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プレゼンは高橋メソッドで!/純丘曜彰 教授博士

INSIGHT NOW! / 2015年2月22日 5時8分

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純丘曜彰教授博士 / 大阪芸術大学

/高橋メソッドとは、スクリーンを白黒デカ文字のティーザー看板にしか使わない、やけっぱちの安直プレゼン手法。しかし、それは、昨今のパワポ依存、やっただけプレゼンに対するアンチテーゼだ。/

 来年度の講義は、高橋メソッドでやろうか、などと考えている。「高橋メソッド」と言うと、油彩工芸品制作でも有名なのがあるのだが、それじゃない。プレゼンの手法。これ、「メソッド」なんて言っているが、冗談半分のやけっぱちだ。それが何かを知りたければ、アンサイクロペディアの当該記事、ないし、本人の案内を見てみるといい。http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8...
http://www.rubycolor.org/takahashi/takahashi/img0....
 もともとパワポが無くて、高橋氏が、急遽、HTMLでがさつなプレゼン資料を安直にでっちあげた、ところが、やってみたら意外に評判がよかった、という、しろもの。さらに元をたどれば、映画館のトレーラー(予告編)なんかも、昔からみんなこれ。「特報!」「あの感動がついに!」「衝撃の真実がいま!」「世界騒然の話題作!」「映画史上最高の金字塔!」。テレビのフリップなども、安く簡単に作れるようになって以来、ワイドショーなどで、引っぱがし付きのものが濫用される傾向にある。
 ようするに、どでかいプレゼン画面をただの看板として使う。それも、プレゼンターが主役だから、絵など論外。あくまで文字だけ。このスタイルのプレゼン資料に、たいした中身など無い、いや、あってはならないのだ。ティーザー(引っ張り)連打! スローガン炸裂! ときに一発ウケのネタ! 観客が話に喰いつきゃそれでいい。
 これは、最近のプレゼンに対する大きなアンチテーゼだろう。私も、ロータス社「フリーランス」という先駆的プレゼンソフトの時代から、いまだ近年のようなプロジェクターの設置されていない教室で、ノートパソコンの画面をOHPで取り込んで講義に使い、工夫を重ねてきた。ところが、MSofficeが出回って以来、サルでも、カニでも、やたらパワポを使いたがる。それも、ワープロで作ったプレゼン原稿、数百文字をそのまま白黒1画面に出して、全文読み上げたりするバカがいる。かと思えば、わけのわからない矢印だらけの自己満足の図解。話はどこからどこへ行っているやら。とはいえ、誰も聞いちゃいない。
 とくに日本ではそうだ。プレゼンは発表儀式。登壇した、ということだけが重要で、観客が理解したかどうか、それどころか、話を聞いたかどうかすら、プレゼンターに関心がない。まあ、プレゼンをするようなのは、コンペでもなければ、たいていちょっと偉い人。どんなにひどいプレゼンでも、観客も文句を言わない、退席もしない。それで、やつらは図に乗って、そんなひどいプレゼンがどんどん蔓延。
 いや、批判じゃない。自戒だ。いまはパワポやプロジェクターの性能が上がり、スクリーン上に相当量の情報を表示できてしまう。だが、情報量が多いプレゼンが良いわけではない。要点がしっかり観客に伝わるかどうか、実際に観客をモーティヴェイトできるかどうか、が重要。それも、わざわざライヴでやる以上、プレゼンターの話こそが主役。プレゼン画面がそのプレゼンターの話を聞く、聞こうとするためのサポートとして観客に役立っているのかどうか。
 高橋メソッド専用のプレゼンソフトまで作られているが、それもまた冗談みたいなもの。もともとがHTMLだけでやっていたものなのだから、ノートパッドとブラウザだけでも簡単に作れる。パワポなら、マスターをデカ文字にして、アウトラインに細切れ改行の文章を流し込むだけで適当に文字サイズ調整もしてくれる。なんなら、超極太明朝にアニメもつけ、ドンドンっ!というサウンドとともにズームアップで出てくるようにマスターを設定すれば、それはもう完璧。(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。著書に『夢見る幽霊:オバカオバケたちのドタバタ本格密室ミステリ』『悪魔は涙を流さない:カトリックマフィアvsフリーメイソン 洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだパーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書』などがある。)

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