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売りつけたくない君へ(6)/「安くしてくれ」って言われるんです/伊藤 達夫

INSIGHT NOW! / 2015年9月14日 11時31分


        売りつけたくない君へ(6)/「安くしてくれ」って言われるんです/伊藤 達夫

伊藤 達夫 / THOUGHT&INSIGHT株式会社

 オアゾの目が飛び出るほど高いイタリア料理店で彼女がお客さんに怒ってしまった話を聞いてから2週間後。ミュージカルを見てから3ヵ月半後。

 とある部品メーカーの経営陣に最終報告のプレゼンをしている最中にポケットの携帯が震えた。嫌な予感がした。この時間に私に電話をしてくるのは、無理な発注ばかりをする昔からのお客さんか、彼女ぐらいだ。

 プレゼン後、携帯を確認するとやはり彼女だった。どうしよう・・・。放置してもどうせかかってくるか・・・。

 彼女に折り返す。あれから2週間しか経っていない。連絡頻度が上がっているのは、いろいろと疑問に思う機会が増えているのだろう。それ自体は悪いことではない。ただ、その疑問に自分で答えるようになれないと、伸びてはいかない。依存しすぎるのも考え物だ。

「で、どうしたの?」

「はい。値段を安くしろって言われて。これ以上は下げられないラインていうのがあって。『このお値段には下げられません』って言ったんですけど。」

「言ったけどどうだったの?」

「はい。あと10%安くならないと買えないって言われて。」

「で?」

「はい、持ち帰って検討しますって言ったら、『今答えないとダメだ』って言われたんです。」

「それで?」

「はい。『それは無理です』って言ったら、『他社はあと10%安い見積もりを出している』って言われて。」

「で?」

「『弊社はこれ以上は無理です』って言って終わりました。」

「そう。仕方ないんじゃない?」

「仕方ないんですか?」

「そりゃあ、仕方ないだろ。やるだけやって、その反応だったら仕方がない。でも、値付けと値引きのロジックをちゃんと提示したの?」

「値引きと値付けのロジックって何ですか?聞いてないです!」

 彼女は語気を強めて言った。なんかキレ気味じゃないか・・・。

 なぜ俺が怒られる・・・。これは『逆切れ』というやつではないのか・・・。勉強熱心なのはいいことではあるが俺がキレられる義理はない・・・。

「そりゃあ、一気に全部教えられるわけでもないじゃない・・・。あなたの会社ではそういう考え方をしないわけ?」

「聞いたことないです。」

「そう。じゃあ、できるかわからんよ。もう切っていい?さっきまでプレゼンやっていたから頭が痛いんだ。」

「今どこですか?」

「品川だよ。なんで?」

「じゃあ、渋谷に集合しましょう。」

「集合か・・・。わかったよ・・・。」

 なんでこう俺の予定を詰める強引さはあるんだ・・・。『お客さんの予定を詰めるのが難しい』とか前は言っていなかったか・・・。たいした進歩だ・・・。

 渋谷中央街近くのサルジニア料理店。夕方の営業がちょうど始まったところだ。俺はプレゼンが終わったので、だらけたい。放心したい。そうしたいのだが、容赦ない感じで質問攻めにあっている。なぜ俺はこんな目にあっているのだろう・・・。

「値付けと値引きのロジックって何ですか?」

「うん。ちょっと説明が面倒なんだよね。」

「何が面倒なんですか。早く教えてください。」

 頭痛がする。最後のプレゼンの後はいつもそうだ。頭をギリギリさせて考えるからか、偏頭痛が止まらなくなる。

「ドラえもんじゃないんだからさ。ポケットからなんでも出てくるわけじゃないよ。ちょっとワインぐらい飲ませてくれない?」

「飲んじゃだめです。真剣にやってください。」

「じゃあ、自分で少しは考えてみてよ。」

 売れるようにするには、考える営業マンを作ることが結局は一番簡単だ。継続的に結果が出せる。答えを覚えるのではなく、自分で近似解を出すことができる営業マン。それができればどんな問題にも対処できる。売れないのは結局、考える量が足りていない。

 トークスクリプトがあるならその意味を自分で考えられて、状況に合わせて適切に運用できる営業マン。それが理想だ。しかし、なかなかそんな営業マンはいない。ただ、彼女は少しずつ、それに近付いているようにも思える。ひいき目かもしれないが、少しずつ自分で考えるようになっているようにも見える。

