営業改革を考える (5) ベストプラクティスは往々にして社内にあり/日沖 博道
INSIGHT NOW! / 2016年3月2日 7時7分
日沖 博道 / パスファインダーズ株式会社
~営業改革を考える (4) 営業改革の前提は狙いの共有化~ の続き
営業改革の要素のうち営業プロセスの改革については、目的別に典型パターンが幾つかある。
最も定番で実現性が高いのは、若手の底上げを目的に、社内のベストプラクティスを探し出し、若手が参考にできるように噛み砕いて標準化することである。
これは初めて企業経営に携わった時に自らの組織に実践適用したこともあり、小生としての「業務改革の原点」的なアプローチでもある。
客観的には営業プロセス改革が不可欠と考えられる状況であっても、なかなか踏ん切りがつかない(必要性の認識が揃うのに時間がかかる、ベテランの協力が得られるかが心配、等々)というのはよくあるケースである。いわば大抵の会社が突破しなければならない「壁」であって、それを乗り越えるための手法も幾つかある。
しかし、そうしたハードルを超えていざ営業プロセスの改革に踏み込もうとしたところで、「青い鳥がどこかにいるんじゃないか」という少々安易な心理が台頭することが、ままある。
例えば「どうせならライバル企業のやり方を研究してみては」という、(往々にして営業とは無関係の役員からの)思いつき的な要請である。しかしそれに経営トップまでが賛成すると、やらざるを得ない。実際、競合の本拠地市場に進出するという特殊な状況だったゆえに小生からこのアプローチを提案したこともある。
確かに競合の営業手法の調査は面倒くさいが、やってやれないことはない。ただし苦労して調べた結果、「ウチと同じようなことをしている」と判明するだけかも知れないので、やみくもにお薦めはしない。
もっと癖球なのは、「SFAシステムを導入すればベストプラクティスも一緒に導入できる」というITベンダーの受け売りである。これは前々回に解説したように、失敗しやすいパターンゆえ用心すべきだ。
SFAツールには様々な便利機能があるが、貴方の会社にとってのベストプラクティスがパッケージされていることは滅多にない。どういうプロセスにすべきか自ら考えてツールに組み込み、ステップごとに要請される「すべき事」に対応してツールを使いこなすのが、SFAツールとの正しい向き合い方である。
小生は「他の会社が工夫している事例なんか知らなくてよい」と言っているわけではない。むしろ類似業界での事例などを参考にすることは大いにお薦めしたい。
警告したいのは、「よそのやり方をコピーすればいいじゃないか」という安易な発想は、徒労や迷走に終わりやすいということである。
改めて申し上げるが、多くの会社にとってのベストプラクティスは往々にして社内に存在する。賢い営業マンがどんな行動をとって高打率を上げているか、きちんとヒアリングと行動観察をすることで可視化できるのである。
(本稿は2013年3月のコラム記事に加筆修正したものです)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
2024年12月19日(木)開催!中堅・大手企業向け脱炭素セミナー『見える化で高める生産性とカーボンニュートラルへの道』
PR TIMES / 2024年11月22日 14時45分
-
データドリブンとは?情報資産の活用でビジネスの成長を加速する方法
マイナビニュース / 2024年11月19日 8時0分
-
【オンラインセミナー】組織のエンゲージメントを高める
PR TIMES / 2024年11月9日 17時40分
-
「生成AIで営業の質を高める」営業DXセミナーを開催(11月12日)
PR TIMES / 2024年11月1日 19時40分
-
【11/28 13時】「事例から紐解く Googleショッピング活用のベストプラクティスとは」共催セミナー開催
PR TIMES / 2024年11月1日 17時40分
ランキング
-
1春日部のイトーヨーカドーが閉店=「しんちゃん」のスーパーのモデル
時事通信 / 2024年11月24日 19時58分
-
2「バナナカレー」だと…? LCCピーチ、5年ぶりに「温かい機内食」提供…メニューは? 「ピーチ機内食の代名詞」も復活
乗りものニュース / 2024年11月24日 12時32分
-
3「ワークマン 着るコタツ」新モデルが登場 累計43万着を突破、人気の秘密は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 11時24分
-
4年収壁見直し、企業の9割賛成 撤廃や社保改革要請も
共同通信 / 2024年11月24日 16時22分
-
5異例の「ケーブル盗難でリフト運休」 スキーシーズン前に 捜査は継続中
乗りものニュース / 2024年11月24日 14時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください