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不気味なアンドロイドよりかわいい家電ロボットがいい/日野 照子

INSIGHT NOW! / 2015年4月7日 11時42分

写真

日野照子 / 無所属

多機能な人間型のロボットや不気味なアンドロイドより、シンプルでかわいい家電ロボットの方が生活に取り入れやすい

 2003年4月7日が鉄腕アトムの誕生日だそうだ。アトムが12歳になった今年、ソフトバンクが感情認識型パーソナルロボット「ペッパー」の販売を開始し、300台の初回販売数は1分で完売したという。それでもロボットの一般への普及はそれほど進んでいないように見える。かつて「なんでもできる」パソコンを使いこなすのが難しかったように、「なんでもできる」ロボットも何に使うのか、考えるのが難しい。 1990年代の終わり頃からロボット開発ブームになり、ソニーが犬型ロボットAIBOの受注販売を開始し、2000年にはホンダが二足歩行ロボットASIMOを発表した。ちょうどGoogleが設立され、imodeのサービスが始まった頃のことだ。そう聞くとなんだか大昔のようだが、ほんの十数年前のことである。2010年代になって、自分そっくりの「ジェミノイド」で有名な石黒浩大阪大学特別教授の研究所で作られたアンドロイドはデパートで宣伝したり、舞台で演劇をしたりしている。<オトナロイド@日本科学未来館> そして、2015年「ペッパー」が販売される。ロボットブームは終わったと言うより、実用化のフェーズに移っている。用途がより実用的な産業ロボットや機能特化した医療や介護、家事ロボットに移行してきたということだ。 もっとも、写真を掲載した「オトナロイド」は、現時点では人間型ロボットを作ると言うより、「認知発達ロボティクス」という人間そのものを理解するための研究なのだそうだ。なぜ、アンドロイドは人間に見えないのかを突き詰めると、人間らしさとは何かがわかるというわけだ。裏を返せばそれほどアンドロイドは人間らしく見えないのだ。どう頑張っても、人間には見えない。かえって人間に似せれば似せるほど不気味に見えてくる。(そういう人間心理を指す「不気味の谷理論」という学説もある。) AIBOはいかにも機械の体をしていたからこそ、受け入れられたように思う。ルンバに名前を付けて可愛がるという人の話もよく聞く。例えそれが機械だとわかっていても、人間は社会的な生物ゆえに、相手に感情移入するものらしい。この流れを受けて、近年シャープが販売している自動掃除ロボットCOCOROBOは、掃除機なのに「おしゃべり機能」を売りにしている。上位モデルは「ボイスコミュニケーション機能」があり、話しかけると答える。しかも、ロボットの「気分によって」返事が変わるらしい。完全に「可愛がられる」ことを想定している。 あるいは、このテレノイド。<テレノイド@日本科学未来館> 一見しただけだとその不気味さにのけぞるフォルムだが、実験では意外と評判がよいそうだ。余計なものをそぎ落としてあるから、自分の思う相手のイメージを投影できる、ということらしい。個人的には、テレノイドは抱きしめるという行為と、人間の声で会話するというその2点が重要な気がする。ぬいぐるみの頭にスマホを埋め込み、抱きしめながら電話するようなものだろう。パロという真っ白いアザラシ型セラピーロボットが商品化されているが、それと似たような安心効果かもしれない。 要するに、ロボットが人間型である必然性は薄い。人間は感情移入が得意なため、形態は意外と「なんでもいい」。ある程度の会話はしてほしい。家電ロボットの要件は実はシンプルである。人間型でないロボットは、これから生活にどんどん入り込んでいくことだろう。

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