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シリーズ:マーケティングなんてカンタンだ!・間違いがちなフレームワークを総点検【第1回】3C分析/金森 努

INSIGHT NOW! / 2015年12月24日 7時0分

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金森 努 / 有限会社金森マーケティング事務所

3C分析は大前研一氏が考案したものだが、汎用性が高く、筆者としては「最悪、これさえ知っていれば何とかなるフレームワーク」の一つだと考えている。

【目的】:競争市場の中で勝ち残りの条件を見つけ出すこと
競争関係にある市場、もしくは直接的な競合企業と戦う場合、どのようにすれば勝てるのかという戦略の方向性を導き出すこと。

【ゴール】:KSF(Key Success Factor=成功のカギ)を導出すること
上記の競争市場における勝利条件をKSFという。このフレームワークの使用目的とKSFはある競争市場において用い、そこでの汎用的なKSFを導出するためのものであるため、個社要素(自社対競合)に用いるものではないと論じる人もいるが、筆者としては直接競合の分析でも十分効果を発揮するものだと考えている。

【基本構造】:Customer/Competitor/Companyの3要素(頭文字を取って3C)
Customerは「市場の(マクロ的)環境・顧客とそのニーズ」を洗い出す。(ここは一つのキモなので後述)。顧客のニーズが判れば、顧客のKBF(Key Buying Factor=購買決定要因)が見えてくる。それをCompetitor(競合)とCompany(自社)のどちらが実現できるかを各々の強み・弱みという内部環境で判断する。

【使いこなしのキモ】
1.順番を守ること!

分析に際して3つのCのうち、Companyから着手する例が散見される。そうすると、近視眼的になってしまう。調子のいい時はイケイケで、悪い時には「アレもできていない、コレもできていない!」と悲観的に色々な要素が抽出される。だが、外部環境を考慮せずダラダラと項目出しをしても何の意味もない。あくまでCustomer → Competitor → Companyという順番が鉄則だ。


2.Customerは「市場の(マクロ的)環境」と「顧客とそのニーズ」の両面を見る!
Customerのうち、市場の環境をざっと洗い出しただけで、この項目を済ませてしまう例も散見される。それでは、その市場にいる顧客の姿も、なぜ購入に至るのかというKBFも見えてこない。顧客像とそのニーズを抽出することは必須。

3.Competitorはその動きまで具体的に!
競合となる存在はどこなのか。また、直接的な競合だけでなく、「顧客のニーズを満たす、代替となる存在」があれば、それもここで明らかにしておきたい。また、Competitorの強みと弱みだけでなく、その「動き」と、その動きによって「顧客のニーズが適切に取り込めているか、ニーズギャップはないか」を明らかにしておきたい。

4.Companyは顧客ニーズと競合の動きにミートする強み・弱みを集中的に洗い出す!
前述の通り、自社の要素を挙げ出すと切りがない。そこで、前項までの流れで考えて「顧客のニーズ」と「競合がそのニーズをすくい取れているか(ニーズギャップはないか)」にフォーカスして考えるといい。顧客のニーズに応える能力がなければ、それは大きな「課題」だ。(場合によっては分析結果としてこの市場では上手くいかない、または競合に勝てないので、市場やターゲットを変更することになる)。また、競合が顧客のニーズをしっかりカバーしているなら、ガチンコ勝負か、他のニーズの切り口を見つけなければならない。競合がうまくニーズを取り込めておらず、顧客のニーズギャップがあって、そこにミートする自社の強みがあれば、それは大きな市場機会であるといえる。

【使用事例】
少し古いが、日経MJ11月23日号に中古車販売のガリバーインターナショナルの新業態店が取り上げられていた。これを分析の事例としてみよう。

同社は<10月31日、滋賀県守山市のショッピングセンター(SC)「ピエリ守山」に新業態の中古車店「ビークルポート」を開いた。ガリバーが展開する5つの専門店を月替わりで開き、商品だけでなく店舗の看板まで一新する(日経MJ11月23日号より)>という。
<ガリバーはこれまで幹線道路沿いなどの路面店を中心に店舗網を広げてきた。路面店では車の売買をすると決めた顧客の来店が中心だったが、中古車やクルマに興味がなかったり、購入の決意が固まっていなかったりする顧客とも接点を持つために目を付けたのがSCだった(同日・日経MJより)>。
記事には市場環境が書かれていないが、昨今の自動車販売台数の減少や消費者のクルマ離れなどを仮説として置けばいいだろう。また、顧客のニーズは市場環境の仮説と上記の記述から推測できる。競合環境も記述がないが、新車・中古車の別なく、多くの自動車販売会社が上記のガリバーと同様な悩みを抱えているのも想像に難くないので、それを仮説とする。

フレームワークとしては上記のようになる。フレームワークでは、フレームに情報を整理するだけでなく、「そこから何が言えるのか」が重要になるが、3CのゴールはKSFなので、そこがしっかりと「勝てる戦略の方向性」を示唆している内容になっていればOKだ。
ちなみに、記事によると<多くの消費者の集まるところに出店したことで、ビークルボートは路面店に比べて来店客数は桁違いに多く、開業以来の販売は「想定を上回るペース」>だという(同日・日経MJより)>。

フレームワークは便利だ。だが、使い方を間違えると戦略や施策をミスリードすることにもつながりかねない。「フレームワークは、使用上の注意をよく守ってお使いください♪」なのである。

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