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人事出口戦略シリーズ①手切れ金と引き換えに解雇できる首切り法/成田 一夫

INSIGHT NOW! / 2014年9月6日 10時47分

人事出口戦略シリーズ①手切れ金と引き換えに解雇できる首切り法/成田 一夫

成田一夫 / 株式会社たまゆら

お金を払えばクビにできる解雇補償金制度[別名]首切り法が現実になるかも!?そんな時に必要なのが人事出口戦略。この記事では6回にわたって人事出口戦略についてご説明しています。

2013年7月21日の第23回参議院選挙で自民党が圧勝し、国会のねじれ状態が解消。これにより与党は、向こう三年間(解散しない限り)、国政選挙を意識せずに政策を決定できるようになりました。



平たくいえば、三年間、民意など気にせず、やりたい放題できるわけです。その結果、やりたい放題やられるのは、どうやら、お勤めのサラリーマンかも知れません。なぜなら、お金を払えばクビにできる解雇補償金制度[別名]首切り法の成立が、ねじれ解消によって、現実のものになろうとしているからです。

首切り法とは、会社が従業員へ、

「手切れ金と引き換えに、クビ」

と宣告できる法律。法律ですから、日本全国のサラリーマン全員に適用されます。

朝、

「出社してロッカーを開けたら赤い紙(解雇通知)が貼ってあった」

という米国型の労働環境が現実のものになろうとしています。

これが(解雇をカネで解決する)首切り法です。

2014年9月現在は、事実上、解雇できません。違法です。解雇が合法なのは、

1)会社の経営が危ないとき

2)解雇しなくてもいいように企業が努力した上で

3)辞めさせる従業員の選定が正当で

4)当事者が納得した

場合に限られます。以上の四要件が揃わない解雇は無効。

これを、整理解雇の四要件といいます。

なんのことはありません、事実上の依願退職のみ合法ですから、諭旨解雇であろうと、普通解雇であろうと、社員が「辞めます」と言わない限り、辞めさせることはできません(クビにできません)

これが、雇用規制です。



雇ったが最後、不祥事でも起こさない限り(懲戒解雇)、雇い続けなければなりませんから(終身雇用)、正社員に甘く、経営者に厳しい規制といっていいでしょう。それを公平にすべく、終身雇用を取り払うのが、首切り法です。

ちなみに、終身雇用という法律や制度は、ありません。日本独自の慣行です。上記の整理解雇の四要件が、結果的に、終身雇用制度をカタチ作りました。ところが、現実には、整理解雇の四要件が整わずに、辞めさせられることなど日常茶飯事。

中小零細企業の従業員や経営者ならば、整理解雇の四要件が机上の空論であることは、お分かりになるはず。退職勧奨(辞めてくれ→ハイわかりました)で円満退社になれば良し、もしも、こじれると、裁判所で解決せざるを得ません。

ある弁護士によると「思い当たる節なくしてクビになったら、訴訟を起こせば、だいたい勝てる(現職復帰できる)」そうですが、たとえ解雇が無効になっても、元の職場へ戻りにくいものですし、勝訴までの期間「どうやって食いつなげばいいの?」という現実問題もあって、提訴しない場合が多いそうです。泣き寝入りですな。



会社としても、解雇無効の訴訟を起こされれば、社員一人あたり数百万円以上(一説には最低200万円以上)のカネが消えるため、そこで示談という決着もあるそうですが、会社も社員も泥仕合の消耗戦になること必至。どのみち、解雇は、ロクな結末にならないということだけは確かなようです。

そこで、円満に別れる作戦=人事の出口戦略が必要になってきました。

「人事出口戦略シリーズ②首切り法の須要背景~高齢化と定年と年金」へ続く

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