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調達購買資材改革推進者勉強会-その2/野町 直弘

INSIGHT NOW! / 2015年4月30日 21時21分


        調達購買資材改革推進者勉強会-その2/野町 直弘

野町 直弘 / 株式会社アジルアソシエイツ

先回に引き続き4月11日に行われました「調達購買資材改革推進者勉強会」の発表について紹介していきます。

まずはグローバル調達グループです。

グローバル調達グループの発表で印象に残ったのは、グローバル調達発展論でした。このグループでは当初、所謂欧米を中心としたグローバル企業における調達モデルを将来像として検討することから始まったのです。しかし「多くの日本企業にとって有効性を持った内容を目指す」べきとしてグローバル調達の発展を以下の視点(自社リソース、サプライヤリソース、対象マーケット、モデルとなる売上高、規模)から6つのステージに分類し、それぞれ上のステージに移行するためにはどのような課題を克服しなければならないか、という地に足のついた研究を行っていました。

一例を上げると「海外からの調達を進める段階では予算獲得のスキルが必要」になると言っています。これは「海外調達を進めてコストを削減しろ」とトップダウンで指示が出ているにも関わらず、海外出張規程は20世紀型のままで、社長承認が必要で、予算もついていない、という有りがちな課題を取り上げたものです。

またこのグループの発表で非常に印象深かったのは発表者のこの言葉でした。「国内外を意識しないで調達購買を実践するのが本当のグローバル調達です」と。
発表者はグローバル企業でのサプライヤ開拓育成に携わっている方ですが、国内外を意識しないで同じ基準で評価をすると、「結果的に日本国内のサプライヤを選定している」という言葉も印象的でした。

色々な壁、課題はあるものの「国内外を意識しない調達購買の実践」がグローバル調達の本質であるという言葉には目から鱗です。

次は組織体制整備・強化グループ。

このグループは「だったら、世界一の購買部をつくってやる!」というテーマに基づいて組織構成、人的リソース、役割・機能、についてあるべき像を研究しています。
発表で印象に残っているのは、「集中購買」「分散購買」の組織論に解はない、ということです。調達購買部門のマネジメント層にとってこの「集中」「分散」の議論は悩ましい課題の一つと言えます。一方でこの10年位はどちらかというと組織論としては「集中」化が望ましいという方向であったでしょう。しかし、最近は「集中」化によるメリットが少なくなり再び「分散」化している企業も増えてきているようです。

調達購買部門のマネージャーが中心となったこの勉強会でも、一度集中化した組織の分散化は可能であり、その時々の経営戦略、事業戦略に応じた組織構成が求められるという指摘をされており、とても興味深い点でした。

また、このグループの提言でこれからの調達購買部門では2つの機能を強化すべきであるという指摘をされています。「調達市場調査機能」と「原価企画分析機能」です。「調達市場調査機能」とは調達品に関する市況動向やサプライヤ動向、技術動向や需給動向などの幅広い動向を調査分析し、調達品に関する戦略をたてる上で活用するための機能。「原価企画分析機能」はコスト分析などでコスト妥当性を判断し、場合によってはコスト分析を駆使することでVE、VAへつなげていくための機能です。
多くの企業でこれらの機能は担当者が実務の傍らやっているのが実態ですが、これらの機能を専任部隊として持つことで、より戦略的な機能を満たしていくという提言でした。昨今LCB(ローコストバイヤー)ということでオペレーション業務はシェアード化やアウトソーシング化が進んでいます。こういう時代に、より戦略的な機能へ人員を配置することが、世界一の購買部作りにつながるという提言でした。

最後は横浜グループです。

このグループは特定のテーマを研究するという事ではなく、勤務先や自宅が横浜周辺である方々を中心としたグループになります。このグループの研究テーマは「企業価値を最大化する世界最高の購買部を作る」という壮大なものです。またそのためのプロセスとツールの研究・開発をしてきました。

具体的にはカテゴリーマネジメント、ステイクホルダーマネジメント、オーガニゼーションマネジメントの3つのマネジメントとそれに紐付く23のアクションそして23のアクションについてそれぞれプロセス、ツール等を開発しており、全体として約400ページにも上るアウトプットを作り上げました。(彼らはバイブルと名付けています)これらの23のアクションは様々なケースに応じていくつかのアクションを組合せることで解決できます。

このグループの最大のポイントはまずはその圧倒的な量です。以前私が在籍していた外資系のコンサルティング会社でもこのようなメソドロジをまとめ、コンサルティング活動やコンサルタントの教育に役立てていました。それに匹敵するようなノウハウの体系化をコンサルタントではない現場の人間が作りだしたのです。
本当に凄いことですね。

今回は先回に引き続き3グループの発表内容を紹介いたしました。
全てのグループに共通することはアウトプットの質と情熱の高さです。今回5グループの発表を全部聞いていただいた参加者には最優秀グループの投票をお願いしましたが、各グループとも最優秀グループ賞を本気で取りにきていました。
また各グループとも甲乙つけがたい素晴らしい内容でした。

企業内で改革を推進している方々はたくさんの課題と困難に日々悩まされています。このような方々が時間と情熱をかけこのような素晴らしい勉強会を実施できました。勉強会メンバー、特に各グループのグループリーダーの方にはたいへん感謝しております。皆様のお蔭でとても良い機会を作ることができました。有難うございます。

今後この勉強会は全体での発表等を行う予定はありません。継続するかどうかも各グループに一任しております。多分多くのグループは活動を暫く休止することになるかもしれません。しかし私たちのこのような取り組みは何らかの形で皆様の改革にお役に立つ形で活用されることでしょう。

最後になりますが、今回の活動の中で2つのグループ(人財育成・教育、サプライヤマネジメント)はオペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会の全国大会で研究成果の発表を行うことになりました。2015年6月13-14日学習院大学で行われます。
http://e-jomsa.jp/zenkoku15.html
ご興味、ご関心あられる方は是非ともご参加ください。

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