければならないのです。
・なぜ面接の台本作りは意味がないのか
私のところに面接の練習に来るのは、就活学生だけでなく転職を考えるベテラン社会人の方もいます。マジメな人にありがちなのは面接の想定問答を作り、その答えを丸暗記するという行為です。しかし面接でセリフを練習してきても意味はありません。面接官にセリフを覚えてきたことは丸わかりだからです。
ではなぜ丸暗記は意味がないのでしょう。面接というコミュニケーションのゴールが「上手に会話がができる」ことではないからなのです。職務によるとはいえ、ほとんどすべての職務・採用においてコミュニケーション能力は重視されます。しかしそれは上手いシャベリ能力ではなく、組織の中でコミュニケーションを介し、事業目標を達成できることにつながる能力を見きわめているのです。
シャベリに自信のない人が台本を用意し、それを暗記して臨む方が、緊張で何もしゃべれないよりましに思えるかも知れません。確かに面接で一言もしゃべれないで採用は無理でしょう。しかし台本丸暗記のセリフを言えたからと言って採用も、やはり同じくありません。むしろそんな上がりやすい人は、緊張でセリフを忘れる可能性が高く、そんな状態になればますます言葉は一言も話せなくなることでしょう。現実的リスク管理上も、台本は全くお勧めできません。
・面接のゴール
面接についていえば、「採用されること」がゴールです。採用さえされれば、極端な話、面接自体がボロボロでも良い訳です。もちろん現実に面接がボロボロで採用はまずあり得ませんが。そうであれば面接練習も、「どう接すれば採用されるか」ということを考えなければなりません。全く説得力のない棒読みのセリフではなく、たどたどしいものであってもご自分の言葉で語ることは、説得力として非常に重要です。
面接での受け答えは、すべて「採用」に直結しなければなりません。逆に採用にプラスにならないことは言う必要が無いのです。採用に直結することとはもちろん採用する側のメリットを伝えることです。これがきちんと整理できないまま面接に臨む人が圧倒的に多数です。「何をいいたいのかわからない」といわれる人は、まずゴールを意識しないか、あるいはおろそかにいているのです。
コミュニケーションに長けている人は、しっかりと事前準備をしてからコミュニケーションの場に臨むようにしています。この白鳥の水面下の水かきのような努力こそ、コミュニケーション能力を向上させるカギといえます。セリフ頼みの会話とは、相手のことを考えず自分の言いたい事、伝えたいことだけでイッパイイッパイな状態であって、それは「話がわからない」のではなく、わかる状態にもっていとていないといことなのです。
事前準備をしっかりとやり、その上で相手の言いたいことや考えをしっかり理解できる人こそコミュニケーション上級者です。「わかってもらえない」のではなく、「わかってもらう」努力を徹底してますか。そこを変えるだけで、劇的にコミュニケーションは改善されます。
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