「わかりません。わかったら先生を呼び出していません。」

「俺が中国とか東南アジアに出張とかだったらどうするんだよ。」

「そしたらスカイプ会議です。」

 嫌だ・・・。こいつだったら時差に関係なく電話してきそうだ・・・。

 ただ、売ることに積極的になっているのはいいことだ。以前では考えられない。売れそうなところにまで来ている実感があるんだろう。わかればわかるほどわかるようになる。そういう感じなのだろう。しかし、少しは休ませて欲しい。例によって昨夜はあまり寝ていない・・・。

「まあ、いいや。でも、ヒアリングの時にちゃんと予算は確認したの?」

「しました。その時、言っていた金額よりも、提案後は低い価格じゃないとダメだって言ってきたんです。」

「でも、ヒアリングして条件確認はしたんだろう?」

「しましたよ。当然です。」

「じゃあ、その優先度と要望を全てかなえた場合の金額と要望を最低限に満たす金額も確認した?」

「へ?してないです。」

「あれ、概算提示をする話は俺はしていなかったっけ?」

「していないです。また漏れてたんですか?仕方がないですねえ・・・。もう、ちゃんと説明してくださいよ・・・。」

 腕を組みながら彼女が言った。いや、なぜ腕を組む・・・。なぜ俺が責められる・・・。態度でかい・・・。ありえない・・・。

「いきなり全部は説明できないだろ。説明したとして、いきなりすべてを実行するのは不可能だよ。この機会に学べばいいさ。」

「はい。じゃあ、それはどういう考え方なんですか?」

 俺がリードされてる・・・。まあいいか・・・。少し成長したということでいいことにしよう・・・。

「あのね、予算は確認するけど、要望をお伺いしたらその要望を全て満たすとするといくらかかるのかをざっくり提示するんだ。予算より高くなっても構わない。正直に申し上げればいいんだ。」

「でも、その金額だと無理だとか言われそうですよね。」

「ああ、そうだ。わかるようになってきたな。だから、ミニマムで満たす金額も提示するんだ。これが予算より高くなるとそもそもお金がないお客さんだから、ミニマム提示で難色を示すお客さんは取らなくてもいい場合も多々ある。」

「えー。取りたいです。」

「いや、あのね、自社が提供する商品を必要としていて、かつ、予算があるお客さんに買って頂くのが正しいの。予算がないお客さんに買って頂けないだろう?」

「そうですけど・・・。」

「ミニマム提示でも厳しそうなお客さんには、その場でどういたしましょう?とお伺いしていいんだよ。それで『やっぱり買えないや』となったらそれはそれで構わないんだ。提案書を作らずに済む。余計な工数をかけずに次に行ける。」

「そんなもんですか・・・。せっかくヒアリングまでしたのに。」

「いいんだよ。まずはアポの16%をクローズすることを目指せばいい。この意味としては、買わない、買えないお客さんだっているってことだ。深追いはしない。ただ、次回への布石は作っておくんだ。もしくは『社内で予算を取るために必要な資料があれば用意いたしますが、いかがいたしましょう?』とかオファーしておく。それでお手伝いさせて頂ければ、運よく来期の予算に入れてもらえた時に買ってもらえるだろう?」

「はい。でも、気が長いんですね。」

「単価によるけどな。でもね、お客さんからの信用は3年から5年スパンぐらいで得られるもんだと思っておいたほうがいいよ。人はそれぐらいの期間の付き合いで信用するもんだ。」

「え、そんなにですか?もっと気軽になんとかなりませんか?」

「気軽ねえ・・・。でも、あなたも営業は3年やっているでしょう?昔、訪問したお客さんを新たに訪問するのもありだと思うよ。よっぽどやらかしていなければね。」

「う・・・。やめておきます・・・。」

 やらかしているんだ・・・。やっぱり、やらかし続けているんだ・・・。まあいい。仕方ない・・・。

「ここまでが基本的な考え方。それで今回の案件は要望を確認して提案したのに、安くしてくれって言ってきたんだっけ?」

「はい。そうです。少し理不尽でした。」

「でもさ、要望に優先度をつけて、バリエーションをつけているのに、一律これ以下は無理だというのも、変な流れじゃない?次回からはそういう提示の仕方をしてみて、概算提示にご納得頂いた場合にしか提案しないことにしておけば、そういう工数の無駄は防げるかもしれないね。」

