【採用学 I】採用学研究所 服部泰宏准教授 ☓ ビズリーチ|採用手法と人材採用における運用の柔軟性、経営層の関係/HRレビュー 編集部
INSIGHT NOW! / 2015年10月28日 15時9分
HRレビュー 編集部 / 株式会社ビズリーチ
採用学の第一人者である横浜国立大学の服部泰宏准教授がリーダーを務める採用学研究所(運営:株式会社ビジネスリサーチラボ)とビズリーチが、日本の採用活動動向の調査を目的として共同研究を実施。ただいま無料で第1弾「採用学I 成長企業における採用活動の特徴」の研究レポートをダウンロードしていただけます。
「採用学」とは、企業の採用活動に関する課題に科学的観点からアプローチし、採用活動の効率化を支援して社会に貢献することを目的とした、課題解決志向で実践的な学問です。
今回は、研究レポートのなかから第二章「採用手法と人材採用における運用の柔軟性、経営層の関係」と題して研究結果の一部を抜粋してご紹介します。レポートの全文は文末のリンクから無料でダウンロードすることが可能です。ぜひご覧ください。
第二章 採用手法と人材採用における運用の柔軟性、経営層の関係
欲しい人材に積極的にアプローチする企業の特徴
欲しい人材に積極的にアプローチする企業は、スカウトメールを活用したり求人情報を継続的に改善していることが分かりました(図表1)。優秀な人材を確保するために能動的に行動する企業は、求職者がより自社に関心を持つよう、求職者との接点となる情報を改善し続けており、採用手法を工夫していると考えられます。
図表1 スカウトメールや求人情報の改善
また、「採用活動の柔軟さ」の分析から、選考フローと採用コストの運用における柔軟性は新卒採用と中途採用で大きな差は出ませんでしたが、中途採用に絞って分析してみると、欲しい人材に積極的にアプローチしている企業ほど選考フローと採用コスト、さらには給与水準も、すべて柔軟に運用していることが分かりました(図表2)。欲しい人材に積極的にアプローチしている企業は、その人材に入社してもらうために、さまざまな工夫を施していると考えられます。
図表2 欲しい人材に積極的にアプローチする企業・しない企業の採用活動の柔軟さ(中途)
人材採用に積極的な経営層の特徴
マネジメント人材の充実を、戦略上重要と位置づけている企業(注1)ほど、経営層が採用活動に関与する度合いが相対的に高いことが分かりました(図表3)。経営層が自ら採用活動に積極的に関与することで、人材採用が戦略上重要な位置づけであることを社内へ浸透させることになるのかもしれません。
注1「マネジメント人材層の充実が、自社の戦略の優先事項の上位3 つに入っているか」という質問に対し、「あてはまる」もしくは「ややあてはまる」と回答した企業を指します。
図表3 マネジメント人材の充実を戦略上重要と位置づけている企業・いない企業の経営者の人材採用における行動
また経営層が求職者と会うのは最終面接というケースが少なくありませんが、人材採用に積極的な企業は経営層自らが採用活動の最前線に出ていることもあるようです。
今回の調査で、転職活動していない転職潜在層に対するアプローチについても調べたところ、アプローチしている企業は、アプローチしていない企業よりも経営層が面談や会食、さらには1 次面接を行っている割合が相対的に高い結果となりました(図表4)
図表4 転職潜在層にもアプローチする企業・しない企業の経営層の関与
また、経営層の関与が、採用現場にどのような影響を与えているのかについても分析しました(図表5)。「面接の工夫」においては、会社資料などのツールの提供によりコミュニケーションの標準化に取り組んでいる、あるいは面談官・面接官にトレーニングを実施していると回答した企業は比較的少ないという結果が得られました。
しかし、経営層が採用活動に積極的に関与している企業は、そうでない企業に比べ、面談官・面接官へのトレーニングが実施される傾向にありました。経営層が採用活動に関与することで、その重要性が現場にも認識され、トレーニングや研修等が適切に実施されると考えられます。
ただし、会社資料などのツールの提供、および面談官・面接官に対するトレーニングの実施に関する全体的な水準は高くなく、とりわけ面談官・面接官に対するトレーニングを実施していると回答した企業は4 割未満にとどまった点には注目すべきです。
図表5 面接に有用なツールの提供やトレーニングの実施の状況
まとめ
本章では、欲しい人材に対して積極的にアプローチする企業の採用活動の特徴や、採用活動に経営層が関与することで採用現場にどのような影響があるのかを考察しました。まとめは以下の通りです。
■欲しい人材に積極的にアプローチしている企業の特徴と経営層の行動
- 欲しい人材に積極的にアプローチしている企業は、採用におけるフロー、コスト、給与水準は比較的柔軟に運用している傾向にありました。また、スカウトメールや求人情報を継続的に改善しており、採用手法を工夫していると考えられます。
- 戦略上、マネジメント人材の充実が重要と位置づけている企業は、経営層も採用活動に積極的に関与している傾向にありました。また、そうした企業は転職活動をしていない転職潜在層に対してもアプローチしている割合が高く、経営層の意識や行動は、優秀な人材を採用する重要な要素になっていると考えられます。
(採用学Iの研究レポートから一部抜粋。全文は以下のPDFをご参照ください)
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