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SMAP騒動で訓練する逆の視点からの発想/竹林 篤実

INSIGHT NOW! / 2016年1月20日 8時5分


        SMAP騒動で訓練する逆の視点からの発想/竹林 篤実

竹林 篤実 / コミュニケーション研究所

生みの親より育ての親を大切にするサル
「生みの親より育ての親」とは、産んでくれただけの親より、養育してくれた親のほうがありがたいことを意味する諺だ。こんな諺が伝わっているのは、そうした事例がこれまでにいくつも積み重ねられてきたからであり、人の経験知として認識されているからだろう。
ことは人間に限らない。ある生物学の先生に伺ったところ、事情はサルでも同じだとのこと。サルも育ての親を大切に想う気持ちが芽生えるそうだ。そしておもしろいのが、最新の遺伝学の研究成果である。
獲得形質は遺伝しない。これが、生命科学上の従来の常識とされていた。例えば、小学生の頃、運動神経に恵まれず走りの遅かった人がいるとする。この人は、中学高校大学を通じて一生懸命に走る練習をすることによって、早く走れるようになった。やがて彼が親になり、子どもが生まれた。この子は早く走れるのかといえば、そうはならない。なぜなら、遺伝的には運動神経に恵まれていないからだ。
ところが、最新の研究成果によると、獲得形質も遺伝する可能性があるようだ。詳しい説明は省略するが、生きている間の行動によって遺伝子修飾が起こり、これが遺伝する。生みの親の遺伝子はもちろん遺伝するが、育ての親n養育により修飾された遺伝子も、次の世代に伝わる。生みの親より育ての親は、遺伝子的にも正しいと言えそうである。

生みの親がジャニーさん、育ての親が飯島さん
では、SMAPについて、仮に生みの親と育ての親がいるとしたら、どうなるか。生みの親はジャニーさんで、育ての親が飯島さんというのは、ほぼ間違いないところ。ところがジャニーさんの姉にあたる副社長は、SMAPが嫌いらしい。
週刊誌のインタビューで「SMAPは踊りが下手だから、嵐と一緒には踊れない」とコメントしたという。いささか強引な曲解になるかもしれないが、生みの親はSMAPを見限っているといえなくもないようだ。実際、デビュー当初のSMAPは鳴かず飛ばずで売れなかった。それをあれこれやりくりして、売れるように演出したのが飯島さんである。育ての親が飯島さんであることは明らかだろう。
中居くんが、生みの親であるジャニーさんから、どのように思われているのか。はみことはいわないまでも、かなりぞんざいな扱いを受けているらしい。これまでの稼ぎで考えれば、SMAPの貢献度はかなりのものだろう。
ところが年明け早々に放送された『人志松本のすべらない話』でのエピソードでは、ジャニーズ幹部によるマッチや東山紀之の扱いと中居くんの扱われ方の違いが明らかになっている。興味のある方は、「中居 すべらない話」でググッてみられるといいだろう。


育ての親を捨てたのは誰か
仮に「生みの親・ジャニーさん、育ての親・飯島さん」説が成り立つとする。正しいかどうかは、検証しようがないので、あくまで仮説である。ただ仮説とはいえ、現在の一方的な論調に対する逆の視点を提示する核にはなる。
仮説に従えば、育ての親を捨てたのが、現時点で英雄視されているキムタクになる。一方で、生みの親より育ての親を選んだのが、残る4人となるはずだ。現実には、結果的に4人も育ての親を捨てた。4人は飯島マネジャーの遺伝子を引き継いだが、キムタクはジャニーさんの遺伝子を引き継いだともいえるだろう。
ここで論点にしたいのは、キムタクと4人の行動の是非ではない。彼らがどう思っているか、彼らがこの先どうなるのか。そうしたことに関心はない。
それより何より注目すべきは、マスコミの報道ぶりである。マスコミがポジショントークするメディアであることは、改めて言うまでもない。けれども、ここまであからさまに一方的に偏った報道がなされるのはなぜか。マスコミは一体、どのようなポジションを取っているのか。そこにどのような力が働いているのか。


逆の展開だったら、どう見えたか
ポジショントークが展開されること、すなわち、何らかの利害がその背景にあるということだ。仮に、キムタクを英雄視し、4人を許して受け入れるジャニーさんを持ち上げるメディアがあるとすれば、そのメディアのポジションがどうなっているのかを考えてみるのは、逆の視点を意識するよい訓練になるだろう。
ここで逆転の発想をしてみる。
「僕たちは、育ての親を、自分たちをここまで大きくしてくれた人を大切に思います。だから、とても残念だけれどジャニーさんとは袂を分かつことを決意しました。でも、5人の思いは一つで変わりません。どうかお願いです。僕たちをこれからも応援してください」と、仮にキムタクが涙ながらに訴えたとすれば、どうなっただろうか。
マスコミは、どう報道しただろうか。何かでっかい穴が開いて、風通しが良くなったのではないだろうか。

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