「でも、いきなり態度が変わったんです。ちょっとおかしいです。」

「そう。ひょっとしたらライバル会社に相見積りを取ったのかもしれないじゃない?」

 彼女はいつも通り考え込む仕草をした。

「そうかもしれないですね。『他社はもっと安い』って言っていましたから。」

「完全に同じ機能を同じボリュームで提供して向こうが安いなら勝てないな。それはどうなの?」

「それは・・・、確認できてません。」

 彼女はうつむいた。できてなかったことが良くないことだというのはわかっているみたいだ。いい傾向ではある。

「そうなんだ。それは確認すべきだったね。」

「すいません。」

「謝っても仕方ないし、俺に謝ることではない。謝るぐらいならミスしないでくれよ。売るのがお前の仕事だ。お前が売るんだ。俺の仕事じゃない。」

「・・・。はい・・・。」

 真剣で素直だ。これはこれでいい。しかし、少し妙だな。俺はお前の上司ではないぞ。大丈夫か・・・。

「まあいい。値引き要求してくるってことは、欲しいってことだ。そこを越えれば取れた。要望の優先度付けと、予算の概算提示ができていれば取れていたかもしれない。たいした進歩じゃないか。」

「本当ですか?」

 彼女の顔がぱっと明るくなる。相変わらずポジティブだ・・・。ここは素晴らしい素質だ。なかなか真似できない。

「ああ。値段さえあえば契約だったんだよ。惜しかったな。」

「うー。私のインセンティブー。」

 彼女は悔しくてしょうないというような顔をした。これもいい。できないことが悔しい。営業マンには必要な資質だ。

「仕方ないよ。長い付き合いができるなら多少の値引きは上司の許可を取ればいい場合もあるだろうけど。でも、安易に値引いて取る癖がつくのは良くないけどな。」

「そうなんですか?」

「ああ、マージンが取れなければ商売を続けることはできない。これは大原則だ。需要と供給の問題でマージンは常にゼロに追いやられるものではある。でも、市場価格ではマージンが取れるレベルであり、お客さんがその商品を欲しいならマージンは適切に取れるはずだよ。営業マンはマージンを削る圧力と戦い続けるのが仕事のようなもんだよ。長期的に見れば負ける戦いをしているが、会社が負けると判断すればその市場から撤退するから、営業マンは最後まで抵抗すればいいんだ。君の会社は市場価格から見たら普通の価格で売っているんだろう?」

「はい。ぎりぎりだと思います。」

「もしも、あなたが商品・サービスを購入した場合、アフターサービスを受けたいだろう?」

「はい。」

「もし、マージンがなかったら、会社は潰れてアフターサービスの提供が不可能になるぞ。それでいいのか?」

「よくないですね。」

「だったらちゃんとした値段で売れよ。マージンを削る圧力と戦うんだ。そして、かっちり正当なマージンを頂け。俺はびた一文まけない。値切ってくる相手とはそもそも交渉しない。だから高めの提示もしない。この価格でいいかダメかしか聞かないよ。」

「そうなんですか。」

「ああ、値引いて来るような相手と取引しても無駄だろ。そんな人たちと取引して気持ちいいか?サービス提供にはコストがかかるんだよ。コンサルティングの場合、予算が低いと、サービス提供にしっかりコストをかけられない。クオリティが落ちる。そんな仕事をする意味はないよ。」

「そうですか。でも、契約取りたいじゃないですか。」

「それはそうだけどな。ただ、できないことはできないと伝える。それは大事なことだ。今回はこれで良かったんじゃないかな?俺はお前の判断は正しいと思う。」

「そうですか・・・。良かったです・・・。」

 あんまり良さそうな顔はしていないぞ・・・。取れる方法が知りたかったと言うことなのかな・・・。

「でも、不当に高い商品をお勧めして、実は安い商品もあったとなると超弩級のクレームになるから気を付けてね。」

「あ、はい。そういうことはやっていません。大丈夫です。」

「そう、いいじゃない。で、今回の件に関して、上司はなんて言っているの?」

「・・・。まだ言ってません。」彼女は目を伏せて言った。

 おいおい。やばいだろ・・・。俺より先に上司だ。

「順番が逆だよ。上司に先に話せ。俺は後でいい。」

「はい・・・。」

 これはまずい。上司とのコミュニケーションがうまくいかなくなっているなら、営業自体が続けられない恐れがある。それが本当に分かっているのだろうか?上司との関係がまずくなっているとすると・・・。

