直感でわかる仮説思考5/ 一般的「仮説思考」とこの章の「仮説思考」の違い/伊藤 達夫
INSIGHT NOW! / 2015年6月22日 7時47分
伊藤達夫 / THOUGHT&INSIGHT株式会社
ロジカルシンキングスキル全般を「直感でわかる」ようにお伝えしていきます。今回は仮説思考を解説します。
さて、ここまで説明したことを少しまとめてみます。 人は期待して生きている。こんなことが起きたらいいな、こんなことになったら困るな、と。それに反する状況、合致する状況が見えてくると、過去にこういうことをしておけばよかったと後悔したり、期待通りに行動してみたりする。これはほとんどの人がやっていることなので、特に難しくありません。仮説を出す作業はこれとほとんど同じことをしている。 ただ、過去の行動を修正することはできないので、それを現在の行動の修正に適用するのは少し難しい。ここに1つ目の仮説を立てる壁がある。 もう1つ難しいことは、実務上は会社が何をすればいいか?を考えるのが仕事であること。自分は会社と一心同体ではないし、経営者でもないので、会社の体験が分かっているわけではない。自分が期待するのは簡単だが、他人、ビジネスマンの場合は会社になりきって期待するのは少し難しい。特に自分が空気が読めないという自覚がある人は難しさが増してしまう。 ここを越えるためには、他人の行動を真似してどんな期待があるのかを感じる訓練をしてみるといいでしょう。もしくは誰かと一緒に遊んでみること。スポーツをしてみること。そうすると、自分や他人がどんな期待をしてどんな行動をしているかが単純で分かりやすいです。空気を読んだり、他人が何を見て何を期待しているか、どんな仮説を持っているのか、持ちうるのかは難しいのですが、すべてここまで説明したことの延長にあります。 この延長上で会社がどのような期待を抱くのかが感じられるようになっていきます。その上で、「今現在」がその期待が叶いそうな状況なのか、期待に反するような状況なのかが見えてきます。そして、どんなことをすればいいのかがわかるようになってくるのです。 以上がここまでのまとめです。 いわゆる一般的な仮説本では、論理的にしないといけないとか、全体観を持たないといけないとか、結論から考えるべきだとか、事実に基づいて正しくないといけないとか、いろいろ出てくると思います。そういったことはここまでではほぼ書いてありません。しかし、いわゆる仮説本に書いてあることを実践したとしても仮説を立てられないとすれば、その壁はここに書いてきたことにあるでしょう。というか、むしろここに書いてあるようなことを越えようとしなければ仮説を立てらない学生のほうが多かったと私は思っています。でも大丈夫です。次はこの考え方をベースに「論点思考」を説明していきます。論点を書くという形式の中にいわゆるロジカルシンキングがあると考えたほうが、やりやすいと思います。そこでいわゆる論理性の問題、全体観の問題、正しさの問題は一気に解消されていくでしょう。もともと仮説思考の本と称して論点の考え方も説明している書籍が巷では多いですよね。 でも、直感的に分かるためには仮説が先で、その裏返しとして論点があるという考え方をしたほうがいいと思っています。仮説思考や論点思考をやろうとして挫折するのは、・そもそも仮説が出せない・仮説を出すというのがどういう行為なのかというのがよくわからないこれが長年ビジネスマンにいわゆる思考技術を教えてきて思うことです。もしそうであれば、仮説を思いつくというのがどんな行為なのかということがわかった上で、論点の考え方、いわゆる「論理的」なことを学んだほうが早いのです。 実際には仮説と論点は表裏一体の関係にあるわけですが、この続きは次の『直感的にわかる「論点思考」』で解説していきましょう。 7月には書こうと思います。【ポイントまとめ】・後悔を思い出してみる・自分の抱いている期待を自覚してみる・「たられば」を思い出して、期待とそれに反する現実、過去の行為の修正を書き出してみ る・誰かの動きを真似してみて、どんな期待を抱いているか当ててみるそれでは、今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。
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