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半インスタント食品の小袋の開けにくさが不満を蓄積する/日沖 博道

INSIGHT NOW! / 2014年12月9日 10時13分

半インスタント食品の小袋の開けにくさが不満を蓄積する/日沖 博道

日沖博道 / パスファインダーズ株式会社

世の中にある「折角なのに惜しい!」シリーズ、今回は半インスタント食品の包装。特に調理中や作業中に封を切ろうとすることが多いのに、封を切るのに苦労するようなスープ/ソースの小袋。小さな袋の小さな不満でも、度重なると購買に影響する。

たまの休日、普段忙しい奥さんに代わって旦那さんが家族みんなのブランチを作ろうと張り切ります。でも哀しいかな、本格的な料理は高根の花。でも加工食品をうまく使えばいいやと、乾燥パスタを茹で、市販のパスタソースをからめようとします。缶入りではなく袋入りがこの頃はお気に入りです。ところが一人前ずつのソースの小袋を開けようとするのですが、思うように封が切れません。一つは片面だけ斜めに割け、もう二つは途中でちぎれてしまい完全に開きません。それでも手早くパスタにからめる必要があるので構わずに絞り出しますが、割けたところからソースが飛び出したり、手に付いたり。悪戦苦闘の末にようやく出来上がり、「前回も似たような感じだったが、もう少し要領よくやれないものか」と少々悔しがりながら皿に盛りつけます。かなり個人的経験をベースに描写しましたが、似たような経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。様々な一品料理をほんのひと手間で手軽に作れ、しかも素人でも味付けは結構まともに出来上がる、そんな半インスタント食品や調味材が豊富に出回っています。冷凍食品やレトルト食品の品質も日進月歩ですが、それでは野菜などが少々不足気味と感じる(しかも料理が得意でないと自負している)向きには、こうした半インスタントの食品や調味材はとても魅力的な製品です。パスタやラーメン、うどん、焼きそばといった定番商品に限らず、中華料理、炊き込みご飯、パエリア…等々、色々と増えたものです。でも食品の種類はどんどん増やす割に、そして味付けに関しては色々と工夫している割に、加工食品メーカーの多くは包装の開けやすさについてはあまり気に掛けていないのではないでしょうか。折角のいい商品なのに、詰めの甘さが見え隠れするのです。特にパッケージの中にある、調理中に手で開けることの多いソースやスープの小袋です。こんなことを言うと、メーカーの人からすぐに反論が出てきそうですね。曰く―「当社はちゃんと気に掛けている。だから小袋には切り込みを入れたり、どこから切っても手で切れるようにしたり。もう少しゆっくりと切り裂いてもらえばちゃんと切れるはずだ」。そうですね、仰る通りなのですが、にわか料理人は余裕がないため、調理中にはつい急いで封を切ろうとするのです。「そもそも包装に表示しているが、封を手で切りにくいときにはハサミで切って欲しい」。これもその通りです。あらかじめハサミで封を切って立て掛けておけばいいだけです。でも段取りの悪いのが素人料理人で、つい調理中に封を開けようとするのですが、手近にハサミもなかったりするのです。「当社は食品の安全と味、品質とコストのバランスに力を入れている。パッケージのデザインならともかく、スープやソースの小袋の開けやすさなんて、いくら頑張ったってそれで製品が売れるわけじゃない」。確かに製品が売れる要素にはなりませんが、商品に対する不満要素にはなりますし、そのせいで販売のブレーキになることはあり得ます。事実、小生も何度か同じ目(封の切り損ないによる失敗)に遭った商品は多少憶えていて、そのブランドの商品は買うのを避けるようにしていますし(哀しいかな、半年もすると忘れてしまい、同じ商品を買ってしまい失敗を繰り返したことはありますが)、妻にも伝えます。包装の開けやすさというのは、調理中や作業中に封を切ろうとする傾向にある製品に共通する注意点ではありますが、こうした小さな不満に対する改善をどれほど真剣に考えてくれるかは業界によってもメーカーによっても千差万別です。少なくとも加工食品の包装に関しては食品メーカーというより包装メーカーに責任が帰され、しかも一般的にはコストが優先されます。小袋の封の開けやすさなどというマイナーな点については、お世辞にも「よく工夫されている」とは言いにくいのが実情のようです。それと対照的に、この「包装の開けやすさ」というものについてよく考えられている加工食品の代表が日清食品のカップヌードルです。そもそもカップの中にスープ粉がまぶしてあり、いちいちスープ小袋の封を切る必要がありません。その上、カップ全体を覆う透明プラスチックの薄い包装が簡単・確実に開けられるよう、引っ張って裂け目を入れるためのシールがカップ下側に取り付けられています。そのシールは湯を入れたあとに蓋を閉じる際に使えるようになっています。なんと合理的な、と感心するつくりです。カップ麺という特殊な製品だからこそできる側面もあります(事実、日清食品の他の製品にはスープ小袋がついてくるのが普通です)が、この製品には「真の手軽さ」「消費者の戸惑いをなくす」というコンセプトが添えられているように感じます。手軽さと味もあって、我が家では他のカップ麺を差し置いて「保存食」として幾つか常備しています(なぜか時折消費されるので買い足しますが…)。これは最初に挙げた「半インスタント食品」ではなく純粋な「インスタント食品」ですが、包装にも気を掛けると客離れしにくいことを証明しているような気がします。 最後になりましたが、一部の加工食品メーカーはこの「スープ小袋の開けやすさ」に関し解決策をすでに見出しているようです。ある袋入りのラーメンですが、明らかに他のメーカーの製品と違って、スープ小袋をほぼ確実に手できれいに開けられ、しかも斜めに割けにくいようになっています。これに気づいてからは、小生はそのメーカーの商品を買うようにしています。もちろん味も気に入っているからです、念のため。

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