「お前さ、この前のお前が怒っちゃった件、上司に話してないんじゃない?」

「え、いや、あの・・・。」

 あからさまにあたふたしている・・・。はー。やっぱりそうか・・・。

「そうだと思った・・・。その反応は話してないな・・・。」

「なんでバレてるんですか!」

 彼女は身構えた。いや、攻撃しないから・・・。俺、漫画のキャラじゃないから・・・。でも、予想通りだ。困ったな・・・。

「やっぱりそうか・・・。そんなことじゃないかと思っだよ・・・。」

「・・・。すいません。」

「俺に謝るなよ。上司に聞くの。上司が君の生殺与奪権を持っているの。だから、君が真っ先に報告・連絡・相談をすべきなのは上司であって俺じゃないの。本当に大丈夫?」

「はい。うまく行ってます。大丈夫です。」

「絶対嘘。うまく行ってない。最近はちゃんとした報告をしていない。日報の提出だけで誤魔化している。」

「え、なんでわかるんですか!」

 またも彼女は身構えた。わかりやすい反応だ。でも、わからないとでも思うのかな・・・。なんでそういうことがわからないと思うんだろう・・・。もういい大人だろうに・・・。

「うまく行っていたらさ、上司に先に言うだろ・・・。俺に連絡して会いになんて来ないよ。」

「・・・。はい・・・。」

「やばいぞ。売れるようになっても、上司とうまく行ってないと、上司に手柄を全部取られたりすることだってあるぞ。俺はお前の上司ではない。俺はお前の社内でのプレゼンスを保証できない。本当に大丈夫か?」

「まさか。そんなこと本当にあるんですか?」

 彼女はあからさまに不安そうだ。でも、それぐらい想定しないで上司と仲が悪くなるなんて・・・。なんて甘いんだ・・・。ありえんぞ・・。

「よくある話だよ。お前みたいに生意気で空気が読めないと特に気を付けたほうがいい。そんなことになったら悔しい想いをするのはお前だぞ。」

「いや、そんなことはしない人です。すごくいい人なんです。大丈夫です。」

「まあ、知らんよ。俺はお前が売れればそれでいいけど。でも、上司とうまくやって売るっていうのをしっかりやれてこそ営業マンだと思うけどね。」

「はい・・・。ごめんなさい・・・。」

「俺に謝るな。むしろ上司に謝れ。あと、もう1つ思い出したから言っておくから覚えておいて。」

「なんですか?」

「要望をお伺いして、その優先度を決める作業は、いわゆる営業本に書いてあるテストクロージングに近い。これもお客さんに買った時のことを想像させてコントロールすると解説している本もある。が、違う。絶対違う。」

「読んだことあります。仮クローズとかですよね。それでお客さんの反応を見るとか、お客さんに買った時のことを想像させて買いたい気持ちにさせるとか書いてあるのもありました。」

「それは違うんだ。そもそもお客さんが必要なものを買う。予算がある。必要なものはいろいろな機能の組み合わせであることもある。そして、予算の制約は絶対にある。もしそうだとしたら、どの機能の優先度が高くて、どれが低いかは聞いて当然だろう?予算が無制限じゃないんだから。」

「確かにそうです。」

「だから、お客さんが買える、買えないといったことを確認しながら提案を作って行けば無理にテストクロージングのトークなどする必要はない。そもそもはこういった部分が商談に必須なのに、それを吹っ飛ばす人が多いからテストクロージングなんて名前がついて、無理やりコントロール技法のような喧伝のされ方をしているんだよ。そもそも、お客さんが必要なものを買うという原則から始まれば、テストクロージングが介在する余地はない。ここはわかっておいて。」

「わかりました。でも、先生の解説は本当に普通ですね。それでいて、コントロール的な説明ができることをそうじゃないって言うんですね。本当にコントロール技法が嫌いなんですね。」

