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なぜ、優秀な人材を集めても、まともな問題解決ができないのか?/斉藤 秀樹

INSIGHT NOW! / 2015年9月20日 18時25分


        なぜ、優秀な人材を集めても、まともな問題解決ができないのか?/斉藤 秀樹

斉藤 秀樹 / 株式会社アクションラーニングソリューションズ 一般社団法人日本チームビルディング協会

チームが本来のチームの利点である多様性とシナジーを生み出し、単なる個人の力の足し算、1+1=2ではなく、1+1=3、5、10といった高い成果を生み出すにはいくつかの条件があります。

  1. 問題解決の推進力であるメンバーの高いモチベーションとメンバー間の自発的な協働意志
  2. どのような立場であっても平等で自由にそして本音で発言できる安全な場
  3. 個人の手柄ではなくチームの成功に全員が本気で貢献する結束
  4. 小手先の対症療法ではなく、課題がどんなに困難なものでも果敢に挑むチャレンジシップ
  5. 課題の本質(本当の姿)を浮き彫りにする多様な視点や価値観の共有
  6. 表層的な課題に翻弄されず真因(本当の原因)を深掘りする思考と手法
  7. 無意味な議論をせず、小さくとも変えられることからどんどん変革し、現実から学び、成長し続けるラーニングサイクルの実践

これらの条件が揃い、チームが活動し始めると、そこには圧倒的な成果を創りだすチームが現れる。

大手製薬メーカーの中堅リーダー

能力的には皆同様に優秀なリーダー達で結成されたチームのはずが、

1)あるチームはメンバー間のコミュニケーションが上手くいかず、口数も少なく暗い雰囲気が漂っていました。

2)また、あるチームは陽気に話しているものの誰も本音を言わず、表面的で小手先の対策の議論に終始時間を費やしていました。

3)また、あるチームは本質的な議論はするものの、当事者意識が希薄で結局、責任を持って解決行動を担当する人は現れませんでした。

4)そして唯一、1チームだけが本質的な課題を明確にし、各メンバーの役割と納期を決め、その後のコミュニケーションプラン(進捗共有や支援方法)まで検討を進めていました。

さて、同じような高い能力を持った個人が集まってチームを作っているにも関わらず、このチーム間の格差は何によって生まれるのでしょうか。

またもう一つ、チーム間格差がありました。それは、問題解決の深さともいうべきものです。各チームのディスカッションを洞察していて気づくことは、課題の扱いがチームによって異なるという点でした。

  1. 課題が提示されるとすぐに解決策の検討に入るチーム。
  2. 課題が提示されると分析が得意なメンバーがリーダーとなって、その課題がどのような背景から生まれたものなのか分析し、分析結果に対して解決策を検討するチーム。
  3. 課題が提示されると課題をより鮮明にかつメンバー全員が共通認識できるようにしたうえで、全員が質問「なぜ」を繰り返しながら、課題の本質を深掘りしていくチーム。

このような取組の違いは、対症療法にしかならない解決策、部分最適にしかならない解決策、原因療法となる本質的な解決策という差を生み出しました。

3タイプの違いははっきりしています。

  1. の対症療法は一時的な効果はあるものの、また同じようなトラブルや問題を引き起こします。つまり一過性の効果しか得られないのです。
  2. は、分析によって検討されたパターンには対応できても想定外のパターンには対応できません。

 3. の原因療法は、対症療法よりも時間を要することが多いですが、同じようなトラブルや問題は激減し、結果的に大きな成果を得ることができます。

そしてこの対症療法的な取り組みのほとんどが前述の1)~3)のチーム状態が低迷しているチームの取り組みでした。

このように多様性を活かしチームが高い問題解決力を獲得するためには、4)の良好なチーム状態と3の課題を深掘りし、真因を探索する手法、そしてファシリテーションスキルが必須なのです。

つまり「良好なチーム状態」を創るチームビルディングと、「課題を深掘りし、真因を探索する手法とファシリテーションスキル」アヴィリテーションスキル(弊社造語)が必要なのです。

*アヴィリテーションは、チーム力を引き出し、チーム力と多様性を推進力として、組織が抱える本質的な問題を解決する手法とスキルを指しています。

チームビルディングで形成されたチーム力を利用して問題解決に取り組む方法です。

その役割を担う人材を、弊社では『アヴィリテーター』と呼んでいます。

このチームビルディングとアヴィリテーションの両手法とスキルを獲得し、チーム力を高め、その力を問題解決に活用することで、チームが本来持っているチーム力を問題解決に活かしブレークスルーと高い成果を生み出せるようになりました。

チームが一過性で対症療法を主とした問題解決から脱却する。これまでも重要なテーマでしたが、一向に解消されていません。

本質は問題解決を大局的に捉える意識と思考の欠如があります。大局的とは現象の奥にある真因とその問題に関わる人間のあり方を指しています。問題が発生するとき、それに関わる人間のあり方が変わらなければ問題が本質的に解決する事はないと痛感しています。

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