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「経営者」としてどの立ち位置を狙うのか/泉本 行志

INSIGHT NOW! / 2015年12月11日 7時0分


        「経営者」としてどの立ち位置を狙うのか/泉本 行志

泉本 行志 / 株式会社アウトブレイン

先日、中学〜高校時代の友人と品川で20年ぶりに会う事になりました。

彼は、1年前くらいに設計事務所を開業し、
最近は顧客も安定し、1年半くらい先くらいまで
仕事が埋まって充実しているようでした。

そこで、何となく反射的に
「それなら、組織化してビジネス大きくしたらどう?」
というと、

「俺は設計自体が好きで独立したんだよ。
なんでわざわざ会社を大きくして余計な仕事を増やす必要があるんだよ〜」

とやや不機嫌な返事が返ってきました。

確かに1時間くらい前に、
「大手ハウスメーカーで実績を積んだ末、
キャリアパスとして管理職になるよう散々促され、
とうとう拒みきれずに、独立を選択した」

と説明してたな・・

これまで知り合った経営者の方々を振り返ると、
それぞれの目的・志向によって「経営者」といっても、
目指す立ち位置が、大きく3つに分かれると思います。

さっきの旧友の彼は、会社という枠組みは作ったものの、
自分が「職人」としてのプレイヤーでいたいという指向があります。

なので、「職人経営者」として自分が得意な職人的実務に注力できるように
それ以外の業務を他人にやってもらうような組織をつくることを重要。

一方、自分が経営する組織全体で、何かをなし得たいという「事業経営者」は、
自分自身が日々のオペレーションに関与する割合は極力減らすべきです。

事業全体の仕組みを構築したら、それがうまく回っているのを主要指標でチェックしつつ、
自分はオペレーションの外に出て、事業の未来の姿をデザインし方向性の舵取りすることに、
より注力することが大切です。

さらに「事業経営者」を超えて、事業の中身にはほぼノータッチという
立ち位置の経営者もいます。事業の経営というより、事業を「所有する」という志向が強い
「ビジネスオーナー」という立ち位置。

異なる事業の会社を何社も経営している経営者は、
この「オーナー」というポジションに自然と移っていきます。
より「投資家」に近い立ち位置とも言えます。

純粋な株式投資家ではないので、事業あるいは関連企業間の調整をし、
全体の最適化を図ることはしても、個々の事業内容にはほとんど口出ししない。

経営者として自分がどの立ち位置を目指して経営していくかは
長期的なプランを考えるときに意識すべきです。

もちろん、オーナー的立ち位置を目指すにしても、
まずはキャッシュを生む既存事業をしっかり構築することが先決です。
また、後継者として既に継承する事業組織があるのであれば、
その事業を継ぎ事業経営者の立ち位置をとることも1つの選択肢だし
あるいは「オーナー」的なポジションで事業の中には入らず、
より投資家的な立ち位置で会社を継承した方がスムーズにいくこともあるでしょう。

事業経営ということを、このようにやや俯瞰的に捉えてみると
自分の事業を客観的な視点で、冷静に観ることができると思います。


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