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顧客満足向上が受注やリピートに繋がらないワケ(3) 【連載サービスサイエンス:第11回】/松井 拓己

INSIGHT NOW! / 2015年12月24日 0時0分


        顧客満足向上が受注やリピートに繋がらないワケ(3) 【連載サービスサイエンス:第11回】/松井 拓己

松井 拓己 / ワクコンサルティング株式会社

本連載ではこれまでに、経営貢献に繋がる顧客満足向上を実現するために、顧客満足の定義とその本質を明らかにして、それを組織で共有したり、目標設定をすることでベクトルを揃える重要背について触れていました。しかし、顧客満足についての理解を深め、組織でベクトルを揃えるだけでは、売上向上やリピートの獲得といった経営貢献に繋がる顧客満足向上の取り組みができるとは限りません。実際に、「顧客満足が向上したのに売上やリピートが増えない」と悩んでいる企業が多いのが実状です。そこで今回は、顧客満足とリピートオーダー獲得の関係性をサービスサイエンスの視点で明確にして、成果に繋がる顧客満足のポイントを明らかにしてみたいと思います。


リピートと顧客満足の関係

顧客満足度とリピートオーダーの可能性について、相関関係を調査した結果、こんなことが分かりました。

・顧客満足度が「不満」から「やや不満」、「普通」、「やや満足」と高まっても、リピートオーダーの可能性はほとんど高まらない。

・「やや満足」と答えたお客様の、実に95%以上がリピートしない可能性があると回答している。

・「大満足」になって初めて、リピートオーダーの可能性が急激に高まる。

ここから極めて重要な気付きが得られます。それは、「リピートオーダーを得るためには、大満足あるのみ」ということです。つまり、リピートオーダーを増やすための顧客満足向上の取り組みであるならば、「そこそこの満足」を目指してはダメで、「大満足」以外は意味がないということを肝に銘じる必要があるのです。すると、これまでの顧客満足向上の取り組み方を大きく変えなければならない点が見えてきます。


「顧客満足度」は平均値で議論しても意味がない

最近では顧客満足調査に熱心に取り組んでいる企業が増えています。しかしそこでは例えば、このような議論がされています。5段階評価(1点:不満~5点:大満足)で顧客満足度を調査した結果を見て、「昨年の我が社の顧客満足度は平均値が3.2点でした。なので今年は3.7点を目標にします。さて、顧客満足度の平均値が、目標の3.7点を達成するためにはどうしたら良いだろうか」と。

実はこのように平均値でいくら議論しても、成果には繋がりません。なぜなら、リピートオーダーをいただくためには、大満足(5点)あるのみだからです。顧客満足度の平均値が3.2点から3.7点に上がっても、リピートオーダーを頂ける可能性はほとんど高まらないのです。

あるいはこんなケースもあります。同じく5段階評価(1点:不満~5点:大満足)で顧客満足度を調査して、「4:やや満足」と「5:大満足」を合算して、「満足度90%以上を目指そう」と取り組んでいる。しかしその結果、満足度の向上の中身の大半が「やや満足」の増加だとすると、これではやはりリピートオーダーは増えません。

つまり、顧客満足度の平均値や合算値で議論して取り組んでも、リピートオーダーの増加には直結しないのです。では、どうするべきか?

それは、やや満足(4点)と答えたお客様を特定して、そのお客様に大満足(5点)になっていただくためには何をすべきか、という点にフォーカスして議論することです。そうすることで、平均値を見ながら議論するよりも、はるかに効果的で具体的な取り組みができるのです。

このように、顧客満足とリピートの相関関係を、少しだけロジカルに理解してみるだけで、顧客満足向上の盲点が明らかになりました。顧客満足度調査の結果の分析は「やや満足」に着目する必要があり、顧客満足向上の目標は「大満足あるのみ」である。このポイントを踏まえて、今までのやり方を変えることで、リピートオーダーを増やすことができるかもしれません。

さて次回は、さらにもう一歩踏み込んで、「やや満足のお客様に大満足していただくためにはどうしたら良いか?」を議論するにはどうしたらよいのかについて、触れてみたいと思います。

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