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団塊世代が日本を最終破壊する/純丘曜彰 教授博士

INSIGHT NOW! / 2015年1月1日 19時2分

団塊世代が日本を最終破壊する/純丘曜彰 教授博士

純丘曜彰教授博士 / 大阪芸術大学

/団塊世代は、数の力、横の連携だけで、この40年もの長きにわたって組織や方針の決定権を強引に握り続けてきた。このために、次の世代は、その組織や方針に心情的コミットメントが無く、それを継承することは無いだろう。/

団塊世代がいくら生涯現役だとか言っても、七十を過ぎるとさすがに無理だ。それで、では、そろそろ次の世代にがんばってもらおう、などと唐突に言われても、これまた無理。これまでの団塊世代の長年の居座りのために、いまの五十代は、ずっと外野の、ただの使用人か顧客の立場に置かれたままできた。だから、経営運営の経験が無い。それ以前に、そもそも、自分の、というほど、組織や方針に愛着が無い。それも、状態が良いならともかく、いまだにバブルの後遺症で、あちこちガタだらけ。こんな自分のものでもなかったオンボロ船を、いまさら粉骨砕身して無理やり立て直そうとするより、たとえどんな安値でも、さっさと叩き売って、できるだけ早く縁を切る方を選ぶだろう。
たとえば、歌謡曲。とっくに世間の人気も無くなっているのに、団塊世代というだけで大物顔で居座っているやつたちがのさばっている。そんな古い業界に、わざわざ頭を下げて入れていただかなくても、ネットその他に新しい活躍の場は開かれている。時代劇も、同じような事情で、もはや絶滅寸前。週刊誌もそうだ。あんなもの、いまの五十代以下は、読まない。ポマードや足袋と同じ。作っている連中にしても、それで商売になるなら、まあ、それもいいか、ということで、これまで旧世代の好みに合わせて働いてきたが、べつに自分たちが心底からそんな下世話な趣味嗜好を引き継ぐ義理も無く、旧世代が死んでいく以上、商売としての将来性もなく、とっとと廃刊した方がいいんじゃないか、と考えるのが、当然の帰結としての本音。
同じようなことが、新聞やテレビでも、起こっている。いや、すでに農業、宗教、学会、文壇、スポーツ、地方、商店街、住宅地で、同じような事態が続々と起こってきている。一般企業でも、上の世代がリストラだの吸収合併だのをくりかえしてきたために、とっくに終身雇用、安定昇進は崩れ、愛社心もなにも残っていない。べつに自分のものと言えるほど、これまでその組織や方針の決定に関わってきていない。だから、もとより自分の組織や方針ではない。したがって、それを引き継ぎ守る義理も無い。
団塊世代は、全学連でやらかした失敗をまた繰り返したのだ。当時、同世代だけで横に引っ張り合い、幹部ポストを占拠した結果、だれも後から入ろうなどというバカは出てこなかった。団塊が通り過ぎた跡にはペンペン草も生えない。自分たちに都合のよい傀儡後継者など、後継者たるに足るわけがない。それで、いきなり一世代を飛び越して、むりやり息子娘の団塊ジュニア世代に世襲しよう、などとするが、そんな北朝鮮みたいな個人商店、自分の家族だけでかってにやってろよ、ということで、いよいよ中堅の心は離れ、ジュニアを支える者がだれもいなくなる。戦後を風靡してきた巨大スーパー「ダイエー」が消えて無くなるのは、この戦後的倒壊パターンの典型だろう。
おそらく、この失敗は取り返しがつかない。ただ、それほど悪いことでもあるまい。わけのわからない新聞や週刊誌、歌謡曲やテレビ、新興宗教や農協農業は、歴史的な「昭和文化」として、江戸文化の歌舞伎や落語などのように、政治的な保護にべったり依存して、それなりにかろうじて命脈をたもつのだろうし、その一方で、もともとそれらに心情的なコミットメントを持たない人々は、もっと外の世界へ出ていって活躍するのだろう。
ただ、心配なのは、同じことが国家についても言えるということ。北方領土や沖縄、福島の原発、韓国や中国との関係など、上の世代がかってに無茶でたらめを重ね、こじれさせてしまったことで、いくら熱弁をふるわれても、それならあなたたちが死ぬ前にきちんと始末されてはいかがでしょうか、としか言えない。自分たちの国、自分たちの郷土、と思えるような人々の自然の心情を踏みにじって、数の力、横の連携で、自分たちだけで暴走してきた戦後の団塊世代は、結局のところ、戦前の軍部よりタチが悪い。(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。)

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