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地方創生に向けて「着地型観光」を普及・定着させるべく/小槻 博文

INSIGHT NOW! / 2015年1月28日 15時23分

地方創生に向けて「着地型観光」を普及・定着させるべく/小槻 博文

小槻博文 / 合同会社RegionWire

【ベンチャー・中小企業×広報・PR】【地方創生×広報・PR】
全国各地の各種アクティビティ情報を集約・一元化した「ASOViEW!(あそびゅー!)」を運営するカタリズム株式会社は2014年10月に広報・PR担当者を置いたばかり。そこで始動にあたりどのような取り組みを進めているのか、その実態に迫った。

広報・PR情報サイト「広報スタートアップのススメ」 http://www.pr-startup.com/.===休日を"休息"から"充実"へ===欧米では長期で休暇を取得する文化が根付くなど、余暇をいかに豊かに過ごすかが当たり前である一方、日本での余暇の概念はまだまだ"休息"としての側面が強く残っているのが現状だ。しかし代表の山野智久氏は、今後日本でも余暇を充実させたいと考える人がきっと増えるだろうと考えた。そこで旅行を"移動する""宿泊する""遊ぶ""土産を購入する"という過程で見てみると "土産"は現地で購入するものであり、"移動する""宿泊する"は既にさまざまなインターネットサービスがあるものの、"遊ぶ"に関するインターネットサービスはブルーオーシャンであることに気づく。それまでもアクティビティ事業者が自身で立ち上げたホームページや、分野別や地域別のサイトなどはあったものの、日本全国のさまざまなアクティビティを同一のプラットフォームで紹介して予約できるサービスは皆無に等しかったのだ。そこで「旅行先は決まったけれど、現地で何をすれば良いのかわからない」「週末にやることがない」などというときに利用できるプラットフォームとして「ASOViEW!」を2012年に開設。現在同サイトでは北は北海道から南は沖縄まで、約1,000パートナーによる約200ジャンル・3,500プランの情報を掲載し、気に入ったプランを予約することも出来る。(2014年11月時点)なおまずは国内プランに特化して掲載数の充実を図っているが、次の段階では国内プランをインバウンド(訪日外国人)向けに展開するとともに、ゆくゆくは日本だけでなく世界各国のプランも掲載していく予定だという。.===想いと理解が広報・PR担当者の絶対条件===事業は順調に推移する一方、ベンチャーということもあり、メディアで同社が取り上げられることは限定的であり、取り上げられたとしてもそれは山野氏の人脈によるものだった。しかし余暇の過ごし方はよくメディアでも特集が組まれたりするなど、世の中の関心ごとであることは疑う余地はない。また「フライボード」や「竹田城」などの例を出すまでもなく、あまり知られていないけれど、存在を知ったらきっと多くの人たちを魅了するであろうアクティビティが世の中にはまだまだ数多く埋もれている。そこで広報・PR活動を戦略的に行うことで、同社の報道を増やすとともに、余暇の過ごし方そのものを世の中に啓発していこうと、2014年10月に同社として初となる広報担当者を置くことになった。広報・PR活動を始めようというとき、内部から登用するか、外部から経験者を採用するか、またはPR会社に外注するか、いくつか選択肢が考えられるが、同社では「事業のことをきちんとわかっていること」「サービスに対して想いがあること」が広報・PR担当者であるべきとの考えから、社内から担当者を立てることとし、その白羽の矢がたったのが現担当者の丹羽一与さんだった。しかし丹羽さん自身はサービスへの想い・理解はあれども広報・PR未経験だったため、まずは他社広報の話を聞こうと積極的にさまざまな会合へ赴いたり、また「同社と設立年数が近い企業(等身大)」「同社の倍の社員数の企業(近未来)」を基準に選んだ約20社に対しては、個別に目標設定や施策などについて話を聞かせてもらったりしながら、共通項を分析して同社でも適用できそうなことから着手しようと考えた。そして大きくは「利用者数の増加」「掲載パートナー数の増加」「人材採用」につながる報道の獲得を進めようと目標設定をしたうえで、いよいよ2014年末から広報・PR活動を開始した。まず利用者向けには、「ASOViEW!」は季節に応じた多彩なプログラムが強みだと考えて、季節性を意識した情報発信を進めるとともに、キャリア系のメディアには"チーム力"でアプローチするなど、メディア特性に応じた切り口やストーリーをきちんとつくっていくとしている。またパートナー向けには、従来から自治体と連携しながら着地型観光の支援をしてきた実績を基に、地方では全国メディアではなく地元のメディアのほうが有力であることから、各地のローカルメディアに対してアプローチを進めている。そして採用に関しては、既にエンジニアに強いという企業イメージが定着している他社ベンチャーなどと連携しながら、勉強会やCTO対談などエンジニア向けイベントを定期的に開催することを計画している。なお一般的にエンジニアは一日中PCと向き合いがちの職種であり、"アウトドア"というと敬遠される傾向にあるため、"アウトドア"を前面に出すのではなく"エンジニアファースト"の社風を訴求出来ればと考えているそうだ。.===「守破離」を肝に銘じながら===こうして広報・PR活動を始動させた丹羽さん。今後の目指すべきところを最後に聞いた。「『今晩のメニューどうしようかな?』と思ったときにクックパッドを開くように、『今週末何をしようかな?』『旅行先で何をしようかな?』と思ったときに想起される存在にASOViEW!を早く成長させるとともに、休暇は"休息"ではなく"充実させる"ことが当たり前の世の中にしていきたいと思います。その実現に向けて広報・PR担当者としては、"守破離"(※)という言葉がありますが、まずは基本的なことから一つひとつきちんと進めていきたいと思います。」(※)守破離・・・まずは師匠に言われたこと、型(基本)を「守る」ところから修行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。(wikipediaから)従来の旅行会社を中心とした「発信型」の観光型と異なり、地域が主体となって、地域の良さを訴求しながら集客につなげる「着地型観光」を支援する同社。そんな同社の取り組みは単なる「レジャー」の域を超えて、「地方創生」の一助になりうる可能性を秘めているのではないだろうか。そんな期待を込めながら、引き続き動向に注目していこうと思う。(了)

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