「違うよ。あなたがそもそもコントロールが大事だとか言うから普通の営業を普通に教えているんだよ。コントロール技法的な説明は、普通の説明よりも営業本としてキャッチが効くから売れるだろうし、広まりやすいんだよ。でも、その考え方で売れるようになっている人は俺が見る限りは少数派だ。普通に普通の営業を教えれば、普通に売れるようになるよ。必ずしもスーパーにならないけどな。」

「私はスーパーになりたいです!」

「そうか・・・。でも、まあいい。今日は好きなだけ食べてくれ。俺は仕事が一区切りついたから、今日明日はもう何もしない。だから好きなだけ飲んで食ってしていいよ。」

「本当ですか!」

「ああ、いい。今日はいいよ。」

 彼女は目を輝かせてメニューを読んでいた。しかし、大丈夫かな。上司とうまくいかないのは、大きな組織でもまずい。小さな組織なら即刻クビだ。

 売れているなら上司も黙って見ているだろうけど、彼女はまだ売れていない。辛うじて置いてもらっているような状態だ。俺が育成方針を間違えたかな?俺が違うやり方を教えているせいか?いや、そんなこともないだろう。

 そう思ってこの件はなるべく考えないようにした。まさかその後、あんなことになるなんて思いもしなかった。

解説:


さて、いかがでしたか?

 値段は引けないところからは引けない。それ以上の値引きを引き出そうとする相手とは付き合う必要はありません。値引いてしまうと自分の会社と自分がどんどん苦しくなるだけです。

 余談ですが、最近では調達部が発注の仕組みをかえって複雑にしているようです。調達部門が下げた値段分が調達部門の評価になるようなので、結局は高めで書くということになり、かえって非効率になっていますね・・・。ただ、そういった条件下でも会社がやっていけるためのマージンは確保しなくてはなりません。担当者がしっかりしていればそういった条件も教えてくれますので、それは営業マンの側からもしっかりと確認しましょう。

 さて、今回の話を箇条書きで確認してみましょう。

・お客さんは必要な物を買う。

・お客さんは必要な物をできるだけ安く買いたい。

・値引きをするのは商品が欲しい証拠ではある。

・ただ、売る側は企業活動の継続のためにも一定のマージンは確保しなくてはならない。

・必要な機能と単価、ボリュームの選択肢を提示するのは当たり前。

・複数の機能が必要な場合、その組み合わせのパターンで値段を提示する。

・要望を全て組み合わせた提案がお客さんの予算を上回っても構わない。予算に見合った提案も用意し、安いだけの提案も用意してもよい。

・当然、高いオプションには高い理由、安いオプションには安い理由がある。理由のない値引きは絶対にしてはならない。

・理由のない値引きをすれば、価格付けの根拠が疑われ、怪しいと思われたり、更なる値引き要求をされてしまう。理由のない値引きはきっぱりと断ろう。

 といったところでしょうか。

 彼女は引けないラインに関して、値引きをきっぱりと断っています。これは正しい行動と言えます。おそらく、今回のお客さんは相見積りをかけて、ライバル会社から安い価格を引き出していて、安い価格で買うことを決めていたのでしょう。

 そうであったとしても、ライバル企業との機能、条件、クオリティの違いなど、自社が勝っているポイントを探して、価格差の正当性を主張するのが正しい営業マンのスタンスです。その時の方針にもよりますが、すぐに『同じだけ値引きをします』と言うことが仕事ではありません。

 また、上司とはうまくやらねばなりません。営業マネジャーはクロージングの能力がそれなりにあるはずです。だからそのポジションにあるはずです。マネジャーから学べるだけ学び、味方につけなくてはなりません。いざという時、クロージングに同行してもらうことは重要です。それは結局あなたの成績になります。

 結果を出している営業マンにとやかく言うマネジャーはいません。しかし、結果が出ていない時、マネジャーの方針と違うことをやる場合には注意が必要です。こっそりやるか、自分なりにいろいろ試してみたいことを伝えて味方につけるかのどちらかをお勧めします。先生と彼女はこのことに対してはあまり注意を払っていないようですね。

 さて、彼女はそろそろ契約が取れてもよさそうな感じになってきましたが、次は何が起こるのでしょうか?引き続き、彼女の成長をお楽しみに。

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