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ホワイトボードが語る、議論のスタイルと企業活性度/日沖 博道

INSIGHT NOW! / 2015年12月22日 7時7分


        ホワイトボードが語る、議論のスタイルと企業活性度/日沖 博道

日沖 博道 / パスファインダーズ株式会社

経営コンサルタントという仕事柄、色々な企業のミーティングスペースを使わせていただく。

最近の大企業では、外部との打合せ用に綺麗なミーティングルームを用意されているケースが増えた(応接室よりも実用的だ)。大きな部屋だとプロジェクタとスクリーン設備まで備え、小さめの部屋なら液晶モニターが用意されていることが増え、持ち込んだノートPCの内容をプレゼンテーションする環境は随分整ってきたと感じる。

しかしホワイトボードが用意されているケースは、大きな部屋でも1~2割程度という感じだ(しかも滅多に使われないせいか、我々が使おうとすると電源コードが固く巻き付けられていて難儀したりする)。

また、そんな大企業でも、原則として社員しかいない執務スペース(大部屋)に隣接する、主に社員が使うための会議室は狭くて、設備的には一段劣るのが普通だ。

そこで皆さんに訊きたいのは、その社内会議室にはホワイトボードがあるだろうかという点だ。本来ならこちらにこそホワイトボードは欲しいし、しかも機能するような状態でいて欲しいのだが、如何だろう。

なぜこんなことをわざわざ言うかというと、社内会議室にホワイトボードがあっても使えない状態になっているケースが経験上意外と多いからだ。

壊れて電源が入らない、スキャナーの蛍光灯が切れている、紙がない、プリンター部分が壊れている、ボードマーカーがかすれて書けない、板面が汚れていて書いたものが判別しにくい、等々になっていないだろうか。

なぜホワイトボードに拘るのか?討論的ミーティングには必須アイテムと考えるからである。

どう使うのか?互いの意見を交わす際に、自分の頭の中にある概念をホワイトボード上で図にし、説明を書き足すのである。

何故必須か?言葉だけでは誤解が生じかねないし、何より話し言葉だけでは「空中戦」になってしまい議論が深まらないからである。

例えば事業の進め方に関して事業部内で集まって検討会議をする際、ホワイトボードを使って議論をすると着実に議論が深まる。

事業推進主体者がまず、考えている「ゴール」「課題」「解決仮説」「必要な施策・手順」などを語りながら書き出す。そして参加者と意見交換してどんどん書き加え、修正する。それに対し他の参加者が意見を出す際に、どこが違うのか、新しいのか、または補足するのか、明確に意識して関係を図示しながら書き加えるのである。

こうしたことをするためには、第一にファシリテータ役がいることが望まれるが、ホワイトボードもある程度の大きさがあることが望ましい(ちゃちな大きさではメモ書きにしか使えない)。

半分だけ残して次の議論に使うといった使い方をするためには、できれば板書をプリントできるタイプが望ましい(昨今はスマホでカメラ撮りするので板書印刷機能が必須ではなくなりつつあるが、すばやく議論を進めるにはプリントがあったほうが望ましい)。

なお、昨今ではPCをプロジェクタもしくは液晶モニター機につなげ、メモ書きや資料を画面に映しながら検討するスタイルも普及しており、我々も場合によって使い分けする。

こちらのスタイルは、共通理解を確認しながら進めるのに効果的かつ効率的である。互いの検討事項を報告・確認するようなミーティングにおいてはそのまま議事録の基になる。

我々が業務コンサルティングで実際にやっているように、今の仕事のやり方や組織構造などを確認するのにプロセスモデル等を作成し映しながら議論するのは(誰でもできるわけではないし、慣れていないと操作がスローモーだが)、誤解なく確認しながら進めることができるので、結局は効率的である。つまり「これでいいよね」と確認しながら進める性格のミーティングには向いている。

しかしアイディアを生むために活発な意見交換を行ったり新しい概念を語ったりするようなミーティングにおいては、ホワイトボード上で自由に文字と図を手書きしたほうが、発想のテンポや表現にとって制約にならない分、明らかに望ましいと感じる。

その意味で、社内会議室にホワイトボードがあって使える環境になっているか、積極的に使っているかどうかは、その企業がアイディア創出やイノベーションに熱心かどうかの一つのバロメータになると思う。

(本稿は2013年12月のコラム記事に追加修正したものです)

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