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電子出版原稿の最適解像度は?/純丘曜彰 教授博士

INSIGHT NOW! / 2015年2月23日 19時15分

電子出版原稿の最適解像度は?/純丘曜彰 教授博士

純丘曜彰教授博士 / 大阪芸術大学

/電子書籍リーダーの規格がバラバラで、マンガや図の原稿を作るのにも、解像度を決めるのが悩ましい。将来を考えれば、マンガ電子原稿と同じ7323x5197が理想的。入稿は、現行最高機種から2000x1414となり、あとは容量制限をクリアできるように、総ページ数とjpg圧縮率を調整する。/

 amazon社のkindleなどは、読み上げ機能を付けて文字だけの電子出版を主軸にしたいようだが、現実はマンガが圧倒的だ。ようするに、画像が固定でページに割り付けられているだけ。文字原稿でも、中に図を入れるとなると、マンガと同様に解像度が問題になる。では、どれくらいの解像度にしたらいいのか。 パソコンでは、従来VGAの680x480からUXGAの1600x1200までアスペクト(画角)4:3 (1.33)で拡大してきたのに、その次の段階で、ハイビジョン映像の国際規格化とともに横長の1980x1080、16:9 (1.78) 切り替わり、最近はこのサイズのものが大量に作られている。しかし、これはビジネス、とくにワープロでは使いにくい。このため、新アスペクトの旗振り役だったMicrosoft社みずからが、surface pro 3では2160x1440、3:2 (1.5)までアスペクトを落としてきた。一方、Apple社は、ipad air 2は2048x1536、つまり昔ながらの4:3 (1.33)だが、macbook air 13は1440x900、16:10 (1.6)。電子書籍のAmazon社のkindleも、Fire HDX 8.9が2560x1600、16:10 (1.6)。 もともと紙は、A4で297x210mm、10:7 (1.41)。それも縦使いの方が一般的。マンガの場合、週刊誌がB5で257x182mm (1.41)、その原稿は、141%倍のB4に、仕上がり310x220mm (1.41)で描くことになっている。ただし、単行本はB40、つまり新書判で、約113x177mm 4:3 (1.33)。週刊誌と違ってノド(とじしろ)にムダがないので、そこでアスペクトの違いを吸収している。で、マンガの電子原稿はどうしているか、というと、comic studio の場合、310x220mmに600dpi、したがって7323x5197ということになる。グレー・スケールとはいえ、3806万画素! EOS-1D Xで1810画素だから、その倍以上。もっとも、マンガの場合、その原稿サイズは、手書きのものを70%以下に縮小する前提で最初から141%倍に拡大されているのだから、その大きさに600dpiというのは、あきらかに過剰。B5の週刊誌サイズ用に600dpiのままで電子入稿するなら、6071x4299もあれば十分なはず。 さて、電子書籍リーダーは、今後、高解像度に向かうのはまちがいない。しかし、アスペクトがどれくらいの比率で落ち着くのか。まず解像度については、紙の印刷以上になることはないし、なる理由もあるまい。その意味で、600dpiが基準になる。また、電子書籍リーダーの大きさも、いかに軽量化しても、手に持ったときの人間の視野角からして、日本の週刊誌サイズB5の見開き、つまりB4以上になることはあるまい。くわえて、単ページでも、見開きでも使える、ということを考えるなら、アスペクトは10:7 (1.41)になる。このアスペクトは、じつは、本当はルート2。これは「白銀比」と呼ばれ、どこまで半分にしても、まったく同じ形(アスペクト)を保つ。電子書籍リーダーの1画面に多ページを表示するなら、結局は紙と同じ、この白銀比にならざるをえない。 以上から、今後の電子出版を見据えてマンガや図などを作るなら、その解像度は、B4に600dpiで、マンガ電子原稿と同じ7323x5197が理想的、ということになる。これならば、今後、電子書籍リーダーの解像度が上がっても、確実に対応できるだろう。
 もっとも現在の電子出版では、ページごとに3806万画素などというのは、通信負荷、保存負担が大きすぎる。現行最高解像度の機種にアスペクト1.41の原稿を表示するならば、surface pro 3: 2030x1440、ipad air 2: 2048x1452、Fire HDX 8.9: 2256x1600となる。これらを見ると、元原稿は7323x5197で作っておくにしても、とりあえずの入稿原稿は2000x1414(283万画素)というのが美しく、過不足もあるまい。あとは、総ページ数とjpg圧縮率で、入稿データ容量制限をクリアできるかどうかの問題だろう。(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。著書に『夢見る幽霊:オバカオバケたちのドタバタ本格密室ミステリ』『悪魔は涙を流さない:カトリックマフィアvsフリーメイソン 洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだパーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書』などがある。)

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